福井県の少子化対策と福井市の幼児教育、保育事業を視察しました(07年11月4日)
2007,11,05, Monday
11月1日と2日に共産党市議団の「子育てチーム」として、合計特殊出生率が平成17年には全国2位で「1・50」に上昇している福井県と福井市を視察しました。
福井県の多岐にわたる少子化対策
驚いたのは女性の就業率が51・6%、夫婦のいる世帯数に閉める共働き世帯数の割合が58・2%(ともに全国1位)ということです。こうした状況をうみだしている福井県の少子化対策は、多岐にわたっています。
保育所の待機児童ゼロで示されているように保育事業に大変力をいれています。また父親の子育てを応援する取り組みを行なう企業を表彰し、受賞企業には県制度融資を利用する場合の保証料全額補給や県の入札参加資格における審査項目として加点評価をおこなうなど企業における子育て応援の促進。「結婚相談員による迷惑ありがた縁結び」など若者の結婚を応援する環境づくりなどなどです。
なかでも<「ふくい3人っ子応援プロジェクト」は3人以上子どもを持つ世帯の経済的負担の軽減を図るため、3人目以降の子どもについて、生まれる前の妊婦検診費から子どもが3歳に達するまでの医療、保育にかかる経費を原則無料とするものです。
放課後子どもクラブは、全児童対象の「放課後子ども教室」と、学童保育である「放課後児童クラブ」を並立させながら一体的に企画・運営する「放課後子どもクラブ」を推進しているとのことで、課長さんは「国も言っているように、目的が違うので、学童保育をなくすことは考えていない」と明確に答えていました。
駅に近いアオッサというビルの5階にある<福井市男女共同参画・子ども家庭センターを訪問しました。小児科医、精神科医、弁護士による専門相談が充実しています。
福井市の保育所も幼稚園も公的役割が明確に位置づけられています
福井市の保育所は公立37園、私立41園、合計78園を有し、園児数は07年4月7255人。待機児はゼロとのことです。歴史的に、織物の機やさんのお母さんの仕事を支えるための保育所を幼稚園より先に充実させてきた経過があるとのことで、園児数は保育園児数がはるかに多いのも特徴だと思います。
公立保育園の民営化については、今年度中に行革の関連で検討し、民営化の計画をまとめる予定だったが,市長が急遽辞めるので、凍結になっているとのことでした。「基本的には、公立が担うべき役割があり、採算が取れない部分、民間がうけづらい部分を公立が担っていくべきだろうと考えている。公立が保育の質の一定の基準になると考えている。」と公立保育園の公的な役割を認識され、明確に位置づけていました。
幼稚園は公立が国立付属も含めると22園、私立20園で、定員数5715人中、07年5月現在の園児数は2878人です。
福井市は面積も広く、市の中心部は私立幼稚園が、その周辺に公立幼稚園が点在しています。公立は小学校に併設され、1年、2年、3年保育のところがあり、在園児が10名以下が9園あり、2人だけの幼稚園もあります。ここは小、中あわせても44人だそうですが、統合の考えを聞いたところ、「住民に聞いたら、小学校や中学校もつぶすのかといって反対されたので廃止はしない。過疎地のこどもに幼児教育を保証するのが行政の役割」と答えられ、行政が責任もって幼児教育を保証していく、このことが明確に位置づいていました。
幼稚園の保育料は公立は6100円で入園料は11,000円、私立幼稚園の保育料は2万円前後で入園料は2万円前後から3万円前後です。「行政として、公、民の保育料が不公平だという考え方はないのか」と質問したところ、「私立幼稚園は保育料補助があるので、公立と負担感は変わらないと考えるので、不公平とは考えない」とのことでした。
公立幼稚園を1箇所見せていただきました。70人定員ですが3,4,5歳児が30人在園で、先生は3人いらっしゃいました。室内でまつぼっくりや毛糸、紙コップなどで剣玉をつくっていました。とっても落ち着いてとりくんでいました。
校長先生が園長兼任でしたので、学校の少人数学級の取り組みもお聞きしました。
中学1年生が30人学級、中2、中3と小6が36人学級、小1~小5が40人学級ですが、35人以上には県費で臨時任用教員がつきます。
福井市は子どもを大切にする施策がきめこまかく充実しています。
幼稚園も保育所も公の担う役割を位置づけ、コスト論などで比較していません。
学ぶことがとてもたくさんあり、有意義な視察でした。是非生かしたいと思います