議会活動報告

子母口小・東橘中合築工事契約議案について

2013年10月5日

10月3日、議会最終日の本会議で、子母口小学校と東橘中学校の合築工事の請負契約議案3本の採決が行われました。子母口小学校の「過密解消」は当初の市の総合計画通り、市営四方の嶺住宅跡地に新しい小学校を開設すべきと考えることから、共産党市議団は以下の理由を『討論』で発言し、合築の建築議案に賛成できないことを表明しました。

賛成しない理由

これまで長年に渡り、子母口小学校の児童は増加し続け、グランド敷地内にB棟、C棟、そして2003年にD棟が建築されるなど、プレハブ校舎の建て増しがくり返され、その後も児童生徒数1000名余、学級数32学級余が続くなど、学校の「過密化」「施設狭隘化」が進み、子母口小学校の教育環境の改善は大きな課題でした。地元の協議や議会の議論も経て、平成20年度から22年度までを期間とする「川崎市新総合計画・第2期実行計画」は『子母口小学校については、過大規模及び学校施設の狭隘を解消するために、市営四方の嶺住宅跡地周辺での学校の新設にむけた取組を進めます』と明記し、平成20年度「関係機関との調整」、平成21年度「基本構想」、平成22年度「実施設計」と計画しました。

そして、平成22年度予算に、小学校新設にむけた基本構想策定として『四方の嶺跡地学校施設整備費』2,473万円余が計上されました。また平成20年3月発表の『第3次行革プラン』では、「学校の適正規模・適正配置の推進」として、「平成23年度以降、子母口小学校の分離新設校の着工」と明記しました。

ところが平成22年8月、まさに突然、「分離新設」ではなく,東橘中学校との合築整備へと方針転換を行ったことを、初めて総務委員会に報告がありました。過密解消ではなく、小学校1年生から中学3年生までが一つの校舎で学ぶ2000名規模の過大規模校になるという計画です。そしてとりまとめた基本構想は、第2期実行計画でしめした分離新設ではなく合築整備でした。

方針転換の理由は、平成22年2月に国から、隣接する国有地の売却時期が平成24年度末に延びたという報告があり、新校開設が延期されることから、そんなに先延ばしできないというものでした。そして、平成23年3月の「第4次行革プラン」では『子母口小学校・東橘中学校の合築による施設整備』と書き換えられ、理由も「小中9年間にわたる良好な教育環境の確保にむけて児童生徒数の変化に対応可能な合築整備を行います」と言い換えられました。

問題は

第1 に、本市の市政運営の骨格をなす実行計画の根本的な方針変更を行う過程で、住民や議会に何ら知らせず、議論を経ないで決定し、事後報告したことです。決定する前に、過密化、狭隘化など教育環境の改善のために、多少待っても分離新設か、あるいは合築か、是非も含めて保護者、地域の議論が必要だったと思います。平成23年3月に保護者へのアンケートを行ったものの、合築先にありきの合築を前提にした設問でした。また分離新設にむけた平成20、21年度の教育委員会の取り組みも、隣接する国有地をめぐっての国との交渉、協議の内容も不明確でした。

第2 に、合築に変更した理由について、平成22年12月議会で当時の教育長は「合築により、諸室の供用を図るなど、効率的・効果的な施設計画が可能になる」と、コスト削減を優先した方針転換だったことを明らかにしました。分離新設の計画策定のときから、分離後の子母口小学校の老朽化対策や東橘中学校の施設狭隘化に対し、別途対策をとる必要性は当然わかっていたことです.子母口小学校の過密解消のための、よりよい教育環境をどう作るのかよりも、合築で一挙にこれらを解決するという行革の一環として、コスト削減から考えられたと言わざるを得ません。

第3 に、学校の学級数に関する省令を規定している「学校教育法施行規則」では、『小中ともに12学級から18学級以下を標準とする』ただし、『標準の例外として地域の実態によりこの限りでない』」と定めています。そして、川崎市の「適正規模・適正配置」の基本的な考え方は『児童生徒の教育環境、学校運営の考え方から、学校本来の機能が十分に発揮される学校規模として、小中ともに普通学級で12学級から24学級程度までを適正規模とし、一時的に児童生徒が急増している地域については過大規模校とならない30学級までを許容する』と定めています。そして合築の開校年度の平成27年度は、子母口小27学級、東橘中25学級と予測しており、両校とも許容範囲内としています。しかし一つ一つは許容範囲であっても、合計すると52学級であり、学校本来の機能が十分に発揮される適正規模の考え方に、そもそも小中合築を念頭に置く考え方はないと考えます。

第4 に、平成23年度の子母口小学校1109名中蟹ヶ谷地区の児童生徒は422名でした。蟹ヶ谷地区は広い地域であり、本来、一つの学区として小学校が必要な地域です。高津区は実行計画でも2035年まで人口増加が続くと予想していて、今後、久地小学校や、はるひの小中学校の様に、推計を大きく超えた児童生徒の増加や少人数学級の可能性を考えれば合築では対応しがたく、中長期的に考えて新校を開設するべきと考えます。

特に学校は地域の子ども13避難所にもなるのですから、子母口小学校の過密解消、狭隘化を解消するには、当初方針のように蟹ヶ谷の四方の嶺住宅跡地に、新しい学校を開設すべきでした。その立場から、私たちは子母口小学校・東橘中学校の合築に反対してきました。こうした経緯から、これら3議案には賛成できません。