このまちレポート

帯広市と釧路市に行き勉強してきました

2010年10月25日

20日帯広市、21日釧路市に行き、勉強してきました。
明治16年に移民団が入植し開拓がはじまったと言う帯広市。飛行機からパッチワークのような美しい十勝平野を見ながらの着陸でした。盛りだくさんの視察でしたので、2回に分けて報告します。今日は帯広市の報告です。

帯広市の中小企業振興基本条例の取り組みを勉強しました。
帯広市は中小企業振興基本条例をH19年4月1日施行しました。この取り組みはH9年に帯広市議会から墨田区の取り組みを例にこの条例制定の意義の提唱からスタートしたそうです。そしてH17年中小企業同友会帯広支部総会において「中小企業振興基本条例プロジェクト」の設立が採択され、本格的な取り組みが経済界と行政機関が一体となって進められたとのことです。実態調査、悉皆調査においても、コミュニケーション型の実態調査で深い話し合いを行い、延べ40人に上る中小企業振興協議会のメンバーと議論を重ね、H19年8月からH20年11月までの間に計74回も会合を開き、論点を整理し、解決策を議論し政策提言をおこなってきたとのことです。そしてこの協議会は回数を何回でも開けるよう無報酬の活動にしたとのことでした。また協議会主催で墨田区の産業経済課長さんや大学の教授を招き勉強も旺盛にとりくんだとのことです。ビジョンで目指す地域産業の姿として地域力を生かした活力ある地域産業の形成でなによりも地域のなかで経済を発展させて経済の活性化を図ることに全力を挙げて取りくんでいます。

帯広市の中小企業支援策のもうひとつの特徴は、金融機関が大きな役割を果していることです。帯広信用金庫が「地域の中小企業支援こそ地方金融機関の役割」と位置づけ、土日や夜も相談できる窓口を設置。相談事業を実施しています。市は信用保証料100%補助で、支援しています。

川崎でも10年ほど前に墨田区の条例を参考にして直接請求署名で中小企業振興条例の制定をめざしましたが、当時の高橋市長は、条例が無くても中小企業の振興策を実施しているといって、条例化を拒否した経過があります。帯広市ではちょうど同じ頃に議会からの条例化の提唱があッたと言うことですが、共産党の議員からの発議だったとのことでした。その後、真剣に検討され条例化を成し遂げ、その後もその検証や取り組みがすすめられていることを勉強してきましたが、川崎市でも今の経済状況から一層中小企業の振興で市内経済活性化が求められます。

○在宅高齢者に対する見守り事業を勉強しました。
帯広市のH21年度の65歳以上の人口は37064人。高齢化率は22・1%で高齢化が進んでいます。ちなみに川崎市は225255人で高齢化率は16・2%です。
帯広市はひとり暮らし高齢者登録制度があります。65歳以上の在宅の市民でひとりくらしの方が対象です。情報を登録し、市の生活相談員【3名】が定期的に訪問して健康や日常の相談をうけ、孤独感の解消をはかったり、必要な場合は高齢者サービスを紹介するとのことで、市の独自策です。生活相談員は市の嘱託職員だそうです。ほかに地域包括支援センターや民生委員、老人クラブなどと連携し、分担しながら進めているとのことです。登録者数は2241人です。費用負担なしです。

また一人暮らし高齢者として登録された65歳以上の市民のうち、健康に不安のある高齢者の自宅に週3回、乳酸菌飲料を宅配して安否を確認するひとり暮らし高齢者訪問活動事業を行なっています。乳酸菌飲料が取り込まれず残っていたばあいに委託事業者から市役所へ連絡が入り、現地に出向くなどして安否を確認するそうです。費用負担はなしです。
利用人数は1104人。H21年度は安否確認通報は711人で、当事業による死亡確認件数は2件だったとのことです。

もうひとつ、食の自立支援事業として配食サービスを行なっています。
高齢、虚弱により介護予防や生活支援を要する高齢者に対し配食サービスを行なっています。夕食を週6回以内【月~土】で宅配します。普通食、減塩食、糖尿病食の中から選択するということですから行き届いています。対象者は介護認定のない人も含め、食事の調理が困難と判断されたひとり暮らし高齢者または高齢者のみの世帯です。
介護保険会計で実施、地域生活支援事業費として、2・6%の枠内で実施しているとのことです。費用負担は1食450円で利用者は10枚つづりの食事券を購入します。
地域包括支援センターか居宅介護事業所の担当ケアマネージャーがアセスメントを行います。実利用人数はH21年度697人とのことです。

以上のように市の独自施策として安心して地域で暮らせる見守り事業を実施しています。
川崎でもこうした事業が求められていると思います。特に配食サービスについて、川崎市は要介護1以上が対象です。私達はこれまで何度も要支援の方も対象にすべきと質問し求めてきましたが、川崎市はやろうとしません。川崎市が言うように安心見守りの地域のナットワークは必要ですがそれだけでは不十分です。やはり市が具体的な事業として予算化し取り組むことが、ネットワークを生かす意味でも必要です。ひとりくらしや高齢者のみの世帯での暮らしの不安ははかりしれません。誰もがいつか行く道です。高齢者に優しいまちをつくるべきですね。

他にエコ・アクション・ポイント事業についても話を伺いました。
そして一路釧路へ向かいましたが、鹿と特急列車が衝突したため発車がおくれるというアナウンスがはいり、帯広駅を30分ほど送れて出発しました。