文科省の特別支援学校の設置基準案に対し、県教委「既存校への対応もしっかり検討する」と回答(社会問題対策特別委員会)
特別支援学校の設置基準の対応について質問しました。以下要旨です
【質問】1
文科省が特別支援学校の設置基準案を初めて作成し、5月26日から6月26
日までパブリックコメントを実施しました。特別支援学校だけに設置基準がないことが、全国で学校の過大規模化、過密化を招き、文科省の2016年に行った教室不足の調査でも全国で3430を超えるなど劣悪な教育環境の原因になってきました。保護者や教職員など関係者のねばりつよい運動に押され、文科省は設置基準の策定に動き出し、最低限、備えるべき校舎面積などを示しました。
基準案には具体的にどのような内容が示されているのか伺う。
【回答要旨】
→必要な校舎及び運動場の面積のほか、施設に関して、教室や教室以外に備えるものとして、自立活動室、図書室、保健室、職員室等、また、校舎及び運動場のほか、小学部、中学部又は高等部をおく場合にあっては体育館を備えるものとされている。
また、一学級の幼児、児童又は生徒数や、学級の編制について、教諭等の数や事
務職員を配置することなどが、示されている。
ただし、校舎及び運動場の面積等については、地域の実態その他により特別の事
情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでないこととされており、 制定に当たっては、特別支援学校を設置するために必要な最低の基準とするとともに、地域の実態に応じた適切な対応が可能となるよう、弾力的・大綱的に規定することを基本方針とすると示されている。(気になる但し書きです)
【質問】2
示された基準案に対し、県はどのように対応したのか伺う
また、基準案に対する県の受け止めを伺う。
【回答要旨】
→今回、特別支援学校を設置している横浜、川崎、横須賀、藤沢市の教育長との連名により、国に対して次の2点について要望した。
まず1点目は、今後、国の「特別支援学校設置基準」の制定、運用に当たっては、
それぞれの地域において、地域の実情を踏まえた特別支援教育の充実発展を目的とした施設整備が円滑に進められるよう、各学校設置者の判断を十分に尊重して対応すること。
続いて2点目は、令和2年度から令和6年度まで、算定割合が従前の3分の1
から2分の1とする特例措置が設けられている「学校施設環境改善交付金事業」について、設置基準の制定に伴う今後の財政需要に着実に対応していくために、この特例措置について、相当期間の延長を図ることを要望した。
また、受け止めですが、
今回、国が示した特別支援学校の設置基準の制定案について、特別支援学校を
設置する際の最低基準であり、地域の実態に応じた適切な対応が可能となるよう弾力的・大綱的に規定するとされていることから、こうした設置基準の制定については、本県としても特別支援学校の教育環境の改善に資するものと受け止めている。
【質問】3
今後の施行に向けたスケジュールについて、校舎面積などの規定は令和5年4月から、それ以外は来年4月施行すると聞いているが、県として今後、どのように取り組むのか伺う。
【回答要旨】
今回の国の制定案では、既存の学校について、当分の間、従前の例によること
ができる、とされているが、教育環境の充実という観点から、こうした既存の学
校についても対応を図る必要があると考えている。
そのため、指針素案で示した、地域ごとの整備の方向の中で、既存の学校への対
応もしっかりと検討していく。
また、現在策定中の「かながわ特別支援教育推進指針」については、設置基準
が確定され次第、既存の学校の対応方向も盛り込み、再整理を行った上で、指針素案の「修正版」を、9月を目途にとりまとめる予定。
その後、パブリックコメントを実施した上で、12月には、指針を策定したいと
考えている。
要望
先に紹介した文科省が行なった教室不足の調査では、全国で神奈川がもっとも多く、256教室だった。しっかり取り組んでほしい。
文科省は特別支援学校における教育は、障害の状態に応じて、その可能性を最大限に伸ばし、自立と社会参加に必要な力を培うために、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導及び必要な支援を行う必要があると示しています。
他のすべての学校にあるのに、障害が比較的重いお子さんが通う特別支援学校にだけ設置基準がなかったところから、策定に動き出したことは、大きな前進ですが、先ほどの答弁で「地域の実情に合わせて弾力的に」というのが非常に気になった。
現状を追認する基準では困るという意見や、既存校についても期限を切った対策が必要ではないかなどの意見がある。是非、学校ごとの在籍児童や生徒数の上限も考えていただくなど、児童生徒の成長と発達が真に保障される設置基準となるよう、また設置基準に基づく教育環境をしっかり整備することを要望する。