PCR検査の抜本拡充に政府がイニシアを
政府の新型コロナ感染症対策が自治体任せになっています。
【PCR検査拡充について、この間の流れ】
共産党は7月28日に安倍首相に対し、PCR検査について緊急申し入れを行い、感染震源地(エピセンター)の徹底検査などを緊急に求めましたがその後、東京都医師会が感染震源地への徹底検査を求め、日本医師会の有識者会議が無症状の感染者も含めた検査体制の確立が必要と提唱。超党派による「医師国会議員の会」が政府への要請で「感染震源地への集中的検査」を明記するなど、前向きな流れが起きています。
この間、厚労省は7月15日と8月7日に都道府県や保健所設置市に事務連絡を発出(8月16日のブログで紹介)。その後、厚労省は8月18日にも事務連絡を発出しました。
全国知事会は8月8日、PCR検査等の戦略的拡大について緊急提言を発表し、「国の負担による行政検査」を求めています。クラスターが発生した施設などの関係者はもとより、初期段階で封じ込めに必要な濃厚接触者以外も含む幅広い調査、施設内感染を防ぐための医療、介護・障害者施設の従事者、公益性の高い被災地への応援職員・ボランティアなどについても検査対象に含め「国の負担による行政性検査」として実施することなどの提言です。
【厚労省の事務連絡】
▲8月7日の厚労省の事務連絡は「自治体の判断により、現に感染が発生した店舗などに限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であるため、積極的に検査を検討していただきたい」としました。
▲8月18日の事務連絡は、感染者が多数発生していると考えられる地域の医療機関や高齢者施設などに勤務する人や入院・入所者に「感染拡大防止のため、幅広く行政検査を実施していただくことは可能」としました。
●志位委員長が8月20日記者会見、「政府がイニシアを!」
〈厚労省の事務連絡は1歩前進だが、自治体まかせでは打開できない!〉
志位委員長は、PCR等検査の拡充について、地域の関係者を幅広く検査することを厚労省が事務連絡で認めたことは一歩前進と語りつつ、事務連絡が「自治体の判断」とし、自治体任せにしているのは大きな問題と指摘。政府が自ら主導して検査の抜本拡大で感染拡大を抑止するという姿勢が見えてこない。これでは事態を打開できないと述べ、「政府が感染震源地への徹底検査、社会的検査について、自治体任せにせず、それを推進するイニシアチブを発揮することを強く求めたい」と表明しました。私も16日のブログに書きましたが、事務連絡は出すものの徹底されないのは、自治体の判断による内容になっているからです。
米ニューヨーク州では、3〜4月にかけ感染が急速に広がり大きな犠牲が出ました。その後、検査を大きく増やし、現在陽性率を0、9%にまで抑え込んでいます。(神奈川県の9/2の陽性率は4、6%)。重要なことは感染者が減った時期も検査の数を増やし続けたことであり、海外のこうした経験にも学び「検査によって抑え込む」という立場にしっかりたつ必要があると強調しました。
【世田谷区と千代田区の先進的な取り組み】
〈世田谷区は、従来のPCR検査を2倍化し、社会的検査を実施〉
① 発熱などの症状のある人や濃厚接触者に実施している1日約300人を600人へ倍加。
保健所と区医師会が行うPCR検査センター内に、12時間で500検体を分析できる機器を導入し、結果が出るまでの時間を短縮します。
② 新たに社会的インフラを維持するために、介護事業所や保育所などの職員に対し「社会
的検査」と位置づけ、1日1000人を見込んで検査を実施するとしました。介護事業所(約1万人)、保育園(約1万人)と幼稚園(約1千人)の職員、特養ホームなどの施設入所予定者の3ケースを想定。今回は介護事業所職員に先行実施するとしています。社会的検査は保健所に新たな負担を強いることは難しいので、民間へ委託します。費用は寄付金、国や東京都への財政支援を求めると口調は発言しています。
〈千代田区は介護施設職員対象に概ね3ヶ月ごとに定期的なPCR検査を実施〉
区内の特養ホーム、グループホーム、ショートステイの7施設の職員約430人が対象です。唾液によるPCR検査で医師の指導のもと各施設で採取します。年度内の経費は3000万円。当面、6月に成立した補正予算の予備費から当てます。
【8/28、政府は「新型コロナ感染症に関する今後の取組」を決定】
〈国は自治体任せにしないで、財源示しイニシアチブを〉
安倍首相は辞任会見の際、今後のコロナ対策について決定したと発表しました。
そこには、「感染者が多数発生している地域や、クラスターが発生している地域では、その期間、医療機関、高齢者施設などに勤務する者、入院・入所者全員を対象に、いわば一斉・定期的な検査の実施を都道府県などに対して要請する。
また、地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、現に感染が発生した店舗、施設などに限らず、地域の関係者を幅広く検査することを明確化し、都道府県に対して、積極的な検査の実施を要請する」というものです。
内容は志位委員長が要請した内容と同じですし、医師会も要請したことと同じで前向きですが、都道府県に要請するとして、自治体任せにしているのが大きな問題です。全国知事会の緊急提言のように行政検査を国の負担で行うことも示すべきです。
政府のイニシアチブを求めるとともに、千代田区や世田谷区のように早期に感染拡大を抑え込むためには県の姿勢も問われるところです。県に対しても引き続き予算措置を求めてまいります。