〈農林水産費〉農業担い手支援を強めて (決算特別委員会11月9日)
本県の就農者は、高齢化や後継者不足などが原因で、この5年間で2407人減少しました。一方、2020年度の新規就農者は75人です。
耕作面積も2015年度19,600ヘクタールから、2020年度は18,400ヘクタールと1,200ヘクタール減少しました。
担い手支援を強める事が必要です。県が国の事業を活用して実施している「農業次世代人材投資事業費補助」について質問しました。
「農業次世代人材投資事業補助」は農業者となることを志す49歳以下の方を対象にしています。
「準備型就職氷河期事業」として決算額は2,637万円、この事業は就農に向けて必要な技術を学ぶため、かながわ農業アカデミーなどで研修を受ける方に対し、1年あたり最大150万円を最長2年間交付します。2020年度は17人でした。
「経営開始型」の決算額は1億979余万円。この事業は就農後の生活を支援するために独立自営就農し、就農地の市町村が地域の農業の担い手として認める、認定新規就農者に対して、1年あたり最大150万円を最長5年間交付します。2020年度は、新規が15名、継続が72名の計87人に対し、17の市町を経由して交付したとの回答でした。
期間や補助額など交付要件の拡大の声があることから要件の拡大ができないか、受給終了後、農業経営を続けられる支援が必要と思い質問しました。
農業振興課長は、経営開始型は、新規就農者を大幅に増やし、地域農業の担い手として育成する、国の認定新規就農者制度のメリット措置として設けられた支援策の一つになります。認定新規就農者制度では、経営の開始から5年後を目標とした青年等就農計画を市町村から認定を受けることで認定就農者となり、各種の支援を受けることができるようになります。そのため、経営開始型の交付期間を最長5年間とされており、その計画の期間内で経営の安定を図ることが求められていますので、交付期間は適切だと考えております。
また、受給終了後につきましては、農業技術センター等の普及指導員が交付対象者の経営発展に支援するために、研修会の開催や個別巡回により栽培技術や経営に関する指導を行っており、経営の発展段階に応じた支援に引き続き取り組んで参ります。
担い手がこんなに減少している実態についてどのように考えるか、今後に向けて多額な不用額を活用して、担い手の拡大、生活支援含めた取り組みや中小の家族経営への支援策の強化が必要と考え質問しました。
農業振興課長は、今回、減少した形態を経営規模別に見てみますと、年間販売額300万円未満の経営体の減少が全体の8割以上を占めております。このような小規模農家のリタイアは今後も続くものと考えられますので、農家数の減少による生産量の減少分をカバーできる、意欲が高く、持続性のある経営体を育成し、農家数が減少する中でも、生産量を維持するため、トップ経営体の育成等の支援に取り組んで参ります。
また、担い手の拡大や中小、家族経営の支援としましては、農業技術センター等の普及指導員による農業者の経営の発展段階に合わせた技術指導や、中小の生産者の出荷先である大型直売センターでの販売品目を増やすための栽培技術の指導等を行っております。
なお、担い手育成推進費の主な不用額についてですが、平成30年度の台風24号、及び令和元年度は台風15号、19号に伴う施設再建や、修繕するための事業や、農業次世代人材投資事業で、事業対象者が計画より少なくなったことによる、財源である国の補助額が減少したものでございます。そのため不用額について他の事業に活用できないものとなっております。
最初の答弁は違和感があります。私は小規模農家がリタイアしない支援策を求めたのに、今後も小規模農家のリタイアが続くと考えるので、生産量の減少をカバーするためにトップ経営隊の育成支援に取り組むとの回答でした。就農者減少に対する考えも示されませんでした。
意見要望
2020年度の県民ニーズ調査結果を見ると、約5割の人が農業の役割として安心・安全な食料の供給をあげ、8割以上の方が県内の農林水産業を活性化する上で「地産地消」の取り組みを重要と答えています。農業は命と健康の源です。国土と環境を守り、気候変動の中、食料自給率を高めることが求められています。耕地面積も2015年度19600ヘクタールから2020年度は(18400ヘクタールへと)1200ヘクタール減っています。たくさんの農業振興策のメニューがありますが、それぞれの事業の拡大含めて取り組みの強化を求めます。
◉実はもう1問準備して当局からヒアリングを受けていました。予算措置の充実を求める質問でしたが、当日時間がなくなって質問できませんでした。関係団体の皆さんからも、人気のあるメニューと言われ、充実を求める意見があったものですからヒアリングでわかったことだけですが、報告します。
県単独事業の、「都市農地保全支援事業費補助」についてです。
決算額は2019年度1,255万円余、20年度1303万円余です。この事業は生産緑地の多面的機能を強化する設備の整備などに対して市と連携して、1件あたり350万円を上限として補助する事業です。
温室や農耕器具なども含まれるようです。
20年度にこの事業を活用している自治体は、厚木市、綾瀬市、藤沢市、秦野市、小田原市、南足柄市名、21年度から川崎市が加わったとのことです。
前年度から生産緑地のある自治体に要望把握の調査を行い、新年度に入っても確認しているそうです。別の機会に質問しようと思います。