県ごみ処理広域化・集約化計画について【環境農政委員会その2】
県は、2021年度末を目途に、循環型計画の見直しと合わせて、計画期間を2022年度から2033年度までの12年間とする「ごみ処理広域化・集約化計画」を策定することとしました。質問と答弁は要旨で、会議録ではありません。なお中継の録画が県議会ホームページにアップされています。
【質問1】神奈川県のごみ排出量の予測について、
2019年度のごみ排出量は286万トンから、2033年度は260万トンと推計し、26万トン減少する見込み(P6)ですが、事業計ごみは71万トンのまま変わらないと推計しているのはなぜか理由を伺う。
【答弁】
〇 今回の広域化・集約化計画の策定にあたっては、一般廃棄物についてのみ、
近年の家庭系、事業系それぞれの排出量の傾向を元に、簡易的な将来予測を行っ
たが、そのうち事業系の一般廃棄物の排出量については、近年ほぼ横ばいの
傾向であることから、このような予測としている。
〇 より詳細な将来予測については、令和5年度に予定している「循環型社会づ
くり計画」の全面改定の際に、本県の目指す姿である「廃棄物ゼロ社会」の実現に向けた施策検討と合わせて、改めて実施する予定。
【質問2】県のごみ排出量について
いくつか特徴があると思います。2019年度のごみ総排出量は286万トンです。2010年度は307万トンで減少率は約7%です。しかし、直近では、2019年度は前年度より約2万トン増加した。
そのうち、2019年度の事業系ごみの、廃棄物排出量に占める直近の割合について伺う。また、2009年度からどのように推移しているか伺う。(国は28,6%から30,5%に増加)
【答弁】
〇 最新の2019(令和元)年度は、ごみの総排出量のうち、事業系ごみが占める割合は24.7%。
〇 一方、その10年前となる2009(平成21)年度は、ごみの総排出量のうち
事業系ごみが占める割合は23.2%となっている。
【石田】23,2%から24,7%に事業系ごみの割合は増加している。
【質問3−1】県の一般廃棄物の焼却量と焼却率について
県のごみの総排出量のうち、2018年度の焼却量と焼却率について伺う。また、2010年度についても伺う。(国の焼却率847%→83,9%へ、0,8%減。焼却率わずかしか減っていない)
【答弁】
〇 焼却量については、2018(平成30)年度は、約217万トンで、焼却率とし
ては計画収集総量の84.1%となっている。また、2010(平成22)年度は、約
233万トンで、同じく84.4%となっており、この間の減少量は0.3%。 =(県の焼却率はわずか0,3%しか減っていません。石田)
【質問3−2】資源化量と資源化率について
県の2018年度と2010年度の資源化量と資源化率を伺う(国の資源化率14,5%→15,2%へ、0,7%増。(国のごみの資源化率はわずかのみ増加)
【答弁】
〇 資源化量については、2018(平成30)年度は、約38万9千トンで、資源化率としては計画収集総量の15.1%となっています。また、2010(平成22)年度は約40万1千トンで、同じく14.6%であり、その間の増加量は0.5%。
=(県の資源化率はわずか0,5%しか増えていません。石田)
【質問4】集団回収について
焼却処理されるごみの量でみた場合、集団回収量は焼却量から除かれるため、自治体の焼却炉で燃やされるごみのうち、事業系ごみの占める割合は排出割合より大きくなると思うが伺う。
【答弁】
〇 焼却ごみに占める事業系ごみの割合は、市町村に対して集計を求めていな
いので、正確には把握していないが、焼却率を出す際の分母には生活系ごみの集
団回収量は含まれないので、おそらくそのようなことになるかと思う。
(石田)
集団回収は年々減る傾向にある。住民が直接リサイクル活動に参加する場として、住民参加で資源化を推し進める場として大切だが、減ってしまっており、リサイクル率の低下になってしまうことは由々しき事態です。集団回収への県の支援を求めます。
【質問5】「広域化・集約化に向けた国庫補助金の財源確保」とあるが、
国庫補助金とは「循環型社会形成推進交付金」のことかと思うが、何年度から創設された交付金で、内容と交付金の条件は何か。人口や面積などの基準があるのか伺う。
【答弁】
〇 「循環型社会形成推進交付金」を指す。
〇 当交付金の創設時期は、平成17年度。
〇 交付金は、市町村の廃棄物処理施設の整備に国が一定の補助を行うものであり、交付対象事業の条件は、対象事業により異なるが、例えば焼却施設にあっては一定以上の熱回収や発電の効率を持つことや、施設の長寿命化のための計画の策定等が求められることになる。
〇 また、交付対象地域としては、広域的な処理を推進するため、原則として交
付対象地域の人口が5万人以上、又は面積 400km2 以上という規模の下限が設
けられている。
【質問6】「循環型社会形成推進交付金」は「高効率ごみ発電誘導策」であり、小規模自治体の単独焼却炉を認めず、ごみ処理の広域化・焼却炉の大型化、ごみ発電など最新鋭技術の導入などの誘導と促進を図ったものと聞いている。そのことで、大型化した焼却炉を維持するためには燃やすごみがたくさん必要になり、資源化すると燃やすごみが足りなくなるという懸念から、ごみの減量化、循環法に逆行するのではないかとの意見があるが見解を伺う。
【答弁】
〇 (平成13年に施行された)「循環型社会形成推進基本法」では、3Rの優先
順位が定められ、先ずは「発生抑制」の取組を最優先で考え、次にリユース、マ
テリアルリサイクル等と続き、熱回収や単純焼却・埋立処理は、その下に位置付
けられている。
〇 廃棄物処理法や各種リサイクル法に加え、交付金制度も、循環型社会の形成
を図ることを目的として作られており、各市町村は、こういった制度も活用しな
がらごみの減量化に最優先で取り組んでいる。
〇 しかしながら、現実的に直ちにゴミをゼロにすることは難しく、マテリアル
リサイクル等が難しいごみもあるので、そのようなものは、ただ燃やしてし
まうのではなく、熱回収等を行う施設を整備するものとして 交付金の対象と
しているものと考えている。
【質問7】広域化、集約化で、焼却量は減らせるのか。
出されるごみの量、ごみの質、などは自治体によって異なる。さらに自治体によって分別の仕方も住民の分別意識も違う。それを一律に焼却炉の広域化、集約化するのは、実態とかけ離れた、過剰焼却施設になるのではないかと危惧している。焼却量を減らすということを明確に位置付けるべきと考えるが伺う。
【答弁】
〇 広域化は、ブロック内の構成市町村が共同してごみ処理を行うものであり、
必ずしも、各市町村が焼却施設を新たに建設することを意味するものではない。
(石田)各市町村が新たに建設することへの補助金でないことは、初めから分かっている。
広域化と集約化で過剰焼却施設になるのではと危惧すると言っているのです。
〇 焼却量を減らしていくことについては、現在の「循環型社会づくり計画」に
おいて、廃棄物排出総量の削減目標を設定している。また、神奈川県地球温
暖化対策計画に掲げた温室効果ガスの総排出量を削減する目標の達成に向け、
廃棄物部門においても、焼却等を抑制するための、ごみの3Rを一層推進するこ
ととしている。
【質問8】「補助制度の拡充について、国に働きかけを行うとあるが」
内容を伺う。
【答弁】
〇 県では、これまでも、市町村の要望を踏まえ、国に対し市町村の要望額に対
して全額交付してもらうことや、ごみ処理広域化の施設整備に必要だが、交付金
の対象になっていない施設(中継施設)についても、交付対象とするよう、国へ
要望してきた。
〇 今後も、引き続き、市町村からの意見等をもとに、必要に応じて国に要望し
ていくことを考えている。
【要望】
質問を通して、一般廃棄物の焼却率はわずかしか減っていないこと。一方、資源化率はわずかの増加にとどまっている。焼却率をもっと減らし、資源化率をさらに増やすことを明確に位置付けていただきたい。
自治体によってゴミの量や質、分別方法も分別意識も違う。ゴミの資源化を基軸に据えた循環型のまちづくりに、市町村と連携して取り組んでいただきたい。集約化と広域化で、逆行することのないよう取り組むこと。また、施設増強で自治体負担が大きくならないよう支援をお願いしたい。
【後述】
答弁で、平成13年に施行された「循環型社会形成推進基本法」は3Rの優先順位が決められており、「発生抑制」次にリュース、マテリアルサイクルとの順番であり、熱回収はその下に位置付けられているとのことです。その後、平成17年に創設された「循環型社会形成推進交付金」は、焼却施設にあっては、一定以上の熱回収や発電の効率を持つことが求められるということです。3Rの下に位置付けられている熱回収が、一定以上求められる「循環型社会形成推進交付金」は、ゴミを大量に燃やすことがやはり必要になるのではとの思いは払拭できません。