認可保育園に入れなかったのは2,765人。この実態を見るべき
2013年4月1日現在の保育所入所状況が発表されました。
認可保育所の入所申請数は近年大幅な増加傾向にあり、今年も昨年より1,439人増えて20,164人になりました。
新設などで前年より1,505人の定員増をはかったものの、認可保育所に申し込んだのに入所できなかった人数は、昨年より114人増えて2,765人にものぼりました。
しかし発表される待機児童は438人。その訳はこうです・・・
認可保育所に申し込んで入れなかった2765人のうち、・やむなく認可外保育所に入所した1223人 ・産休・育休あけの職場復帰のための申請508人 ・第1希望の保育所のみ申請した439人 ・今年から新たに自宅で求職活動をする39人も待機児にカウントされません。引き算されてしまうのです。
さらに、本市は、東京23区や近隣政令市の多くが「待機児童」としている「一時保育を利用」の118人や「育児休業の延長」も待機児童ではないとしています。そのため、不承諾数は2,765人なのに待機児は438名となりました。待機児童にカウントしない項目をたくさんつくることで、待機児童の人数は減ってるようにみえるのですが、実態は多くの人が認可保育所の待機児童なのです。
しかし、産休、育休明けを含め、やむなく認可外保育施設に預けた多くの人や、次年度卒室するお仲間保育室の児童など、次年度も認可保育所への入所をめざし申請するのは明らかです。待機児ゼロにするためには、必要整備数に申し込んでも入れなかった人数を基本的に含ませて整備するべきです。
長引く景気低迷で賃金の低下やリストラ、非正規雇用拡大などが増す中、保育所の役割がますます大きくなっています。 生活困難から早く預けて働きたいのに、入所できなければ働けない、働けなければ入所できない。妊娠中から保育所探しに歩き回る。早めに育休を切り上げて認可外にいれて、認可保育所にはいるための点数をあげたりなど、「保活」と呼ばれる保育所探しの厳しさを一刻も早く解消すべきです。
「前倒しの整備を検討する」とこども本部長答える
代表質問で、来年度の整備予定を前倒しして今年度中に整備するよう質問しました。こども本部長は『検討する』と答弁しました。
今年度中に策定する来年度以降の保育所整備計画に待機児ゼロをめざす年度を明確に示すべきとの質問に「できるだけ早い時期での解消にむけて取組む」と答えましたが年度は明らかにしませんでした。
「待機児解消のためには抜本的な認可保育所の整備が必要」
皆さんが認可保育所を希望するのは、施設や人員配置の国基準に準じ、園庭があることや室内の広さ、職員層の厚さを感じているからであり、保育料が応能負担であるからです。待機児解消のために認可保育所の抜本的な増設を基本に進めるべきです。
そのために、さらなる公有地の活用を全庁的に検討し、民有地活用型のマッチング事業の整備もすすめるべきと提案しました。
企業参入は保育になじまない
このたび、待機児がゼロになったと発表した横浜市は保育所への企業参入を拡大させてきましたが、安倍政権も待機児解消策に横浜方式をとりいれるとしています。株式会社による保育所経営は突然の撤退やもうけ優先による質の低下を招きかねません。
川崎でもこの間、企業の参入が拡大され、2012年度、本市の民間の認可保育園127園中、株式会社は56園で、実に44%にのぼります。いただいた資料でみると、職員の平均勤続年数が「1年」の保育園が16園ありますが、全て株式会社で、そのうちの15園が急激に箇所数を増やしている2社でしめられています。中には、開設後5年、3年経過しても平均勤続年数が1年の園もあり、保育士の入れ替わりが激しいことを示しています。
こどもが育つ保育現場には、安定性と継続性、経験を積んだ保育士が必要です。営利をあげるために、人件費をきりつめざるを得ない企業参入は保育にはなじみません。
公立保育所の民営化は凍結を
認可保育所に申し込んでもはいれない児童が毎年増え、待機児童解消が一刻も早く求められている時に、これ以上の民営化は進めるべきではないと考えます。先に述べたように、今、経験を積んだ保育士の確保が困難なとき、公立保育所は経験豊かな保育士や看護士、栄養士などの専門職員が配置されているのですから、少なくても待機児ゼロになるまでは、民営化を凍結すべきと質問しました。