生保申請時の扶養照会、本人の拒む意向尊重する厚労省事務連絡発出
厚生労働省は、生活保護の親族への扶養紹介について、本人が拒んでいる場合などにおいては意向を尊重する」旨の通知を、全国の福祉事務所に対し出していたことが4月8日までにわかりました。これにより、「生活保護問答集」の一部改正が行われました。
生活困窮者支援団体や日本共産党が政府に改善を求めていました。
この問題について、共産党の小池晃書記局長が1月の参院予算委員会で、扶養紹介を止めるよう求めた時に、田村厚生労働大臣は、扶養照会は義務ではないと答弁しています。
コロナ禍の中で、仕事が激減したり、失業する国民が急増しています。厚労省のホームページでも、「生活保護は権利です」と掲げ、コロナ禍での生活保護を積極的に活用するよう促しています。しかし、福祉事務所に相談に行った時のハードルとしてあげるのが扶養照会です。生活保護申請時に福祉事務所が申請者の親族に扶養紹介をかけることが、生活困窮者が申請をためらう原因の一つになっています。
小池晃参議院議員に対し、扶養照会は義務ではないという厚労大臣の答弁を受けて、2月18日、神奈川県議会においても、共産党の井坂団長が代表質問で、この問題を質しました。
県の福祉子ども未来局長は「県では、生活保護の扶養紹介について、相談者の意向を確認し、連絡することで申請者の自立や親族との交流に影響を及ぼす場合や、あきらかに親族からの扶養が期待できない場合は扶養紹介を行わない取り扱いをしている」と答弁しました。
生活困窮者支援団体の「一般社団法人つくろいファンド」と「生活保護問題対策全国会議」は、この度の厚労省の通知について、申請者の意思を尊重する旨の規定が追加されたことは「大きな変化」と評価しています。
今回の問答集の改正が、各自治体や生活保護を利用しようとする市民、支援者に広く知られ「扶養照会」が根絶されることを強く期待するものです。