このまちレポート

税金のむだつかいツアーにいきました

2010年11月20日

11月16日、火曜日に「高津・川崎臨海部を見る会」を行いました。市が臨海部の開発に莫大な税金を投入していますが、ここ高津区からはめったに行くことはありません。でもキチンとこの目でみてこなければ実感がわかないということで、今、どうなっているのか、みてこようとでかけました。急な呼びかけでしたが、参加者23人、マイクロバスにのって一路、臨海部の埋立でできた水江町へ。

私は地の利がわからないので、臨海部にある職場に定年まで働き、臨海部の歴史や公害問題に詳しいTさんに案内をしてもらいました。
そのうえ、私と一緒に説明もしてもらいました。
私などは、実際に臨海部に足を踏み入れたのは議員になってからという人間とちがって,Tさんは臨海部のかわりいくさまや臨海部と市政のかかわりや経済活動などを、就労しながら身をもって長年体験してきましたから、実にいろいろな知識をもっていて、話が面白く参加者に喜ばれました。他にも実際に臨海部の企業の労働者だった方々も参加しました。
   (写真左側は船の来ない川崎港・右は多摩川河口に迫出した羽田第4滑走路)

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行程は、午前中に水江町で市が購入した土地に新規事業を立ち上げ「イノべートかわさき」の助成制度を受けたエリーパワー株式会社と周辺を見ました。そして、千鳥町の船着場から川崎市の巡視艇に乗って、海から川崎港や羽田空港の第4滑走路を見ました。
青空がどこまでも広がるなかアクアラインはもちろん、千葉の君津のほうまで、東京はスカイタワーもみわたせるほどの視界でラッキーでした。

目的のコンテナターミナル第1岸壁には、船はひとつも停泊しておらず、ガントリークレーンも、トランスファークレーンも稼動していませんでした。なのになぜ第2、第3、第4バースまで拡張するのでしょうか、納得がいきません。あまりにも無謀な計画であることがわかります。

そこを通過するとおおきな船が何隻も停泊し活発に物流が行なわれていました。その対比がくっきりわかるものでした。
供用開始されたばかりの羽田の第4滑走路から,何機もの飛行機が離着陸する様子を目の当たりに見ることができました。私たちが乗っている巡視艇の真上を着陸態勢に入った飛行機が下りてきます。第4滑走路を支える土台を横から見ました。先日、過密ダイヤの問題が報道されましたが、事故が起きなければよいのですが。何機も離陸の順番待ちをしていました。

船を下りて、夏は潮干狩りをする市民でにぎわった東扇島の東公園でお弁当タイムです。
午後は、マリエンの展望台から眼下に港を一望し、次に浮島のごみ焼却場の屋上から、建設中の浮島メガソーラー〈東京電力の巨大な太陽光発電所〉をみました。ここは市が所有する11ヘクタールの埋立地の10ヘクタールに東京電力が約7000キロワット、一般家庭で2100軒分の電気を発電するために太陽光パネルを設置しています。多くの人々が来年4月の完成目指して働いていました。そのことは別に問題ではありません。

問題は川崎市が膨大な土地を18年間、なんとただで東電に貸すという便宜をはかるものです。まともに土地の評価額で賃料を取れば年間5億円はくだらないとのことです。いろいろな特別措置をつかっても1億円にはなるということです。そしてこれを機会に、浮島処理センターに持っていたごみやリサイクルについて学ぶ建物を、2億円かけて全面改修し、太陽光発電や自然エネルギーについて学ぶ学習施設にするという計画です。
東京電力は電力を売った利益の中から年間2千万円を川崎市に出すといっていますが、それは学習施設の維持管理費でなくなってしまうそうです。
まさに体力のある大企業に、至れり尽くせりの感は払拭できません。

神奈川口構想は殿町3丁目のいすゞ自動車の工場跡地約37ヘクタールを、環境ライフサイエンス分野の研究所や工場などの誘致で産業を活性化させようというものです。かつて、羽田空港第4滑走路の計画段階のとき、たしか検疫所や商業、観光スペースを整備するという計画がありましたが、それは完全に頓挫しました。
羽田空港から少しでも早く川崎市にこれるようにと多摩川にもう1本の橋かトンネルを架ける構想ですが架けた時に10分だけ短縮できるというものです。10分短縮のためにかけるお金はおよそ400億円。

今年4月に臨時議会まで開きその一部の1・3ヘクタールを23億円で買い上げました。民間企業に貸し、実験動物中央研究所や慶応大学の再生医療・新薬共同開発センター、各種研究所を整備する計画で、建物の建設が急ピッチで進められていました。再生医療や新薬開発そのこと自体は人類にとって必要なことです。が企業自身の運営と支援するとしたら本来、国がおこなうべきことだと思います。そして危惧されることは、こうして開発された先端医学、高度医学が保険適用になり、だれもが受診できるのか、その進歩をうけることができるのかということです。多額な費用が必要で一部のお金持ちしかその恩恵をうけられないのではないかと言う心配があります。

臨海部でこうした巨額の税金投入がされています。土地を購入し無償で貸してあげる、新規企業の設備投資の1割を、融資ではなく助成してあげる。そして国際ハブポート構想。いずれも体力のある実質上大企業支援策です。
一方で、市内経済の9割を占め、7割の雇用をになう中小零細企業支援策の拡充について、共産党市議団が政策を提案しても、従来どおりで、つめたい答弁を繰り返すだけです。
ものづくり製造業、建設、土木事業者のみなさんなど、廃業、倒産に追い込まれている、またはくらしが立ち行かなくなっている実態がひろがるなか、多くの中小零細業者を支援することこそが今緊急に求められていると思います。
きょうご一緒した方々の感想は来て見てよかった。市にお金が無いわけではなく、使い方がまちがっていることがわかった。などでした。税金の使い方を大規模開発優先から、市民の暮らし最優先にきりかえていくべきです。