9月26日に07年度の決算を審査する特別委員会で保育事業の決算に関連して質問しました。
国が、公立保育所への保育所運営費に対する国庫負担金をなくし、一般財源化したことは、公立保育所を民営化にしむけて財政の仕組みを変えたといえます。その影響額は07年度の決算ベースで推定すると約16億2500万円、90名定員では約1680万円と試算されるとのことです。 公立保育所の延長保育の国庫補助金も一般財源化されその影響額は約1億8300万円と推定されるとの答えでした。
公立保育所の一般財源化が報道されたときに保育関係団体から「次は民間保育所運営費の一般財源化か」と危惧する声が上がったと聞いています。
今、政府・厚労省は財界を初め規制改革会議や経済財政諮問介護などが求める保育所の直接契約・直接補助方式の導入、保育の最低基準の緩和・撤廃などの検討を急いでいるとの報道がありました。児童福祉法で定められている保育の公的責任をなくし、保育を市場原理にゆだね、企業中心の保育サービスで量をふやそうというものです。
これには日本保育協会、全国保育協議会、全国市立保育園連盟、全国保育士会の会長ら全ての保育関係者が「国の責任で築いてきた公的な保育制度の基盤を崩してはならない」「保育は単なる託児ではなくこどもの育成は公的性格のもの」と断固反対を表明したとのことです。「こどもの最善の利益に反する」と批判が上がるのは当然です。
川崎でも認可保育所への企業参入が目立ち始め、この3年間で3箇所の運営主体となった企業では、政府の進める公立保育所の規制緩和・民営化の流れの受け皿として事業を拡大しているときの保育運営部長が過労死したとして家族が労働基準監督署に労災認定を申請したとの新聞報道がありました。
川崎市という特定はなかったものの、新設に備えた160人近い人材確保とその教育が自治体の業務委託に向けた資料つくりやマニュアルつくりなどに加わり大きくのしかかったとの報道でした。企業体によって急ごしらえで人材確保することは、始めてであった人ばかりで保育の蓄積がないところからのスタートになり無理を重ねることになりはしないか、保育の質の低下を非常に危惧するところです。
07年度に指定管理した2園(塚越保育園と小田中・小田中乳児保育園)の指定管理委託料の決算額は1円単位まで回答がありますが、06年度、公営だったときの運営費は、児童一人当たりの月額運営経費をもとに算定した試算でした。
保育基本計画・改訂版でも、平成22年度民営化対象計画5園にたいする説明資料「民営化についてのQアンドA」でも、公立と民間の運営費の差は5千万円と明記されています。
保育基本計画・改訂版ではその根拠を予算額で示しています。しかし19年度決算では公立保育所の(予算はとってあっても使われなかった)不用額は、約2億6千万円にものぼっているのですから、比較するのなら決算ですべきかとも思います。
毎年職員数も減っていることもあり、今回、この5千万円の差の根拠について調べてみましたが、行政自身が複雑で予算でも決算でも比較するのは、難しいともいっているのですから、あえて5千万を強調すべきではないと指摘しました。
いずれにしてもその差はおおむね人件費です。
07年度末の公立保育園の退職職員数は57人、08年度4月の新規採用数は任期付職員も含め33人です。今後数年間の退職数の増加にともない、平均年齢が下がるという逆転現象も考えられないこともないのですから、そうした人件費の差額で削減効果を強調すべきでないと考えます。