一般質問その4=特別支援学校における医療的ケア児への対応について
今年6月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」、いわゆる「医療的ケア児支援法」が公布され、3ヶ月後の9月18日から施行されました。17日の一般質問でとり上げた内容を報告します。音源から書きおこししたものから要約しましたので、会議録ではありません。
【石田質問】
特別支援学校における医療的ケア児の対応についてです
2021年6月に、いわゆる医療的ケア児支援法が可決されました。医療的ケア児が学校などで教育を受けられるよう最大限配慮し、適切に支援することとし国、地方公共団体の責務を明示。そのために必要な財政上の措置を講じなければならないとしている。
本県の県立特別支援学校における2021年度の医療的ケアの実施校は17校で、230人の医療的ケア児がいる。医療的ケアの内容は高度化・複雑化しており、酸素療法や人工呼吸器療法といった高度な医療的ケアが2021年度は39件と10年前の2,6倍に増えている。診療情報提供書により主治医は医療的ケアについて情報を示し、学校の担当医が指示書を出すとのことです。
いうまでもなく、人工呼吸器の装着は、コロナで言えば高度医療機関が行う医療であり、学校においては、医師が指示して看護師が行う医療行為であり、教員は医療法でできないとされている。看護師は呼吸ができているかの確認を常時行うが、時に看護師が生徒から離れざるを得ない時に、医療の専門家でない教員が預かる危険があるとのこと。担当医が13人いますが、月1回の巡回では、後の20日間ほどが医師のいない日であり、現場では、せめて月2回、また、変化や状態にあわせ即応体制が取れるように回数を増やして欲しいとの要望がある。
【質問】→(教育長答弁)
〈そこで教育長に伺います。〉
担当医の巡回回数を増やすべきと考えますが伺う。また、教室において人工呼吸器療法や酸素療法など医療的ケアを行う上で、現場の教員、看護師、担当医の意見を尊重して、万全の安全体制を確保すべきと考えますが見解を伺う。
→(教育長答弁)
現在、県立特別支援学校では平成15年に策定した医療的ケア支援事業実施要綱に基づき県教育委員会が雇用する非常勤医師13名が原則月一回それぞれ担当する学校を巡回し医療的ケア児の診察や看護師への指示等を行っている。またこの巡回診療とは別に新たな医療的ケアへの対応を含め 学校は必要に応じて担当する医師との連絡相談を行っている。
そのため現時点では医療的ケアの実施について支障はないものと考えているが、現在、策定中の(仮称)神奈川特別支援教育推進指針において高度化複雑化する医療的ケアへの対応としてその実施体制について検討していくこととしている。
また 県立特別支援学校では県教育委員会作成の医療的ケア実施に関する共通の手引き等を踏まえ安全体制の確保について組織的に対応している。 具体的には管理職を始め 担当医、看護師及び医療的ケアに関わる 教員等で構成する「 医療的ケア検討委員会」を毎月開催し、児童生徒一人ひとりの 医療的ケアの際の看護師と教員の連携した安全体制を確認するとともに、個別の医療的ケア実施計画について必要な改善を行っている。引き続き、こうした取り組みを進め県立特別支援学校における医療的ケアの 安全体制の確保にしっかりと取り組んで参ります。
【石田質問】
次に医療的ケアを担う看護師の配置についてです
これまで、担当の教員が行うことができるたんの吸引などを、看護師と共同・連携して実施してきたが、医療的ケアの高度化・複雑化に伴い、看護師が直接関わる行為が増加している。
現在、看護師の配置数は57人で、そのうち、自立活動教諭(看護師)として正規採用されているのは17人ですが、自立活動教諭として定数内で配置されている。そのため、看護師が増えるとその分、教員が減るという制度的な矛盾がある。
【質問】→(教育長答弁)
〈そこで教育長に伺います。〉
看護師を教員の定数とは別に配置すべきと考えるが見解を伺う。
また、一人一人の重症度に合わせて看護師の適切な配置を決めるなど、改めて看護師の配置の考え方について検討が必要と考えるが見解を伺う。
→(教育長答弁)
特別支援学校の看護師については、学校職員の定数等を定めたいわゆる標準法には規定がなく、法の対象として位置づけられていない。そのため 県教育委員会では 平成15年度から 看護師に特別免許状を 授与し、教員の定数に含めて常勤の看護師を配置している。
併せて平成20年度から 医療的ケアが必要な児童生徒の増加に伴い教員の定数とは別に非常勤看護師を配置してきた。 県教育委員会としては 看護師を教員とは別に定数措置できるよう標準法の改正が必要と考えており毎年国に対して要望している。
また現在看護師については担当医等の助言によりそれぞれの医療的ケアの内容を考慮して配置することを基本としている。 この9月に施行されるいわゆる医療的ケア児支援法では学校設置者に対し医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう看護師等の配置など必要な措置を講ずるものとされた。 そのため県教育委員会としては高度化複雑化する医療的ケアへの対応として看護師の十分な配置に向けて検討してまいる。
【意見要望】(時間がなくなり一言だけになってしまいました)
最後に特別支援学校において、答弁されたように検討委員会などで十分な話し合いはとても重要です。同時に担当医の巡回回数を増やすことの検討をぜひ要望して質問を終わります。ありがとうございました。