2008,06,04, Wednesday
高齢者や障害者の介護・福祉サービスが、いま深刻な人材不足に直面し、大きな社会問題になっています。介護労働者は1年間で5人に1人が離職し、共産党国会議員団の調査では、募集しても予定どおり人が集まらない障害者の事業所が7割近くにのぼりました。
希望に燃えて就職した青年たちが「働き甲斐があるが、月収15万円では結婚も子育てもできない」などと無念の思いであいついで職場を去っています。
深刻な人材不足は介護保険法の改悪や障害者自立支援法の強行などにより、利用者に大きな負担増とサービスの利用を抑制する一方で事業所にたいする報酬を引き下げてきたことが最大の原因です。人材不足をこのまま放置すれば、地域の高齢者介護、障害者支援の体制は崩壊しかねない状況ではないでしょうか。
私たちは、介護や看護を必要とする人が、安心して福祉・医療をうけられる。そして働く人たちも、気概と誇りを持って、専門性を構築しながら働きつづけることができるよう、人材不足の危機を打開するために、どうすればよいのか、みんなで考えたいと小川栄治先生の講演と現場からの報告と交流のつどいを5月31日に開催しました。
介護の現場からは・・・
・人の体制を取るのが本当に大変になっている。養する専門学校も定員割れ。夜間学校の専門コースも生徒が集まらないので来年度辞めう学校もある。
・来年度の改正にむけ、準備されている要介護認定の新ソフトでは、要介護1と2の方の割が要支援2になり、介護保険の対象でなくなるということだ。このように介護給付を引き下げるための改正はやめるべきだ。介護度でぶつぎりにする介護保険は一体なんのためにつくったのか。元に戻して、高齢化に向けてどうやって高齢者が安心して生きられる社会をつくるのか、検討しなおすべき。
・利用者を守るには、人が環境であるから、職員が定着し、同じ顔ぶれで、心が通い合うことが大切。職員の顔色を見ながら、職員を選んでトイレ介助を頼むようでは温かい介護ができているとはいえない。こうしたことのないよう職員を育てたい。
・人材確保が厳しいので、入所抑制という苦渋の選択をしている。何年もつだろうか。
・この仕事は、自分だけの人生を歩むだけでなく、いくつもの人生を一緒に生きていくことができる。人間が支えあっていく。そのことで人間が高まっていくことができる本来すばらしい仕事だ。
・5年前までは経過措置の補助金があったが、なくなってからは運営が本当に大変。予算措置を行なって、人材確保策を自治体としてもとるべきだ。
障害者の事業者からの声
・正規からパート化、常勤から契約職員にせざるを得ない。 正職員は全体の7%のみ。契約職員は16%、後はパート、アルバイトという実態。1週1週人を回す大変さ。
・職員は本当に熱心にやっている。大部分は親元から通っている。自立できる賃金を払いくても払えない状況でこれではワーキングプアだ。
・障害者がいつの間にか区分に分けられる法律ができてしまった。区分で人間を判定なんかできない。区分によって報酬単価が違い、受けらるサービスとうけられないものとあるのは支援者からもつらいものだ。
・障害者自立支援法の理念はまちがっている。抜本的に変える必要がある。
・市は外出支援のふれあいガイドはボランタリーでよいとして1時間1000円の報酬単価にしてしまった。そのため他の事業所はふれあいガイドを縮小したところが多いので、当事業所に回されてくる。可能な限り応えたいがうちでも手一杯で苦しい。
・ヘルパーは障害者支援より、高齢者の介護保険報酬のほうが高いので、結局障害者より護保険のほうに人が流れる。もっと障害者支援の単価を上げてほしい。
現場の実態を行政はっかり掴んでほしい。・・・・
多くの方からの発言はとても感動でした。
現場のみなさんのこの仕事に対する思いを聞くことができて本当に感動しました。大変だけれど何とか高齢者や障害者のみなさんによりそう支援を行ないたいという気持ちがひしひし伝わると同時に、そうした仕事が、介護保険法の改悪と自立支援法の強行によって、報酬単価がきりさげられたために、困難になっていることへの苦悩と怒りを強く感じました。
誇りを持って働き続けられるよう、
介護・福祉労働者の待遇の改善をー国の責任で賃金アップへ緊急措置を講じることを日本共産党国会議員団は緊急提案しました。
そしてわたしたち市議団は3月議会で、東京千代田区のように非正規職員の正規化、パート職員の時給アップなどの人材確保策を川崎市も取るべきと質問しました。答弁は「県が介護人財確保の具体策を検討するのでそれをうけ検討する」「今年度、第4期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画を策定するので、そのなかで検討する」というものでした。
グループホーム・ケアホームの市の独自加算の継続と増額を求めましたが「国が緊急措置を実施する予定なので、状況を見て検討する」というもので、国や県の対策まちです。
市としてどうするのか、主体的な見解と対応策をどうするのか今後もとりあげていきます。