日本共産党
前神奈川県議会議員

石田 和子

いしだ かずこ
くらしと平和 希望ある未来へ
石田 和子
ブログ

議員生活ラストの一般質問は、保育士の配置基準の改善をテーマに

2023年3月2日

県議団ニュース

2月22日、24年間の議員生活最後の一般質問に立ちました。地元から傍聴に大勢駆けつけていただき、嬉しかったです。いつものように登壇する前はドキドキしますが、登壇して議場を見渡すと気持ちが引き締まりキリッとします。

最後のテーマは保育士として31年間子どもと向き合ってきた思いを込めて、配置基準の改善を、他6点です。配置基準について、9月議会で知事が冷たい答弁に、なんとしても納得できなくて、このまま辞められないという思いでリベンジしました。以下報告します。答弁はテープ起こしですので、議事録ではありません。

子どもの健やかな育ちと安全を守るための保育士の配置基準について

【石田質問】

2022年上半期の出生数は速報値で約38、5万人と、初めて40万人を下回るなど、少子化は想定を超えるスピードで進んでおり、望む子どもを持てない少子化社会を克服することは社会を存続する上で重要な課題です。生活や将来への不安感が増す中で、安心して結婚、妊娠、出産、子育てができる環境づくりが求められています。

安全であるべき保育所で、通園バスの置き去り死亡事故、さらに虐待や不適切な保育が発覚し、社会に大きな衝撃を与えました。

それぞれのケースで原因の究明と責任の明確化、再発防止の徹底を図ることは必要です。同時に、その背景にある慢性的な保育士不足を是正する必要があります。保育現場は疲弊し、離職率が非常に高く、そのことが保育の質に影響します。安心して預けられなければ仕事を続けられません。今こそ、負担軽減や低すぎる配置基準の見直しに踏切るべきとの声が広がっています。

保育士配置基準は、1948年に国が省令で定め、第4条で「最低基準は常に向上させなければならない」と規定されましたが、1、2歳児6対1は55年前のまま、4〜5歳児・30対1は74年前のままであり、日本の3歳~5歳の配置基準はOECD諸国では最下位で、先進国でこんなに低い基準の国はありません。

230222石田県議一般s03(保育士配置基準の変遷)[2065] 

愛知県の「子どもたちにもう一人の保育士を!実行委員会」が、昨年行なった保育職員へのアンケートでは、「国の配置基準では子どもの命と安全を守れない場面」の回答で「地震・火災など災害時」が84%で一番多く、保護者向けの調査では、日本の配置基準について「とても不足」「不足」「どちらかというと不足」の合計の回答は98%でした。「災害時に一人の保育士が1歳児6人の命をどうやって守れるでしょうか」

昨年の11月、全国知事会の次世代育成支援対策プロジェクトは、政府に対し、「子どもたちへの細やかな目配りにより、十分に安全が確保できる環境となるよう、1歳児及び4〜5歳児の職員の配置基準の見直しを早期に実現すること」の提言を行いました。知事は昨年9月の私の代表質問の答弁で、配置基準で心身の安全を確保する保育の提供は可能との答弁でしたが、その後の全国知事会の提言を是非、鑑みていただきたいと思います。

国会においても加藤厚生労働大臣は「保育士の配置基準の改善は重要な課題だ」と答弁しています。

保育は命、安全を守るだけではなく、一人一人発達段階が違う乳幼児の発達を保障する」専門性が求められます。

「そこで知事に伺います」

●子ども達へのきめ細かな目配りにより十分に安全が確保できる環境になるよう保育士の配置基準について、全国知事会が国に提言したように1歳児と4〜5歳児の配置基準の改善が必要と考えますが知事の見解を伺います。また、県としても国に要望すべきと考えますが見解を伺います

●併せて保育士の負担軽減策について、見解を伺います。

【黒岩知事答弁】

保育士の配置基準の改善についてお尋ねがありました。配置基準は国が児童の心身の安全を確保するために必要な人数を算定したものですが、実際に保育所が運営経費の給付を受けるには国の公定価格の基準を満たすことが必要です。公定価格では配置基準以上の体制強化を求めるとともに体制の充実を図って保育所には加算措置を行っています。

体制の充実を図った保育所を公定価格上の加算により適正に評価していくことが重要であり全国知事会は法令上の配置基準の引き上げに加え公定価格の加算も含めて改善要望を行ったものと承知しています。全国知事会の要望内容には本県の要望の趣旨も含まれていますので県単独で国に要望することは考えていませんが、国においても次元の異なる少子化対策の中で保育サービスの強化を検討していますのでその動向を注視していきます。

次に保育士の負担軽減についてです。保育士の負担軽減のためには現場で働く保育士を 増やすことに加え 1人1人が担う業務を減らすことも重要です。このため令和5年度当初予算案には配置基準外の短時間保育士の雇用や清掃洗濯などの業務を担う保育支援者の雇用に対する補助を拡充するための事業を計上しています。

【石田再質問】

知事からは現在の配置基準以上の加算措置を行っている市町村への加算を行っているんだというお話がございました。新年度の予算の中でその一環として4,5歳児のチーム保育推進加算というものがあります。国の新年度予算案で4,5歳児を30対1ではなく25対1の配置が実現可能になるよう、二人までの加配を可能とする予算が示されました。しかし利用定員が121人以上の施設に限られています。 そこで伺いますが対象となり得る定員121名以上の保育所は全国では 18%と言われていますが県内においては全保育所の何%程度でしょうか。伺います。

2点目はこの4,5歳児のチーム保育推進加算は、加算を受けるための職員の平均勤続年数が12年以上という厳しい要件があり、実際に2名の加配が可能となるのはさらにごく限られた保育所だけになると想定をされます。

やはり加算における改善は相当長期間かからざるを得ません。 若い保育士も心身ともに疲弊して辞めていく方が今多いです。経験を積んだ保育士は定年までとても働けないと言います。もう待てないのです。戦後間もなく決められた最低基準の第4条「最低基準は常に向上させなければならない」と規定されていますが4,5歳児は一度も改善をされていません。

チーム保育推進加算などの加算で、配置基準を向上させられると考えるのか知事の見解を伺います。

【黒岩知事答弁】

それではお答え致します。まず県内における定員121人以上の比較的大規模な保育所の割合でありますけども全保育所の10%となっています。

次に公定価格上の加算についてですが例えば3歳児保育において配置基準以上に保育士を配置した場合その体制に見合った運営費が給付されます。

体制の充実を図った保育所が、公定価格上の加算により適正に評価されることが重要でありまして、このような施設が増えることで保育士の配置の向上が図られるものと認識をしております

【石田要望】

まず保育士の配置基準についてです。 4,5歳児のチーム保育推進加算の対象はわずか10%ということでした。後の9割は対象にもなりませんこれでどうして改善されると言えるでしょうか。

3歳児も20対1から15対1に改善される加算がついていますけれども、これはその制度を作ってから7年間経過しておりますけども、県内における実施状況については把握されていないとのことです。100%改善されているか調査をぜひ、していただきたいと要望します。

加算による配置基準の改善では、相当の長い年月が必要になります。早急な保育士の配置基準の引き上げによる改善が今求められています。

学校でも40年ぶりに義務標準法が改正され2021年度の「学校基本調査」によればすでに一クラス平均22.7人となっているとのことです。

小学生よりも幼い乳幼児が長時間生活する保育所で、小学生より大人数の30対1はありえません。

75年も延々と放置されて、これで子どもを大切にする国と言えるでしょうか!

少子化対策としても、安心して保護者のみなさんが預けることができれば、働き続けることができるんです。

乳幼児は人格の基礎を育む最も大事な時期です。一人一人の子どもに寄り添い自己肯定感を育む大切な仕事をしています。

その保育士が疲弊してしまい希望を失うことのないように、誇りを持って働き続けられるよう、保育士の悲願でもあり、保護者の願いでもある保育士の配置基準の改善をぜひ、知事が国に求めていただければ、どれだけ神奈川の保育士が励まされるかわかりません。強く求めます。

終わりに

最後の要望で、保育士としての思いを残すことなく訴えました。

時を同じくして、3月1日のニュースで、全国保育団体連絡会などが内閣府と厚労省に「今すぐ改善をしてくだささい」と要望を行なったと報じられました。これ以上待てません。ネット上で署名活動をするとのことです。この声を大きく広げて、子どもたちのため、行き届いた保育ができるよう、保育士として働き続けることができるよう頑張りましょう。

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