医療崩壊を止め、感染拡大防止の補正予算を その1〈県議会臨時会〉
24日、県議会臨時会が開催され、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算が提案されました。常任委員会の質疑、採決を経て、再開した本会議で全会一致で採択されました。
議員や県職員の感染リスクを考慮して、前半の本会議場には偶数番号の議員が出席し、奇数番号の議員は、インターネット中継で参加。常任委員会の席は一つ超えて座り、他の会派の質問の時は傍聴席などに座り、3回席替えしました。質疑は約1時間で。私の配分はおよそ5分でした。でも少し伸びてしまいました。再開された採決のための本会議は短時間、全議員が本会議場で。
厚生常任委員会に提案された健康医療局関係の主な内容について報告します。
健康医療局の補正の総額は159億8384万円余ですが、そのほとんど155億1925万円余が国庫支出金、一般財源は4億6459万円余です。
◆PCR検査件数の拡大を!検査センターの設置について
検査件数を増やすことが爆発的な感染を防ぐ上で緊急課題です。厚労省が定めた手順は、一定の発熱などが続く場合、保健所に設置した「帰国者・接触者相談センター」に電話し、保健師の判断で「帰国者・接触者外来」を受診、検体を採取。採取検体は保健所を通じ、衛生研究所で検査されます。しかし、窓口の保健所は電話が殺到しパンク状態で、検査を受けられないとの訴えが後を絶たず、医師会を始め専門家から検査体制の抜本的な強化が指摘されてきました。
安倍首相がやっと「PCR検査センターをつくって、かかり付けのお医者さんが必要だと判断したら、直接センターに行ける、そして検査もできるようにする」と表明するところまできました。厚労省は15日に、地域の医師会が運営し、検査を担う「地域外来・検査センター」の設置を認めるよう都道府県に通知したと報じられました。
黒岩知事は先日、県内に20カ所の検査センターを設置すると発表しました。
補正予算額は県内20カ所の設置費と8月までの運営費として計上されました。
集合検査場(検査センター)設置費 4億3720万円
集合検査場(検査センター)運営費 3億4600万円
集合検査場は地域の実情に応じて、医師会などの医療関係団体と連携して行います。運営費は医師会への委託料です。すでに1カ所目として横須賀市・横須賀市医師会・三浦半島病院会で設置する集合検査場が横須賀市救急医療センター駐車場において始まりました。藤沢市でもきまり、そのほかの地域でも設置について医師会が推進できるよう検討しているとのことです。
私は2点について質問しました。
①集合検査場をつくることで、検査にいたる流れがどう短縮されるのか
→ 課長は流れは2通り考えていると。地域の実情に合わせ、医師会の先生と連携を取りながら流れを決める。
横須賀市の検査センターは「帰国者・接触者相談センター」が受付、相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いがある場合、集合検査場に予約して、医師の診察のもと採取されるとのことです。「ウオークスルー方式」で検体を採取。検査は衛生研究所か民間会社に。二つ目はかかりつけ医に受診し、必要と判断した場合に、集合検査場で検体を採取する。集合検査場で採取し、検査機器のある病院と隣接する場合は検査まで行うところもあるようです。(答弁の聞き取りメモなので不正確があるかもしれません。再度行政から聞き取りして訂正があれば修正したいと思います)
いずれにしても、①帰国者・接触者相談センターを通さなくてもかかりつけ医に電話して受診する流れができる。 ②従来の「帰国者・接触者外来」の病院で診察、採取する流れの他に「集合検査場」で、外来、採取ができる仕組みが増えたこと。 ③中には検査も可能なところもある。
私は検査件数を増やすことと検査結果がでるまでの間のスピード化が必要と主張、要望しました。
②設置費と運営費で計8億弱で8月まで運営費大丈夫か
設置費と運営費の中に、医療スタッフ、検査機器、防護服、ガウン、マスクなどが含まれることを確認し、8月までの経費だということも確認しました。東京都の新宿区ではやはり20カ所設置するとのことですが、1カ所の委託費で月5千万円、20カ所ということで、1ヶ月で10億円を見込んでいるという。それに比べると今回の県の補正は8月まで8億円である。大丈夫かと指摘し、今後、予算の拡大が必要となる場合は予算を確保するよう要望しました。
◆医療崩壊を防ぐために 〈神奈川モデルの実施状況〉
県は医療崩壊を防ぐため「神奈川モデル」を発表し、重症度、中等症、軽症・無症状と3段階に分け、それぞれ対応医療機関のベッド数の確保を打ち出しました。これまで随時、記者発表されてきましたが、危機管理課からの事前の調査も含め現状についてまず報告します。
(1)重症者は「高度医療機関」で受け入れ
救急救命センターやICUなどのある県内複数の高度医療機関で連携して受け入れており、特に病院名などの公表は行なっていない。
(2)中等症は「重点医療機関」で受け入れ
中等症患者を集中的に受け入れる医療機関として「重点医療機関」を設定することとしており、4月21日時点で施設名を公表している医療機関は、
・県立足柄上病院(足柄上郡松田町)
・県立循環器呼吸器病センター(横浜市金沢区)
・川崎市立井田病院(川崎市中原区)
・川崎市立多摩病院(川崎市多摩区)
・国立病院機構相模原病院(相模原市南区)
・厚木市立病院(厚木市)
*その他、民間病院なども設定ずみですが非公表
病床数は重症・中等症合わせて県全体で約1000床
病床数は上記以外に横浜市が確保している重症・中等症患者受け入れのための500床および湘南Iパークに開設予定の180床などを含めて県全体で約1000床です
県は、疑似症の患者を受け入れる「重点医療機関協力病院」も設定していますが、重点医療機関に分類されています。
ある疑似症の患者を受け入れている看護師さんからお聞きしましたが、疑似症の患者さんには感染者と全く同じ対応をしますが、医師、看護師が足りない。防護服、マスクが足りないと。容体が急変することもあり医療スタッフの感染リスクとの闘いながらの仕事で、院内感染を絶対起こさないために緊張しっぱなしだということです。医療崩壊は始まっているのが実感だと言っておりました。朝、出勤するときに、もし今日自分が発症したら、帰ってくるときは骨になって帰ってくることになると思うんだそうです。コロナ医療現場はどこもそうだと思います。安倍首相は感謝の気持ちを言うだけでなく、今こそ、抜本的な財政支援で医療体制を強化すべきです。
(3)軽症者.無症状はホテル等で受け入れ
軽症者、無症状の方に療養いただく宿泊療養施設は、
・湘南国際村センター(葉山町)約100室
・アパホテル&リゾート横浜ベイタワー(横浜市中区)約2300室で県として2400室確保。
そのほか、横浜市立市民病院の移転後の病院を活用し5月開始予定で約200室、旧北里大学東病院看護師寮に40室。
今後の病床拡大の目標=重度・中等症で2800床確保
県全体の目標について、重症・中等症の患者に対する病床として、蔓延期のフェーズ2に対応するため、2800床の確保を目標としており、現在も複数の医療機関と調整しているとの回答でした。2800床の内訳は重症患者受け入れは300床、中等症を2500床としています。
補正予算では
(1)重点医療機関の設置・運営など
①重点医療機関等の設備整備費補助 26億6670万円余
コロナウイルス感染症対策における重点医療機関等が行う設備整備にかかる費用への補助です。機械、防護服、ガウン、マスク、人工呼吸器、エクモなど、政令市も含みます。確実に届くよう調査し要望を把握している。
②重点医療機関としての機能を担うための施設整備補助 1億5900万円余
③湘南Iパークに仮設病棟設置・運営費 30億円
重点医療機関として180床の仮設病棟の設置と運営費の予算です。
④ 高度医療機関、重点医療機関の人員確保の費用補助 8億4千万円余
医療スタッフは感染のリスクとの厳しい闘いの中で、患者の命、自分の命を守るために限界にきていると報道されています。私も疑似症患者の受け入れ病院の看護師から厳しい実態に置かれている話を聞きました。家族にうつさないために自宅に帰らず寮やホテルで泊まっている人も。院内感染も広がっていて、このまま進めば医療崩壊が間違いなく起きると専門家からも指摘されています。
私は危険手当などが必要と思う。重度、中等症の現在、公表されている病院は公立.公的病院だが、特殊勤務手当などを検討して欲しいし、民間の病院にも同じ対応をすべきと思う。国が、コロナ対応のいくつかの診療に対し、診療報酬を2倍にするとしたが、是非、医療スタッフを守る対策をしっかり取っていただきたいと要望しました。
(2)軽度・無症状患者の療養施設の運営
①軽度・無症状患者の療養施設を県が借り上げ、運営する費用
35億1500万円余
湘南国際センター100室とアパホテル横浜ベイタリー2300室を借り上げ、世話する人含めた委託料、患者の負担はなし。軽症者として自宅で待機していた人が容態が急変し、なくなったこともあり、様子をしっかり把握していく必要性があります。県は軽症者について自宅ではなく、医療の目が届くホテルを療養施設として借り上げ流。看護師常駐。
(3)検査・診察体制の強化
① 感染症患者移送費1億2500万円余
民間救急車を活用して感染症患者を医療機関に迅速に搬送する
② 感染症患者の入院医療費の公費負担を行う 15億9200万円
③ 保健福祉事務所などで使用する防護服やマスクなどの資機材を整備
13億3300万円余 保健福祉事務所だけでなく、患者搬送を委託する民間救急車などにも。備蓄も含め整備する。
④ 高度医療機関、重点医療機関、重点医療機関協力病院の病床確保に伴って生じる空床について保障する 14億4000万円
⑤ 各保健福祉事務所に看護師・保健師有資格者を1名配置 2163万円余
保健所に増員を主張してきましたが、やっと1名が配置されることに。ただ、正規職員として保健師の定数増が図られることが求められると思います。
⑥ 県民の不安解消や保健所業務の負担軽減を図る 2億4600万円余
従来の専用ダイヤル、帰国者・接触者相談センター業務に加え、自宅および宿泊療養者からの電話相談対応や健康観察を行う。
(4)こころのケア
宿泊施設や自宅で療養する軽症者や罹患者を受け入れる医療機関などの従事者に生じる不安やストレスを解消するための相談体制の整備を図る 2500万円
コロナ医療用防護マスクの買い入れが急がれるとして50万枚の買い入れとして1億3150万円の専決処分が提案、承認されました。
なお、福祉子ども未来局関連については その2 で報告します。