日本共産党
前神奈川県議会議員

石田 和子

いしだ かずこ
くらしと平和 希望ある未来へ
石田 和子
ブログ

検査数を抜本的に増やせ! 急がれる医療機関への減収補填を! 衛生研究所と保健所の体制強化を! ―代表質問 その1

2020年6月20日

1

18日県議会で、代表質問にたちました。この間、コロナに対応する医療機関や保健所、衛生研究所などの現場の実態をうかがいました。また、報道にもたくさん触れてきました。

医療の現場で、患者の命を守るために感染リスクの真っただ中で、身を挺して奮闘していただいた医療従事者の皆さんに心から敬意を表するものです。

新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の拡大が必ず起きると言われるなか、PCR検査を抜本的に増やすこと、医療機関への財政支援を、保健所体制の強化や教育環境の充実などを訴えて改善を求め質問しました。 傍聴してくださった皆さんありがとうございました。傍聴者の皆さんが見守ってくださり勇気がわき代表質問に臨めました。

以下は質問と答弁の要旨です。(議事録ではありません)

PCR検査を抜本的に増やすべき

質問

経済、社会活動を再開させつつ再度の緊急事態宣言を回避するためには、第2波の兆候を的確につかみ、感染拡大を早期に封じ込める検査体制の強化が必要です。18道県知事が発表した「これまでの受動的な検査から検査を大規模に行い先手を打って感染拡大を防止する」の緊急提言を紹介し、これまで発熱などの強い症状がある人だけを対象としてきたやり方と発想を転換してPCR検査を全ての濃厚接触者に拡大することが必要だが見解を伺う。

知事答弁

国が5月下旬に速やかに感染者を発見する観点から全ての濃厚接触者を検査対象にしたので、県も同様にする。抗原検査などの新しい技術や手法を取り入れ検査体制の充実を図ると答弁

●医療機関や介護・障がい者施設でクラスターが各地で発生した。院内感染や施設内感染を防ぐためには医療従事者と入院者、介護・福祉施設従事者およびその利用者、仕事上密接に子どもと触れ合う機会が多い保育士や学童保育の支援員、教員などについて、無症状者含めPCR検査を受けられるようにすべきだが、見解を伺う。

知事答弁

感染時期がはっきりしない場合、ウイルスが存在しても検出できない場合があり、PCR検査には一定の限界があることから、国の実施要綱に基づき、医師が検査の必要性を総合的に判断して行うと答弁。 

(再質問)で、濃厚接触者であれば症状の有無にかかわらず従事者に対して検査を行うということで良いか伺う。

→知事答弁

濃厚接触者の場合は症状がなくても検査を実施する。と答弁。

【要望 何れ希望をすれば全ての人が検査を受けられるように体制をしっかり整えていくことと、今ある集合検査センターの運営費(4月補正)は、8月末までの運営費なので、その後について予算の拡充を要望しました。

 

医療機関に対する財政支援について

質問

「医療崩壊ギリギリ」の訴えが医療現場や政府の専門家会議からも相次ぎました。今の時期に第2波に備えて医療体制を確立しなければならない。コロナの患者に対応する病院はベッドの確保のために、一定数を空床にしなければならず、その分が減収になる。感染を恐れて外来患者が減少、医療スタッフの確保が困難になる。これは高度医療機関だけでなく、中等症と疑似症の方に対応する重点医療機関でも同じであり、その後方で地域の日常医療を支えている医療期間も患者が減って経営的に破綻しかねない事態に追い込まれている。

コロナ対応の医療機関も対応していない医療機関も、役割分担を行なって日本の医療を支えている。その全体を守り抜くための財政支援が必要だ。

政府の第2次補正予算で、コロナ対応の高度医療に診療報酬を3倍にするとしているが、重症以外には一部しか3倍の対象になっていない。また、地域医療に対する財政支援はない。地域の病院や診療所が倒産・廃業が相次ぐようなことがあれば、国民の命と健康は守れない。過去においては、東日本大震災や昨年の台風29号被害の時に直近の確定している実績に基づく概算要求が認められた。今回は津波で資料が流されたわけではないが、コロナによる医療機関の減収はあまりにも深刻である。

疑似症含む重点医療機関、地域医療を担う地域の病院や診療所に対し国及び県の財政支援を国と県で行うべき。せめて、前年度の実績に比べ、今回のコロナによる減収実態を調べてその分の助成ができないか見解を伺う

→知事答弁

医療機関の収益悪化は全国規模なので全国知事会などの場で国に財政支援を訴えてきた。その成果もあり、空床保障の大幅な増額などこれまで例を見ない1兆6千億円にのぼる2次補正が成立した。診療報酬の概算前払いや融資制度の拡充も計上されている。これを受け県も補正予算の形上を検討している。受診者の減少に伴う経営悪化に対する支援はまだ不十分なところもあるので、引き続き関係団とも連携し機会あるごと国に要望していく。

公立・公的医療機関への財政支援について

質問

県央地域の公立拠点病院の役割を持ち、感染症指定病院でもある、元県立病院だ

った厚木市立病院では、神奈川モデルの重点医療機関の指定を受け、37床を空床にして22床を確保し、この間、不急の手術を先送り、入院患者と外来患者が減少。緊急事態宣言後は、休日・夜間救急の制限も行いながら限られた医療資源を、新型コロナ感染症対策に重点化してきた。4月の減収は2億3千万とのこと。

PCR検査は、市内と市外はちょうど50%ずつ。コロナ患者の入院は、市内が

52%、市外は48%と、まさに厚木市民だけでなく、県央地域の中核的な医療を

担っています。

同じく重点医療機関を担う県立足柄上病院も、4月だけで2億3500万円の減収で、大変逼迫している。不採算部門も担う公立・公的病院に対する国や県の財政支援は不可欠である。  

厚木市立病院や足柄上病院のような公立・公的医療機関は、その自治体だけで

なく、広い範囲における重点医療機関の役割を担っています。地域医療を守る立場から財政支援が必要であると考えますが見解と対応を伺います。

→知事答弁

公立・公的医療機関は神奈川モデルの重点医療機関の多くを占める新型コロナ感染症対策の要として対応している。国の2次補正で財政支援の対象にしているので、県としても収益悪化に苦しむ地域の医療を支える公立・公的医療機関をしっかり財政支援するため、補正予算の形状を検討している。

【再質問】国の補正に減収補填は含まれていない

国の、第2次補正予算に基づく支援などを実施するものとの答弁があったが、国の第2次補正には減収補填は含まれていません。神奈川県病院協会が病院経営の緊急調査を行なった結果、コロナ患者の受け入れの有無にかかわらず、4月度は外来、入院患者とも大幅に減少して大変厳しい。第2次補正で医療体制支援の交付金の拡充や診療報酬などの配慮はあったものの減収補填についてはもり込まれず、大きな穴が開いたままである。このままでは病院経営が立ち行かなくなると言われています。

民間も公立・公的医療機関も、コロナ対応ではない医療機関に対しても、国と県の財政支援がどうしても必要だ。再度見解を伺

→知事答弁

コロナ患者を受け入れている医療機関には、国の2次補正の成立を受けて県の補正を検討している。コロナ患者を受け入れていない医療機関もかなりダメージを受けているがまだ不十分なところがあるので、引き続き関係団体と連携しながら機会あるごとに国に要望していく。

【要望】

この間生じた病院の赤字は、県の要請に応えて、コロナの感染を防ぐためにベッドを空けたり、普及の検査や手術を延期したり、救急も制限して、医療資源をコロナ対策に投入したなどにより、生じたものであり、大きな穴が開いたままでは、第2波、3波が来た時に立ち向かえないということではないか。

国の診療報酬の3倍について、疑似症の受け入れ病院とか、軽症の入院期間も対象になっていない。国と県の対策がどうしても必要。検討を要望する。

 

●県衛生研究所と保健所の体制強化について

県衛生研究所の体制強化を

質問

衛生研究所は感染症の技術的かつ専門的な機関として感染症法に明確に位置付けられ、公的な検査機関の役割を果たします。新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、「感染症対策に関わる危機管理を専門に担う保健所や地方衛生研究所の組織や人員体制の大幅な強化」が提言されていましたが、実際には削減されてきた。

 本県の衛生研究所年報を見ると、職員数は2007年の99名から、2019年

は75名へと24名も減っている。中でも感染症部門である微生物部が、22

名から14名へと減っている。新型コロナ対策や今後の新たな感染症も予

測される中、2010年の政府報告書の提言にあった衛生研究所の組織や人員

体制を強化することが今こそ求められる。

県衛生研究所について、2010年の政府報告書で提言されているように、今こそ人員体制を強化すべきと考えるが、見解を伺う。

→知事答弁

平成19年に執行体制の簡素化を図った。新型コロナに対応する検査はピーク時には担当では対応できなかったので所内の他の職員が応援態勢を組んで対応している。今後の第2波に備えて所内で機器の取り扱いなどの研修を行い検査技術に長けた職員を増やし、一丸となって対応していく。担当職員の育成には技術の継承に時間がかかる一方で継承すべき若手人材が少ないという構造的な問題がある。計画的に若手人材を採用し必要な人員体制の整備を図って参る。

 

保険所の体制強化を

この間、「保健所に電話がなかなか繋がらない」などの声が多数寄せられた。

保健所は、帰国者・接触者相談センターで住民からの相談を受けるほか、帰国者・接触者外来への受診調整、PCR検査受付、衛生研究所への検体搬送、市町村との情報共有や助言、積極的疫学調査、クラスター対策、陽性患者が出た時の医療機関との連絡調整、入院患者の病状把握など、法に基づく多岐にわたる感染症対策業務を行う。

私たちは県内の保健所でお話を伺った。「電話相談に多くの時間がかかる。一時、違う部署に応援を求めた。記録、報告を書くのは夜になる。検体を検査機関に運ぶ時も疫学調査の際も防護服の着脱を含め大きな緊張を強いられる。疫学調査はスピードが求められ土日も出勤になることもあるとのこと。大変な激務だ。

国会の参考人質疑で政府の専門家会議の尾身会長は、「保健所が大規模な検査をすることを前提にした仕組みになっておらず、人員も削減されてきた。」と発言されている。

保健所と保健所職員が大幅に減

 法律が変わり、全国の保健所数は1990年の850ヵ所から2019年には、472ヵ所になり、我が国の保健・公衆衛生の体制は弱体化した。 本県の場合、県から市に移管した相模原、藤沢、茅ヶ崎各保健福祉事務所分を除いた職員数は、2000年に479人でしたが、2020年は422人へと57人も減っています。

新型コロナウイルス感染症の影響で、一時止まっていた母子保健法に基づく母性・乳幼児の保健指導、新生児訪問や乳幼児健診などが始まる。コロナ感染が、第2波、第3波も想定されていますし、大きな自然災害があれば、避難所における公衆衛生を担います。

高い専門性が求められる保健所は有事の時に動ける体制を作っておくべきす。

この間、県は、保健所に非常勤の看護師又は保健師のどちらかを1名ずつ配置し、派遣看護師も配置しましたが、いざという時に担うべき役割が大変大きいのですから、常勤の保健師の定員増を検討すべきと考えるが見解を伺う。

→知事答弁

今回のような感染症の大規模な流行時には感染症に関する相談や疫学調査を行うため、保健師を中心に感染症に対応する通常の体制とは異なる、特別な体制が必要となる。

そこで、保健所に設置していた帰国者・接触者相談センターの業務の一部については民間委託した。また、新型コロナ対応以外の業務は非常勤の保健師や派遣による看護師を配置することなどにより、県の常勤保健師や医療機関との調整や疫学調査といった新型コロナに係る業務に専念できる体制を取った。

平成30年度から保健師の経験者採用を開始していますが、今回のコロナ対策についてはこうした経験者が即戦力として活躍している。今後も即戦力としての経験者を確保することで、年代的に手薄な中堅職員を増やして技術や経験を次の世代に繋げ、人材を育成する体制を整えていく。感染症の大規模な流行に機動的に対応するための体制については、今回の対応をしっかり検証し必要な体制の整備を図ってまいる。

再質問

保健所の体制を強化すると受け止めました。今回を踏まえて、保健所には、いざという時に即応体制が取れるように余力がなくてはならないとおもいます。常勤の保健師の定数増も含めて検討するのか伺う。

また、保健所の体制強化には、事務職員や保健師以外の他職種も必要と考えますが見解を伺う。

→知事答弁

今後も第2波への対応など一時的に業務が増加する場合には必要に応じて他所属からの応援により対応して参りたい。

 

要望

保健師の定数増をしっかり検討していただきたい。

 

質問を終えてー

医療機関に対する減収への補填について、国の第2次補正に医療機関の減収補填の考えがないのに、その成立を受けて県でも補正を組む。国へ要望していくという答弁で、県として独自に減収補填を支援する姿勢は全くありませんでした。

日本病院会など3団体の調査ではコロナ患者を受け入れた病院は4月は平均1億円の赤字。受け入れていない病院も6割以上が赤字と言います。神奈川県の病院協会の調査では神奈川の医療機関の実態がより厳しい実態だったとのこと。

この大穴が空いたままでは第2波、3波に答えられない病院も出てくるのではないか。日本医師会の会長さんも6月にはショートするところが出るのが心配と言われていました。

知事は再び感染が拡大すれば、「神奈川アラート」を発令し、2週間以内に稼働病床を1100床に増やすと述べています。また要請することになるのですからこの間、コロナ対応で生じた赤字に国と県は早急に補填を行うべきです。医療従事者に感謝するという言葉だけでなく、財政支援を。

保健所も「今回の対応をしっかり検証して必要な体制を整備していく」という答弁でしたが、再質問の答弁で、結局それは他からの応援体制を行なって対応するということだとわかりました。保健所もコロナと最前線で闘う専門機関です、いざという時にすぐに即応できる体制を今こそ強化しておくべきです。

もっと声をあげていかなくてはと思います。それにしてもその場で答弁を聞いて再質問するのは、時間との闘いもあリなかなか難しく後で反省が残ります。

二つ目の「コロナ危機における福祉の継続と教育環境の充実について」と「コロナ危機の中での避難所への感染症対策支援について」は続報とさせていただきます。

PAGE TOP