聴覚障害者の方々が気軽に集まって交流し、支えあいの活動拠点となる川崎市聴覚障害者情報文化センターでは、相談事業や手話通訳派遣と要約筆記者の派遣事業等を行っています。
最初の質問で現状の実態を問いました。
2011年3月末現在、同情報文化センターに登録されている手話通訳者553人、要約筆記奉仕員553人の方々が派遣依頼にこたえ、支援を行っています。
手話通訳の派遣依頼件数は5年前と比較すると2406件から2661件に。派遣実績は2342件から2513件に増加しています。
また、要約筆記奉仕員の派遣依頼件数は5年前と比較すると364件から429件に。派遣実績は343件から393件に増加しています。
手話通訳者になるには養成講座を経て全国統一試験に合格することが必要であり、この課程に要する養成機関は、実質約4年かかるということです。
また要約筆記奉仕員について、パソコンでの要約筆記奉仕員として活動できるまでの課程に要する期間は実質約1年半となっているとのことです。
長い期間が必要になる手話通訳者や要約筆記奉仕員の派遣依頼や派遣実績も増加する中,養成がますます重要になっていきます。
●石田質問
同時に、地域で生活していくうえで、学校や職場、病院や買い物など社会生活するうえでのあらゆる場面で、地域の中でのコミュニケーションができるような保障が求められます。そのための事業として「手話奉仕員養成事業」がありますが、現在、川崎市全市で2コース行われていますが、すくなくても養成講座を各区で実施してほしいという要望に対して、健康福祉局長の見解と対応を質問しました。
○健康福祉局長答弁
現在4か所ある身体障害者福祉会館で行っている市民向けの入門講座の講座修了者のうち希望者を「手話奉仕員養成講座」につなげている。
市民向け入門講座が地域に広がり、手話奉仕員養成講座につながることが望まれるので、実施場所について聴覚障害者情報文化センターの指定管理者である社会福祉法人川崎市社会福祉協議会等と身近な地域で開催できるように協議していきたい
●石田質問
自立支援法に変わる総合福祉法制度を作成する制度改革推進会議の議論や、昨年改正された障害者基本法のなかでも、障害のある人がない人と同じように生活できるよう、障碍者の人権を保障することがうたわれています。
聴覚に障害を持つ方々にとって、まさに情報・コミュニケーションは生きる権利であり、「国や地方公共団体は、手話通訳者や文字による要約筆記者の養成や派遣が図られるよう、必要な施策をこうじなければならない」と改正障害者基本法に明記されました。そうしたことを踏まえ、聴覚情報文化センターにおける機能充実が求められます。
同センターの手話通訳派遣コーディネーター、要約筆記派遣コーディネーターの増員と正社員化が必要と思いますが見解と対応を質問しました。
○健康福祉局長答弁
・昨年8月に障害者基本法の改正により、言語としての手話の位置づけが、明確にされる等、障害者のコミュニケーション手段確保のあり方についての改正がありましたので、今後の国の施策によりましては、手話通訳者等の養成の拡大について、検討が必要です。
・ 職員配置については、指定管理者の雇用の関係もあるが,現行の事業実施に関わる実情について、指定管理者と協議の上、関係局と調整する必要があると考えております。
後述
特に災害時の情報伝達の遅れは、命の問題に直結します。正しい情報を可能な限り早く伝達するには、地域のなかで、手話奉仕員のかたがたの存在がたくさん必要であるということを、今回の質問で強く感じました。手話通訳者の養成の拡大も、国の施策待ちでなく、川崎市としての充実が求められると思います。情報文化センターの職員の増員も指定管理者と協議の上、関係局と協議するという答弁でしたので,注視していきたいと思います。