県立平塚ろう学校を訪問しました
盲学校を後にして、道路の向かい側にある県立平塚ろう学校を訪問しました。
大正14年に中郡盲人学校内に「私立中郡ろう学校」として設立。昭和8年に県に移管され「県立盲啞学校」となる。昭和23年に盲ろう学校の義務性により盲学校から分離し、神奈川県立平塚ろう学校と改称。昭和58年に寄宿舎完成。平成7年に新校舎完成。今年で開校から95年になる歴史ある学校です。神奈川県内には、平塚ろう学校の他、横浜市立、川崎市立、横須賀市立があり、聴覚室が相模原中央支援学校にあるとのことです。平塚ろう学校には平塚市、藤沢市、厚木市などを中心に全県から通学しているとのことです。
校長先生から本校のミッションとして、乳幼児から高等部までの一貫した教育、高等部における専門教育を主とする学科、専攻科における特色ある職業教育の充実、聴覚障害教育のネットワークの中心としての機能、地域での自立と社会参加のための支援、手話言語条例の制定による手話などの普及促進の説明がされました。
中を案内していただきましたが、玄関から廊下・階段が明るくて木材の暖かな雰囲気を感じました。これは表情や口の形が見やすい明るい設計がされていること。コミュニケーション障がいによるストレスを軽減するための「木」を使った内装をしているとのことです。木材は、余計な音を吸収するので廊下などは木材を使っているとの説明がありました。
階段の踊り場に衝突防止ミラーが設置されていたり、緊急を知らせるパトライト・非常用配信システム(青、黄、赤のランプ)や情報を知らせる画面が何箇所にも設置されていました。
ろう学校は99人の生徒が在学しているが、最近は人口内耳や補聴器の技術が進み、小学部や中等部で地域の学校に行く子も増えているとのことですが、聴こえの通級が地域の中に少ないのでどう支援するかが課題とのことです。地域の学校に在籍しながらこちらの通級指導教室に通い個別の指導も行なっているとのことです。
専攻科として総合生活デザイン科、情報応用ビジネス科、理容コース、美容コースがあります。最近は印刷関係、事務系の仕事、中には歯科技工士を学び、民間企業に就職される方が増えているとのこと。大学や本校・他校の専攻科に進学する方もいるとのことです。
聴力測定室、幼児聴力測定室があって、測定器も見せていただきました。また、発音発語指導室も見せていただきました。「きこえとことばの相談支援センター」には、昨年度146ケース、792件の相談に応じ、電話、ファックス、来校に加え、職員が地域の幼稚園、小学校、中学校、高等学校などに出向く「巡回相談」は、昨年度は29ヶ所、40回行なったとのことです。
専門性を生かしてろう者の皆さんの教育や地域支援を担う県立の学校の果たす役割はとても大きいと思います。障がいや病気があってもそれぞれの能力を発揮して成長し、社会に参加していく、生きることを価値あるものにする社会にしていくことが求められていると思います。