国保の保険者努力支援制度の交付金と評価結果について
令和3年度国民健康保険事業特別会計が提案されており、賛否が問われる議案です。
国は赤字補填のための法定外繰入をやめさせるために、保険者努力支援制度を導入し、一般会計から決算補填を目的とする法定外繰入を行なっていない場合は、満点の35ポイントを獲得できる。 法定外繰入を行なっていても6年以内に解消する計画を策定し、計画通り削減している場合は30ポイント。 あるいは6年以内には解消しない計画であっても計画通り削減していれば10ポイントとされているが、計画通りに削減していない場合は、マイナス15ポイントとされています。このマイナスの評価は、2020年度の交付金から導入されました。そこで20年度がどうであったか3月4日に質問しました。以下質問と答弁の要旨です(答弁は石田のメモ)
なお神奈川県議会インターネット中継の録画も配信されていますので、ぜひご覧ください
1、石田 国は、2020年度から各地方自治体の一般会計からの決算補填目的などの法定外繰り入れをやめさせるために、赤字解消計画を策定させ、その計画の進捗状況に応じて保険者努力支援制度の特点配分を設定することにしました。2020年度の国の保険者努力支援制度の交付金の考え方を伺います。
(答弁)保険者努力支援制度は、「骨太の方針2019」に基づき、2020年度、保険者の予防、健康づくりの取り組みや保険者機能の強化をさらに促進するため、抜本的な強化として評価方法の見直しが行われた。具体的には①特定健診・保健指導にマイナス評価を導入した ②糖尿病重症化対策のアウトカム指標を導入した ③法定外繰入にもマイナス評価を導入した
法定外繰入の解消については、国保財政を健全にする観点から、解消の期限や、解消のための具体的な計画が盛り込まれた計画の策定を求めるとともに、保険者努力支援制度における加算減算の双方向でのインセンティブ措置、マイナス評価を導入して法定外繰入の早期解消を促すこととした
2、 石田 次に、保険者努力支援制度の国の交付金は既存分として、1000
億円、新規分として500億円である。これに対して、2020年度の本県の評価結果と交付金について伺う。また、評価の項目および項目に対する評価についても伺う。
(答弁)令和2年度の評価結果は、既存分は県が44位、市町村が46位
(県の資料から補足すると、内訳として、10万人あたりの保健師数は47位、特定健診受診率は46位、保健指導実施率47位と全国最低レベルです)
交付金額は既存分は県、市町村合計で54億円、新規分の予防・健康づくり交付金分については24億円となり、合わせて令和元年度より4億円増額の78億円となった。
評価の項目及び項目に対する評価ですが、法定外繰入に対する評価結果は
・一般会計から決算補填を目的とする法定外繰入を行なっていない満点の35ポイント獲得は14市町村、
・決算補填目的の法定外繰入を行なっていても、6年以内に解消計画を策定していて、計画通りに削減している30ポイント獲得は4市町村、
・6年以内の解消する計画を策定していて、目標達成していないがその2分の1以上の削減していない0ポイントが1市町村。
・6年以内に解消しない計画であっても計画通りに削減している10ポイント獲得は12市町村
・計画通りに削減していないマイナスポイントは2市町村だった。
3、 石田 昨年度は、2018年度の決算剰余金を財政安定化基金に積み、そ
のうち、64億円を繰り入れ、被保険者1人あたりにすると4000円の保険料引き下げに充当しました。今後も剰余金は保険料引き下げに使っていただきたいと要望しました。
2019年度の決算剰余金など、2021年度国民健康保険料の負担軽減のために取り崩す財政安定化基金に入れる項目と金額はいくらか、その結果、保険料負担額はどうなったか伺う。
(答弁)2月補正予算案に計上した財政安定化基金積立額は、73億円.内訳はA)令和元年度決算余剰金106億円のうち、52億円
B)令和2年度の国予算500億円により追加された保険じゃ努力支援交付金の新規分の交付額のうち、事業費充当分を除く、21億円
C)市町村との協議に基づき平成30年度剰余金を取り崩す20億円
以上の合計96億円を、市町村から徴収する国民健康保険料事業費納付金の一人当たりの額は令和3年度13万6998円で、2年度の13万6528円に比べて470円の増となったものの、一人当たりの医療費などの増により、上がり続ける被保険者の負担の低減が図られるものと考える
4、 石田 子どもの均等割をなくすことについて
国保料が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、いちじるしく高くなる大きな要因は、世帯員数に応じた均等割保険料がかかってくるからです。世帯員数は子育て中など多人数世帯ほど負担が重くなります。私たちは子育て世帯の均等割をなくすことを求めてきました。国の動向を伺います。
(答弁)子どもにかかる均等割の軽減については、県としても、全国知事会などを通じて国に要望してきた。国においても継続的に協議がなされ、令和2年12月閣議決定した「全世代型社会保障改革の方針」に基づき、子ども(未就学児)にかかる均等割額の減額措置の導入に向け、公費支援制度の創設も含めた医療保険改革法案が、国会に提出された。引き続き注視し制度化される均等割の軽減制度が市町村において円滑に実施されるよう必要な援助をしていくとともに、必要な意見を国に伝えて参る。
要望
日本は誰もがいつでも病院にかかることができる優れた国民皆保険制度があります。国保料は全国健康保険協会などの保険料と比較しても保険料が高すぎて払えないという住民の声に応えるために各自治体が苦労しながら保険料引き下げに取り組んでいます。保険者努力支援制度でマイナスポイントも設定されましたが、自治体の努力を締め付けることになるのではと危惧します。剰余金については国保料の引き下げに活用するよう要望します。
議案の委員会の採決は3月19日です。県議会では採決の前に行う「意見発表」で、意見要望して採決態度を表明します。なので、この日の質疑と要望はこの程度で終わりました。