貧困と格差が広がるなかで日本と川崎の教育を考える
08年9月18日
日本共産党市議団は9月14日、三輪定宣千葉大学名誉教授を招き、「少人数学級は子どもをどう育てるか」をテーマに講演とシンポジュームを開催しました。先生は「教育条件は教育力」といわれ、「少人数学級と教育効果」「世界の教育改革と学級規模」「教育の本質と学級規模」「人間の発達と空間・規模・関係の理論」「30人学級実現と教育財政」をとてもわかりやすく講演されました。
○全国的にも自治体独自の取りくみが進んでいます
少人数学級に国は後ろ向きですが、全国的には多くの自治体が進めています。
なかでも先日視察した広島市では「基本的な生活習慣の確立と基礎・基本の学力の確実な定着を図り、個性や能力を伸張する教育の充実を目指す」として、10年計画で小中学校・全学年で20人程度の学級を目指す段階的プランに今年度からふみだしました。
○川崎では
共産党市議団は「『一人ひとりにきめこまかい指導』のために川崎でも30人学級の実現を」。「せめて低学年から35人以下学級を計画的に進めるべき」と、この間繰り返し求めてきました。
○35人以下学級の教育効果大!計画的に学年拡大を
その結果、08年度から全ての小学校1年生で35人以下学級が実施され、現場から「子ども同士が仲良くなりやすい」「ひとりぼっちになる子がいない」「個に応じて理解できるまで教えることが可能になった」「学級に落ち着きがある」「もっと学年を拡大してほしい」などの報告がされ、同時に保護者からも大変歓迎されています。本市は非常勤講師を今年度42校に配置しこれで全ての小学校で1年生が完全実施されました。
○ 9月議会の代表質問では
9月17日の共産党市議団の代表質問で、1年生だけでなく学年の拡大を求めました。教育長は「実施に必要な教員の加配措置を県や国へ要請していく」と答えるにとどまりました。川崎市独自で正規教諭を雇い全学年に年次計画を立てて少人数学級に取りくむべきです。
○教育予算の拡大でゆとりある教育を
欧米では25人以下学級が当然のなか、日本は40人学級をきめてから18年も経過しているのに一向に改善しようとしません。日本は教育予算の対GDP費は3.4%、OECD28ヶ国中最下位です。
シンポジュームで講演した三輪先生の「30人学級実施の経費試算」によると、国庫負担は1706億円(国家予算の0.2%)あれば30人学級が実現できるとのこと。在日米軍のおもいやり予算2173億円よりも安く実現可能との報告がありました。
未来を担う子どもの教育にこそ国も市も予算をふりむけるべきではないでしょうか。