原爆投下から74年。今年も第22回核兵器廃絶のための高津区原爆展が行われました。
8月8日高津区役所ロビーで8月5日から開催されていた「核兵器廃絶のための高津区原爆展」にやっと時間がとれて行きました。まず目に飛び込んだのが、高津区にお住いの二人の芸術家の平和へのメッセージが込められた作品です。
友禅染作家・石渡弘信さんの友禅染「ノーモア ヒロシマ ナガサキ」です。「半減期が天文学的な歳月のかかる核のゴミ、民間人も区別なく殺害してしまうこともできるほど核保有が進む今日、2度とヒロシマ・ナガサキのような原爆投下ということがあってはならない祈りをこめて、友禅染の色糊を使って型紙で捺染色をした上に、核爆弾の 爆風熱線を表現してみました。祈りをこめて制作」と石渡さんの作品に対するあつい思いが伝わるメッセージが添えられていました。
作品をよく見ると広島の「原爆ドーム」と投下された8時15分で止まった時計が描かれています。誕生日が原爆投下と同じ8月6日の石渡さんは、生まれた年は違うけど誕生日の度に原爆投下は2度とあってはならないと核兵器廃絶の思いをずっと持ち続けてきた。その祈りをこめて制作したと語ってくださいました。そして原爆展の主役はこどもですと、東橘中学校の就学旅行において平和宣言をしてくる取り組みが原爆展の主役だとも言われました。
並んで展示されているのは高津区の書家 島崎鳳涛先生の「平和こそが最大の人権擁護です」の書です。人権擁護のまさに多様性を尊重する独特の字体と色合いに、強さと優しさ、そして平和への願いを強く感じます。
そして石渡さんが主役と称した東橘中学校の平和の千羽鶴を織り込んだ作品とともに、広島への修学旅行における平和宣言が展示されていました。宣言の最後に「私たちはここで誓います。 家族や友を愛し続けることを人を思いやり受け入れることを その為に学び、行動し続けることを今も世界のどこかで起きている戦争や争いから目を背けないことを誰もが笑顔で過ごせる未来を創ることをそして平和を諦めない強い心を持ち続けることを力強く生きていくことを 二度とあのような悲劇を起こさぬように世界平和を心から願って」と結んでいます。一言一言に感動しました。
核兵器禁止条約に調印した国70ヶ国、核兵器禁止条約を批准した国24ヶ国になりました。しかし、唯一の被爆国である日本は署名に背を向けたまま。安倍首相には核廃絶を求める被爆地からの切実な声が聞こえないのだろうか。長崎市の式典で被爆者代表の山脇佳朗さんが平和への誓いで述べました。「この場で安倍総理にお願いしたい」と核保有国への核廃絶への働きかけと、対米従属でない毅然とした態度を示すよう訴えました。「被爆者が生きているうちに核兵器廃絶の毅然とした態度を示してください」この声が届くまで核廃絶を願う人々と一緒に声を上げ続けたい。改めてその思いを強くもった今年の高津区原爆展でした。