6月10日(日)、共産党市議団は、障害者自立支援法違憲訴訟元原告,障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局次長の家平悟さんの講演と,第2部で懇談会を開催しました。
家平さんは,違憲訴訟に至った考え方、その後、自立支援法の廃止を公約した民主党政権と、自立支援法廃止後に当事者が参画する新法をつくることで合意し和解、しかし,このたび、政府が国会に提案した総合支援法は、当事者が参画して内閣府のなかにつくられた総合福祉部会で策定された新法の骨格提言のうち、たった6%分しかはいっていない、一部改正のみで廃止と言ったのに守られていない内容であったこと、そしてこれからのこと・・・などについて、たんたんと話されました。
2006年に施行された障害者自立支援法の大きな問題点は、障害者が生活する上で必要なサポートを受けた時の利用料が、応能負担から、サービスを受けることを「益」とみなす応益負担に変わったことです。重い障害のひとほどサービスの質と量が多くなり、利用料負担が重くなるしくみになったこと。2つ目は、障害程度区分で支援が決められる仕組みであること、3つめは報酬が日割りの単価になったこと、4つめは,契約制度になったこと。
それら、自立支援法の問題を温存したまま、法律の名前をかえただけであると指摘しました。
4月に衆議院を通過し今後参議院で審議される状態です。集団訴訟を起こし,基本合意を交わして和解したこの裁判は,政策形成裁判といわれている。たとえ数の力でごり押しされても、国会審議の中でその矛盾が明らかになり、政府案に反対する会派もふえてきた。運動をしていることで広がっている。たとえ成立したとしても今後のたたかいにつながると確信していると話されました。
2部では,延べ15人の方から発言がありました。
・障害者の高齢化の増加に対応した住まいやデイサービスの必要性が大きくなっている実態と地域活動支援センターの職員体制の維持のための助成金の問題、 ・福祉施設の指定管理者制度の問題、
・バス券がフリーバスになったのは良いが介助者が対象からはずれることは結局障害者の引きこもりにつながることも考えられ困る。
・障害者手当を大きく削減しその分を在宅福祉に回すという検討のときに,モニタリングの機関をつくることになっていたが、どうなっているのか。 ・重度医療費助成制度について県が年齢制限や所得制限などをもうけ後退させたが,市がその分を補填しているが引き続き補填をしてほしい、今後どうなるか心配。 ・はじめて車いすを押す生活になってみて道路の段差など不便なところが多いと痛感しており改善が必要。 ・要援護者の取り組みの推進を。 ・区の障害者対応の職員が1、2年で異動してしまうのは困る。専門職種と経験を積んだ職員の配置がもっと必要 ・個別支援、家庭への支援,地域での支援を行うことでこだわりもとれて落ち着いてきて障害程度区分が低くなるケースも生まれるが、区分が低くなると単価も安くなり問題である。 ・ケアホームとグループホームを一元化する方向がだされているが,低きに併せられると夜間支援もどこまでできるか心配しているなどなど 多岐に渡ったご意見や実態が話されました。どなたの発言も本当に生活の実態のなかからの発言で,胸にせまるものがありましたし,勉強になりました。
今後の議会のなかで,私たち議員団としてみなさんのご意見や要望について取り上げていきたいと思います。
最後まで居てくださった家平さんへの質問もありました。最後に発言された家平さんは今取り上げられている生活保護の問題にもふれ、この問題は障害者の問題にもつながる。扶養問題に矮小化しているが、親や子どもが面倒を見て当たり前の社会では、障害者が成人したとき,個として生活を支える社会の基盤が必要であるし,高齢者の介護の社会化が必要と言って介護保険ができたのにも逆行する。社会が目指す福祉とは,私たちが目指すこれからの福祉とは何かを考えなければならないと話されたことがとても印象的でした。