4月26日、27日の2日間、北九州市の孤立死をなくす取り組み、雇用対策、中学校給食,スマートコミュニティ事業について、視察してきました。
孤立死が発生したことから、孤立死をなくす「いのちをつなぐネットワーク事業」を、08年度から始めた北九州市の取り組みがテレビで報道されました。担当の課長さんからお話を聞きました。
いのちをつなぐネットワークとは、地域における既存の見守りの仕組みを結びつけ,網の目を細かくすることで,高齢者をはじめ、支援を必要としている人が社会的に孤立することないよう地域全体で見守り,必要なサービスにつなげていくためのとりくみです。
孤立死をなくすためには,生活保護行政や従来の高齢者施策だけでは防げないとして,地域の見守りネットワークの網の目を細かくすることで,支援が必要な人を一人でも多く救えるように市民と行政の恊働による取り組みを開始したとのことです。
ポイントは,地域福祉活動をサポートする「いのちをつなぐネットワーク係長」を各区役所に配置し、この担当係長を各区の保健福祉分野の筆頭にし、生活保護担当、高齢者担当、保険年金,障害者担当などをつなぎ、連携しながら各担当のすきまを埋める、潤滑油の役割を果たしていることだと思います。
孤立死をなくす3か条=「みつける」「つなげる」「見守る」の活動「みつける」・・担当係長は,地域に出向いて支援や見守りが必要な人の情報を収集。「つなげる」・・地域からの情報提供を受け,区役所全体で、利用できる制度やサービスがないか検討する。
「見守る」・・・サービスにつながらない心配な方については、地域で見守ってもらう支援者の活動をサポートする。
すごいと思たのは担当係長は,民生児童委員協議会や社会福祉協議会、自治会など積極的に地域の会合に参加し、地域の課題を一緒に検討したり,相談に対応していることです。3年間で4,138回会合に参加したとのことです。
もうひとつのポイントは、見つける,気付き隊として、ライフラインの電気、ガス、水道の検針員、郵便、ヤクルト、ビザなどの宅配業者、コンビニ等従業員にも協力してもらっていることです。
実際の事例として、水道局から,「水道料金滞納者で,水道を止めることになりそうだが,検針員によると,生活状況が心配。安否確認をしてほしい」という連絡が、いのちネット係長にはいり、安否確認の訪問を実施。事情を聞き,生活困窮のため,保護課から相談に行ってもらうことに。その結果、生活保護の受給を決定。その後、ケースワーカーや民生委員により見守りを行っているとのことです。他にもたくさんの事例を紹介していただきました
「個人情報保護という見地から検針員等から,生活困窮の事実を市に提供することについて問題はおこらないのか」の質問に対し、市の個人情報保護条例のなかで、身体、命に不利益が生じる可能性のある場合は大丈夫になっているとのことでした。滞納のリストを渡すのは,条例にふれるからだめですという回答でした。