新型コロナ感染爆発から県民の命を守る緊急申し入れを提出
17日、県議団と共産党県委員会連名で、知事と健康医療局長あてに表記の緊急申し入れを提出し、健康医療局副局長と懇談しました。
神奈川県の新型コロナウイルス感染症の累計感染者数は8月10日、10万人に達しまし
た。感染力が従来株より2倍強いデルタ株におき変わる中、新規感染者は5日連続で2000
人を超え、何度も過去最多の新規感染者が発生するなど感染爆発が起こり、救急医療や通常
医療の必要な人が入院できないなど深刻な医療崩壊になっています。
県は、12日、重症病床を199床から213床に、さらに16日には225床まで増やしまし
たが、16日の重症患者は202人に上り、225床に対する病床使用率は89,7%でなお逼迫
状態が続いています。
また、現在、自宅療養者が1ヶ月前に比べ、10倍となり、16日は12,685人になりま
した。さらに深刻なのは本来、入院すべき人が入院できず、自宅で待機する人が、急増していることです。15日には入院を待っている人は109人に上りました。「何十もの病院に断られてやっと6時間後に入院先が決まった」「40度近くの高熱と、酸素飽和度が92〜94%程度が1週間続いても入院できなかった」など過酷な実態があります。
また、検査の陽性率は15日には37,27%にも上がり、この状態では感染拡大を防げず、検査を緊急に増やす必要があります。
「重症患者のほか、中等症患者で酸素投与が必要なもの、投与が必要でなくても重症化リスクがあるもの」に入院制限する政府方針では、県民の命は守れません。救える命を救うため、以下の対策を早急に図るよう申し入れました。
○医療提供体制を拡大し、原則入院ができるようにすること。
1、 県病院協会がコロナ患者受け入れ要請を行いましたが、県として、必要な人すべてに安全な治療と安全な療養の環境を保障するため、病院のコロナ患者受け入れ病床をさらに増やすとともに、医療機関に対し設備や医療スタッフを確保する財政支援を行うこと。
2、 入院の待機者を生まないために、自宅療養中に酸素投与が必要になった時に、緊急に酸素投与を行う機能を併せもった「入院待機ステーション」を整備すること。また、臨時の大型入院施設を新たに開設し、機材、人材を確保すること。
3、 自宅療養者のうち、悪化リスクのある方などに地域の看護師が毎日電話による健康観察を行うほか、必要に応じて自宅訪問や医師のオンライン診療を行い、入院が必要な患者には入院調整を行う「地域医療の神奈川モデル」を、郡市医師会と連携して県内全エリアに拡大し、コロナの在宅死が出ないようにすること。3政令市においても「地域医療の神奈川モデル」を実施するよう協議すること。
4、 発熱外来への補助金の復活を国に求めるとともに、県としても財政支援を行うこと。
5、 医療関連3学会の厚労省への要請を受けとめて、抗体カクテル製剤の有効な運用のため、重症化リスクの高い人に対する抗体カクテル療法実施医療施設、宿泊療養施設での使用の体制を早急に構築すること。
○検査を抜本的に拡大し感染の拡大を防ぐ
1、 濃厚接触者の範囲を狭めるなど、積極的疫学調査を縮小するのでなく、医師の判断による検査や民間の施設の活用、全自動PCR検査機器の導入など、抜本的な検査体制の拡充を図ること。
2、 若い世代の感染や保育園、学校などのクラスターが増えている。保育園や幼稚園、学校などの職員にも定期的な検査を実施すること。
3、 保育園、学校、幼稚園、学童クラブ、高齢者、障がい者施設などにおいて、感染者が出たら、早急に全ての利用者、スタッフなどにPCR検査を集中して行うこと。
4、 抗原検査キットを活用した大規模検査を拡大し、あらゆる事業所、家庭、学校などで戦略的に活用し、PCR検査につなげて陽性者の発見、保護に全力をあげること。
○国に早急なワクチン供給を求め、接種を早急に進めること。
○人流抑制のためにパラリンピックの中止を国に求めること。
○感染爆発の中、保健所は積極的疫学調査、PCR検査や入院調整、宿泊・自宅療養者の健康把握、クラスター対策など、感染症対策業務に追われています。保健所体制を強化すること。
●副局長は全力をあげて病床拡大に取り組んでいる。ベッドを増やしても医療スタッフが不足していては動けない。受け入れる体制をなんとか強めているが、救急医療も搬送できない事態になっているので、怪我はしないでと思っている。医師の判断で延ばせる手術や検査も延ばしてほしいと要請している。感染者が減らないとなかなか厳しい。人流を抑制しないと感染力が強いデルタ株は厳しいが、乗り切るために頑張っていく。
●臨時の大型入院施設を新たに設置してという要望について、県は昨年、臨時的コロナ対応医療施設を湘南鎌倉病院に180床整備した。県は既存の施設を活用する考えで、これまで、使われなくなった北里大学病院東館(50床)と海老名総合病院(38床)に整備した。大型の野戦病院的な新設は考えていない。緊急酸素投与センターは7日から稼働し、述べ39人に酸素投与を行なった。基本は翌日に入院先に移って継続して治療を受けていただくことになっているが、なかなか、入院先が見つからず、2日、3日かかる場合もある。
●検査率が高い(37,27%)件だが、本県は分母に定期的検査数は入れていない。自治体によっては定期的検査数を入れている県があるので、単純に比較はできない。
●地域医療の神奈川モデルについては、課題であった3政令市にも実施を働きかけてきた。(現段階では、藤沢市、鎌倉市、横須賀市、平塚市、三浦市、厚木市・愛川町・清川村で実施)それぞれ、医師会等と話し合い、川崎も、続けて相模原市も実施に向けて動き出しているし、横浜市も検討しているとのことでした。
●酸素投与は医師の指示がないとできない。「地域医療の神奈川モデル」の中で、自宅療養者に対し、酸素投与が必要と医師が判断した場合に投与していきたい。全エリアに展開するよう取り組んでいる。必要になる濃縮酸素は、全県展開した場合を含め確保している。
など、短時間でしたが対応していただいた副局長から、現時点の県の取り組み状況や考えを聞くことができました。私たちからも要望の中身についてお話し、コロナを抑え込むために力を尽くしましょうと結びました。