10月3日、議会最終日に、今議会に提案されていた議案の採決が行われ、共産党が反対した議案のうち、以下の2件について報告します。これまでも、市民の方から、議会だよりだけでは、賛成、反対の結論しかないので、どうして反対したの?と聞かれることがありましたので報告します。
◆川崎市市税条例の一部改正について
—復興に名を借りた増税に反対しました—
東日本大震災からの復興に関し、国の臨時特例に関する法律の制定で2014年から10年間、個人市民税の均等割税率を一律500円引き上げる改正ですが、市の裁量で増税しなくてもすむものです。しかも増税分は、被災地支援ではなく市町村の防災対策につかうものです。個人市民税の均等割の引き上げ対象は市内で約73万人、見込まれる増収額は1年で約3億6千万円。県民税分と合わせると年間1000円の増税となり、復興特別所得税の2,1%増税を合わせると夫婦と子ども2人で年収500万円の家庭では2,600円の増税に。
自治体の防災対策は急いで取り組むことは当然の市の責務であり、その財源は一般財源でまかなうべきで、復興に名を借りて増税する議案に反対しました。
折しも、東日本大震災の復興事業にあてられるはずの予算が被災地以外に回されていることが大問題になっています。国の復興特別会計の主な財源は、所得税に25年間上乗せされる復興特別所得税です。被災地のためにと国民が負担した税金が流用されていることが連日のように明らかになり、何でもありのような流用に許せない気持ちです。復興とは無縁な戦闘機の操縦士訓練や自衛隊駐屯地の浴場の立て替え、被災地の被害が大きかった13市町の本庁舎立て替えが未だ手つかずなのに、中央官庁とその出先機関の耐震改修などに支出、河川整備費の7割が被災地以外の河川整備に使われ、岩手、福島両県の河川整備はゼロなどなどです。
復興予算は被災者、被災地に目を向けた生活再建を最優先すべきです。
そして本来、防災対策は一般財源でまかなうべきです。
◆川崎市任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する条例について不安定な任期付雇用では息の長い研究活動はできないとして反対しました。
これは川崎市の環境総合研究所(来年、公害研究所など公害3施設を統合)に任期付研究員を採用するための条例制定です。国家公務員の任期付研究員の採用に関する法律に準じて定められ、若手研究者の研究活動の活性化を目的とし、任期は原則3年(特例5年)です。任期切れの時期が近づけば次の研究職を探さなければならず、研究の成果を上げても正規研究員にはなれません。若手女性研究員も増えています。当然、産休育休など「短期的雇用は将来に展望が持てないものであり、研究職全体の地盤沈下を引き起こす恐れがある」と日本学術会議が指摘しています。このような任期付研究員制度を川崎に持ち込むべきではないとして反対しました。
折しも、ノーベル医学生理学賞を受賞された山中伸弥氏が、京都大iPS
細胞研究所では、200人の研究者のうち正規雇用は20人、180人は有期雇用で不安定な身分で研究活動をしている。研究予算を増額していただき、よりよい研究環境をつくっていきたいと話されていたのが印象的でした。