視察二日目は、北海道議会で・公立学校支援システムについて ・高校新卒者に対する就職支援について ・地域若年者雇用奨励事業について ・孤立死対策について それぞれの担当主幹から説明をしていただきました。
孤立死対策について
北海道では痛ましい事故があいついでおこりました。今年の1月、釧路市内のアパートで、夫が認知症の高齢者夫婦世帯が亡くなっているのが発見されました。夫が死後20日、妻が40日経過、奥さんの死後、認知症の夫が外部に連絡できないまま凍死。同じ1月、札幌市白石区で姉が亡くなり、続けて知的障害の妹が凍死しているのが発見されるという事態がおこり、孤立死対策は急務となり要援護者の見守り体制づくりの取り組みが始まっていました。そのさなかの7月にも、倶知安の町営住宅で高齢者が孤立死するという事態がおこりました。
そのようななか、北海道は、各市町村が、要援護者の見守り体制づくりへの支援を行う取り組みをしています。
要援護者に関する情報が福祉事務所等の担当窓口につながる様、市町村と電気、ガス等の供給事業者等が、情報を共有する仕組みを作るための連携方策について協議することを目的として「要援護者把握のための連携方策検討会議」が設置され、今年3月から3回開催されました。
生活困窮などの悩みや心配事が市町村の窓口に寄せられた場合、相談者のかかえる問題等に対処するとともに、ガス、電気代などを滞納した場合に、事業者から市に連絡していいかなどの了解をあらかじめとっておく等情報の共有のための流れを示しています。
情報共有について、ライフライン事業者が供給停止を決めた時点で福祉担当部署に連絡する。停止を決定してから停止するまでに2週間あるので、その間に連絡を受けた福祉担当者が訪問し、対策をとるなどです。
北海道の冬は厳寒で,暖がなければ凍死の事態になってしまうとのこと、助け合いのネットワークを地域みんなで進める広報や、今後このような事態にならないように実態調査を現在行っており来月には取りまとめたいということでした。
高校新卒者に対する就職支援について
今年3月、北海道の高校を卒業した人の3月時点の就職内定率は88%、6月時点は97,3%とのことでした。高校卒業者の就職は大変厳しく、平成25年3月卒業の場合、今年8月末現在、道内求職者数9,425人、道内求人数4,552人、道内求人倍率は0,48とのことです。それでも昨年より0,08ポイントあがっているとのことですが、いずれにしても半数の方が職にありつけないのではというのは大変な事態です。
積極的、特徴的な取り組みと思ったのは3点ありました。
道として、主要経済団体への求人要請を道労働局、道経済産業局、道教委とともに5月、7月に実施、年4回要請を行うとのこと。また経済部労働局、総合振興局に置いて、道教委やハローワークと連携した企業訪問による求人開拓も2000件実施、文書での要請は1万件おこなっているとのことでした。
3月に卒業した未就職者にたいし、学校にお願いして高校の担任だった先生や進路担当の先生から、連絡を取り、その後、就職できているか、どのような状況なのか等を追跡調査をおこなっているとのことです。この取り組みは3年目とのことです。卒業後に先生から声をかけられることで「忘れられていない」という安心感が持て、次のステップに行こうとする気持ちになったなど前向きになるとのことです。川崎では追跡調査を行うことが必要ではないかと言う我が党の提案に個人情報があるのでできないという答えですが、北海道では、卒業直近から一人におかない方針をとり、未就職者の連絡先をハローワークに連絡する。また卒業する前に卒業後にハローワークや学校から連絡していいか本人の了解を得ているのだそうです。こうした姿勢が川崎にも求められます。
ジョブカフェ北海道の事業のなかで注目したのが「教員向けインターンシップ」です。夏休み、冬休み期間中2〜3日間のスケジュールで、高校の進路指導教員向けに最前線の就職支援ノウハウを提供。より多くの先生が生徒に対して適切な就職支援ができる様、その習得機会、習得環境を整備するという事業です。今年初めて行ったが、参加した先生から「目からうろこがおちた」という感想が聞かれたとのことでした。
こうした取り組みになるほどと思いました。川崎の今年3月高校卒業生の就職内定率は、4月末の調査で川崎管内で92,9%、川崎北部管内で96,5%でした。その後就職できているでしょうか。神奈川県は97,3%ですから川崎はいずれも下回っています。生徒の努力だけでは就職に至らない現状をしっかり把握し、将来のある青年の就職支援、企業の雇用対策に本腰を入れた自治体の取り組みが必要です。北海道の取り組みは参考になりました。