(07年10月3日)
市は今年4月には待機児をゼロにすると公言していたにもかかわらず、465人もの待機児をだしました。最も入所要件が高いAランクが105人も含まれていたのはまさに異常事態といえます。07年、新規の入所申請者の5340人中、2月末に市が発送した「入所不承諾通知」は1893人にも上り、失望と怒りが広がりました。待機児童をゼロにできなかったのは、わが党が指摘してきたように、川崎市保育基本計画・事業推進計画の「保育を必要とする推計」があまかったことにあります。
7月末に保育緊急5ヵ年計画が発表され、2011年度までの認可保育所などの整備計画が示され、市民運動の成果として一定評価はできるものの、問題点もあります。
認可保育所整備の、区別カ所数が示されたものの、根拠となる区別の「保育を必要とする推計」は示されず適切な推計をしているのかどうか。
緊急の計画が「5年間」というのも、「かわさき保育室」など新しい事業の内容についても、公立保育園を20か所も民営化するとしていますが、川崎の保育事業の目指す方向性についても大変気になるところです。9月議会のとりくみでわかったことや私なりの問題提起を2回にわけて報告します。
是非ご意見をおよせください。*「 」は健康福祉局長の回答要旨です。
推計が的確かどうか・・・
「本市及び各区の人口推計を基本に、今後の大規模住宅建設などによる人口急増地域の新たな保育ニーズを勘案し検討した・・」と局長は答弁しましたが、今年の4月も待機児童最多の高津区では将来人口推計のピークが2010年から2045年に伸びたにもかかわらず、3か所の認可と4か所の小規模認可で335人の受け入れ増では不足が危惧されます。他区も含め、推計と異なる実態、待機児童がゼロにならない予測の段階で、2011年度を待たず緊急計画を即改定し認可保育所の緊急増設を加えるべきです。
新しい事業(小規模認可保育所、かわさき保育室)の内容は?
●小規模認可保育所(1歳児から就学前、定員30名)13ヵ所整備=390名「駅周辺の利便性の高い場所で既存の建物の内部を認可保育所仕様に改修した上で設置する。職員配置や面積基準は認可保育所の基準によるが園庭は国の規制緩和で近隣に公園があれば良いとする。階数の制限はない」と局長は回答しました。
●かわさき保育室(1歳児から3歳児、定員30名)19ヵ所整備=470名「07年度は新規開設を2ヶ所行い、09年度以降は待機児童状況を見ながら必要な地域に開設していく。新規開設や認定保育園、おなかま保育室からの移行を検討する。運営費補助は保育内容が安定的、継続的に提供できるよう助成していく。園庭は公園で代えられ、給食設備は必置、有資格者の保育士は2分の一以上配置。認可外施設。直接契約で保育料は応益負担となる」と局長は回答しました。
問題点として規制緩和と直接契約
●「かわさき保育室」は保護者が直接保育室と契約します。入所選考の公平性をどう担保するのか。保育料は応益負担ですが所得に応じた応能負担にすべきですし、応益負担であるなら、保育料を払えない低所得の人に減免制度を創設すべきです。応能負担と公共性が担保されている「おなかま保育室」から「かわさき保育室」へ、なぜ移行させるのか、移行に矛盾が生じないかを指摘しました。
●局長は「利用者を限定しないよう指導する。過度の負担を保護者に求めることがないよう保育料の上限額を設定したい」「おなかま保育室は認可保育園が近隣に設置されるなど見直しの時期がきている」と答えました。
●二つの事業とも「階数の制限なしと園庭がなくても公園を活用すればよし」としていることについてです。
これは健康と命の問題でもあります。火災や地震時の避難を考えれば,2階を限度とするべきですし、近くに公園があればということですが、どんな短い距離でも交通事故と隣りあわせででかけます。国が規制緩和してしまいましたが、日常的に太陽を浴びて外遊びが充分出来るよう園庭確保に努めるべきです。
待機児の定義をどう考えているのか、待機児は解消するのか。
●緊急5カ年計画では、新たな事業を創設しますから、待機児童の定義をどう考えるのか質しました。
●局長は「これまでの、保育所利用申請数から保育所に入所した児童数を除き、さらに、そこから認定保育園、おなかま保育室、家庭保育福祉員で対応している人数と産休・育児休業中の申請を除いたうえ、新たに創設するかわさき保育室、商店街店舗活用保育施設で対応する児童を除いた人数とする」と回答しています。
●保育所に入所できなかった児童数は昨年10月・2796人(待機児は1394人)、今年4月は1589人(待機児は465人)です。就職先が確定(Dランク)していても、入所できなければ働けません。Dランク,Eランク(求職中)まで対応できなければ、待機児童の解消は出来ません。保育所に入所できなかった児童数を考えると解消できるか危惧されます。