このまちレポート

視覚障害者の移動支援事業の改善に関する請願審査が行われました。

2007年11月19日

2007,11,19, Monday

11月7日の健康福祉委員会で、視覚障害者の方々から寄せられた請願の審査がありました。遅くなりましたが報告します。

2007,11,19, Monday

昨年4月施行の障害者自立支援法に沿って、市が行なう「移動支援」という事業が昨年10月から始まりました。
文字どおり、移動支援とは障害者の方々が外出する際の移動を支援する事業です。川崎市は、①役所や銀行、日用品の買い物、冠婚葬祭など社会生活上不可欠の移動支援 ②映画や音楽、スポーツ、社会活動に参加する場合の余暇活動、社会参加のふれあいガイドと、目的によって区分を二つに分け、利用者負担率に3%と8%の格差を設けるとともに、余暇活動については事業者の報酬を引きさげ、(社会生活上不可欠の報酬単価1600円、余暇活動は1000円〈時間〉)、応諾義務をはずしました。余暇活動はボランタリーな活動で支えると言う主旨です。

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今回の請願は、目的による区分わけをしないで統合一元化してほしいということと移動支援の際に、証明となる挙証資料を廃止してほしいという主旨でだされました。

「社会参加の活動に参加したあとに日用品の買い物に行く」とか、「役所に言ったあとに映画に行く」とか、誰でも行なう行動パターンです。音楽を聴きにいくのも、友達と食事をするのも生きがいであり、リハビリでもあると思います。当たり前の権利として認められるべきではないかと考えます。しかし障害者のかたがたが移動支援を受けるときには、必要不可欠と余暇活動という分類に分けられてしまうのは理不尽であり、人権の問題だと私は考えます。支援の中身も目的によってちがうわけではありません。

事業者には「不可欠」の移動支援には応諾義務を課しますが、余暇活動は応諾義務がありません。また余暇活動を支援するふれあいガイドのヘルパーさんが足りなくなっていると聞きますし、報酬単価が1000円では事業運営が続けられないということも十分危惧されます。
利用者負担は自立支援法では1割負担ですが、川崎市は3%、8%と負担軽減をはかり、今年の4月には報酬単価の時間帯加算を設け、挙証資料も一部改善されました。
しかし、一か月のサービス提供計画が40時間を標準時間の目安にし、2倍以上の計画が出た場合には、市のサービス調整会議にかけられ、必要な移動支援か、的確な内容かを審査する仕組みをつくりました。

国連は昨年12月に『障害者権利条約』を採択し、すべての障害のある人たちへの人権を守り発展させることが謳われました。日本も今年の9月に外務大臣が国連に行き、障害者権利条約に署名しました。〈署名は113カ国に〉政府は今後批准に向けて条約の内容に見合ったものになるよう国内法の整備を迫られていきます。

この条約は人間誰にも保障されているはずの権利を、障害者は行使できずにきた現実を認め、完全に社会参加できるよう、実質的な平等を保障するものです
30条では文化的な生活、レクレーション、余暇、スポーツへの参加の権利を保障し、そのアクセスについても確保することを明記しています。この基本的な人権がきちんと保障される制度でなくてはならないと考え、私はこの観点で二つの分類をやめ、挙証資料もやめるべきと委員会で発言をしました。
委員会では他の委員からの質問に対し、行政から「今後利用者、事業者、行政の3者協議をおこなっていく」「挙証資料はやめないが、どういうものが必要か、これはいらないのではないかなど検討する」との答弁がありました。

委員会としての取り扱いは継続審議になりました。