重度障がい者の地域支援、県立さがみ緑風園の指定管理方針について
13日の厚生常任委員会で先に報告した津久井やまゆり園の報告その1の質問に続いて質問した内容を報告します。
重度障がいのある方が地域で一人暮らしを望んだ場合の支援体制の拡充が必要
地域で暮らす上で大事なグループホームの整備について、県の整備目標に対して実際の整備は99%整備率ということでした。グループホームを新規開設する場合の初期加算、家賃など固定費への県の補助、世話人の体制加算と増額についてなどを質問しましたが、市町村のメニューに県が補助するという答弁でした。市町村任せにしないで広域自治体として県が支援するという姿勢が必要と思います。
グループホームでの生活が困難な方の「重度訪問介護」について。
自閉症や知的障害、自傷、多傷行為など行動障害があるなどの重度障害者は、入所施設や病院、あるいは親元で暮らしているのが実情ですが、こうした方が地域で自立して生活するためには24時間付き添う介護者が必要です。
2014年度から「重度訪問介護」の対象が行動障害を伴う知的障害者や精神障害者にも拡大されました。先日、介護者付きの一人暮らしを送る重度の知的障害者の生活をおったドキュメンタリー映画「道草」を途中までですが拝見しました。重度訪問介護の制度を活用して、強度行動障害をもつ自閉症の方などがヘルパーさんの介護を受けながらアパートで自立生活している実態が描かれた映画でとても感動しました。
日中、通所施設で過ごす時間以外、自宅アパートで食事、入浴、排泄など生活全般に渡り、24時間体制の介護が実現されています。
・この「重度訪問介護」事業は、意思決定支援において、地域でその人らしく暮らしたいという重度障害者の方々の有効な受け皿の一つとなると思います。圏内では470人の方が活用されているという答弁でした。
・この「重度訪問介護」事業を立ち上げたいという場合には県の支援が必要と思います。
意思決定支援で、施設から地域への生活を望まれる重度障害のある方の地域生活を支え、保証するには受け皿の整備と運営の支援の拡充は欠かせません。
県立さがみ緑風園を指定管理制度にする県の方向性について
県の「さがみ緑風園将来方向検討会 報告書」では、①民間施設では支援が困難な一定の医療的ケアが必要な重度の障害者の受け入れ先として果たすべき役割は依然として大きい」 ②利用者本人の希望に応じ、地域生活への移行に向けた支援にも取り組み」 ③「重度障害者が地域生活を継続するための拠点施設として機能すべき」と今後の位置付けをしました。
そして、「必要とされる定員規模に縮小した上で、県立施設として運営する必要がある」と県立として位置付けましたが、「県民から求められる役割を持続的に果たすため」と言いながら、なぜ民間法人の力を生かした指定管理者制度を導入するべき」との結論を導くのかわかりません。
前段で、求められる機能、担う機能をいろいろのべて、民間では困難だから県立で運営するとしながら、なぜ、指定管理にして民間に管理運営を託すのか。
喀痰・吸引を行える資格取得の体制をとっているが県の職員は人事異動があるため、3〜4年で異動があり、資格を取るコストがかかる。また、医療と一体となった施設運営が必要だが、北里が引き上げてしまい、現在、三恩会にお願いしている。今後は医療と施設を一体で運営できる医療福祉法人の運営がメリットがあると答えました。
しかし、検討委員会報告書では、入所機能の「支援体制」として、「民間施設では受け入れが困難な一定の医療的ケアが必要な重度の身体障害者受け入れる県立施設として、質の高い介護を提供し、日常生活を支援できる体制を整備すべきである。そのためにも国の基準によらず、必要な職員配置を行う。また、医療的ケアへの対応では、24時間を通して、特に夜間、医療的ケアを提供できる看護体制を確保するとともに、医療人材の確保が円滑にできるよう医療機関との連携体制を充実させる」としています。こうした体制は、経費節減が求められる指定管理制度では困難だと思います。
通所機能を廃止するのではなく、機能をより充実させながら県立の施設として日中支援を担う方向性を!
検討委員会の報告書では、今後の方向性として、「重度障害者の地域生活を継続するための拠点施設として機能するべき」としています。地域生活の「拠点機能」の役割には、短期入所機能とともに、通所機能も重要と思います。しかし、この度の報告では、一部地域のみ利用実績になっているケアセンター、通所機能を廃止することが提起されました。しかし、県立の福祉施設として、機能をより充実させながら、地域の日中支援を担う役割は大きいと思います。廃止すべきではないと思います。