このまちレポート

改憲多数派国会が出現!安倍政権にどうたちむかうか 「高津9条の会」主催の渡辺治先生の講演会

2013年2月17日

会場いっぱいの参加者でした。2月16日、「高津9条の会」主催の講演会が開かれ、渡辺治先生のいつもながら元気のでるお話を聞きました。

まず昨年の総選挙の分析の話からはいりました。
自民党は圧勝したというが国民の大きな支持を得た訳ではない。なぜなら今回の比例の得票率は、09年総選挙時(民主党が圧勝し自民が110議席に激減した)より約1%しか増やしていない。比例で1%しか増えていないのに294議席とった。

なぜか?・民主党が、09年42,4%から12年は16%へと得票率を大きく下げぼろ負けしたから。民主党は2000万人の票を失った。そのうち1000万票は、せっかく小泉政権からの構造改革をやめると思ったのに裏切られたという票であり、あとの1000万票はもともと自民党政権の時から民主党を支持していた人たちで、都市部の大企業のサラリーマンは地方の公共事業を思い切って切れると考え民主党を支持していた人たちだったがこの人たちも去っていった。
今回、保守2代政党制が壊れた。09年選挙では民主と自民で約7割の得票率だったが、今回は43,62%だった。減らした約3割が革新にこなかった。自、民の隣の維新に行った。
革新が増えなかったのは小選挙区制度の害悪によるもの。一人しか当選できない小選挙制度では、いくら共産党がいいことを言っても当選しない、だったら入れないということになっている。
いいことを言っているところが当選できる制度にする必要がある。この選挙制度を比例にかえていく運動が必要である。民意を正しく議席に反映する選挙制度にかえなくてはと改めて強く思いました。

安倍政権の進める構造改革—大企業のもうけを大きくするのが構造改革
小泉構造改革は
・ 労働者の賃金を下げる=労働者派遣法で正規から非正規へ切り替えることができる法律にする。
・ 儲かったお金をまけてもらう=大企業に減税する。
・ 国民には、社会保障の削減で年金と医療をまず切り下げて、庶民増税を行った。

今回、自民党は構造改革に修正を加えて勝った。けど支持を大きく得た訳ではない。 これまでのような「社会保障削減と消費税増税の一方で大企業減税」という急進的な構造改革では国民の怒りが強いので、ゆるやかな漸進路線をとったのが、デフレ脱却、アベノミクスという経済対策。財政を出動させ公共事業のばらまきで大型補正予算、2013年度予算をくんだ。これで景気を回復させて来年4月に消費税を上げる。財界とアメリカの安倍政権への期待は大きい。

「強い日本、強い財政をつくる」と言って、湯水のような公共事業を拡大し、財政を拡大、ばらまきをすれば消費税は10%ではすまなくなる。15〜20%にあげなければすまなくなるが参院選前はそれを言わないだろう。そして社会保障をもっと切るであろう。今まさに生活保護を削減しようとしている、次に介護、医療、年金の削減にいくであろう。そして原発の輸出、再稼働とTPPへの参加の道を進む。原発は1基つくると5千億はいる。上から下まですべてゼネコンがもうかるしくみ。安倍政権は世界の原発企業におくれをとらないように、原発推進国と折衝している。

安倍政権は軍事大国化、改憲をめざしてくる。
そして最も危険な改憲=軍事大国化の道を進もうとしている。これこそアメリカからの強い圧力がかけられている。アメリカは財政赤字が大問題で—財政の崖といわれ、この解決のために軍事費の削減のために日本に軍事的に肩代わりさせようとしている。その時、邪魔になるのが日本の憲法。
しかし憲法の改悪に国民の反対は強いので、2段階論でいこうとしている。
まず、憲法に手をつけないで軍事費、防衛費を拡大し、解釈憲法で集団的自衛権を認めさせる。次に憲法を変える手続きである憲法96条をかえようとしている。「決められる政治」をスローガンに維新の会、民主党、公明党を巻き込み改憲大連合づくりを進めようとしている。

どういう運動が必要か
・全国7500の「9条の会」の運動をもっと広げよう。自衛隊が外国に行っても一人も殺さず、殺されないのは9条があるから。でも改憲されたら戦争する軍隊になる。9条の改憲をさせないという1点の運動を大きく広げよう。
・ 被災地3県での総選挙結果から教訓を。岩手、宮城は自、共が票をのばした。福島は共だけが伸びた。沖縄では共が民を上回り,共+社民は自を上回った。
東北での被災地復興と原発ゼロ、沖縄での普天間、オスプレイの配備反対など、運動が市民の信頼を得れば伸びるという教訓に学ぼう。

あっという間の2時間でした。
最後の質問で「若い人が9条の会に少ないのはなぜか?」先生は「若い人は生まれた時から9条がある中で育ち、それが空気のように当たり前になっている。守らなければならないと思っていないので当然である。徴兵制のある国の留学生は卒論や就職の前に徴兵に行くかどうか迷う。日本の若い人に9条は勝ち取った物であり、9条を守るものであることがわかれば若い人たちは参加してくる。官邸前に反原発で集まったように。」
内容がいっぱい詰まった講演で、おさらいのために書きました。