福田市長が予算議会で表明した「市政をもっと前に、もっと先に進める予算」。前に進めた予算とは臨海部の大開発です。4月15日、市議団で水江町、千鳥町、東扇島を視察しました。
建設費540億円かかる「臨海道路東扇島水江町線」
540億円かかる水江町と東扇島を結ぶ橋・道路の建設に、新年度28億8千万円を計上しました。当初、この道路は、東扇島のコンテナターミナルのコンテナが過大にくることを予測して、物流のために計画されましたが、コンテナは予測をはるかに下回ったため必要性がなくなり、今は、道路建設の理由を、東扇島で働く人の避難道路と言っています。しかし、水江町には、コンビナートがたくさんあり、災害時もっとも危険な所です。そこを突っ切り、さらに日本一排ガス被害がひどい池上新町交差点につながる道路です。新たな自動車公害を呼び込む道路にもなります。避難というのなら、東扇島に整備されている東京と横浜につながる首都高速湾岸線の方が安全ではないでしょうか。
突然、千鳥町の再整備計画を変更し、JA全農所有地を15億円で購入し、1,6億円で荷捌き地を拡大。さらに9億円で2階建てモータープール建設
当初、千鳥町の公共埠頭は,船が留まる係留施設と背後の荷捌き施設との間に倉庫群があるため、連携がとりづらい配置になっており、非効率なために、施設の配置転換を計画。船の留まる係留施設の背後にあるJA全農の土地と、内陸部の市有地と土地交換する計画でした。ところが、昨年2月に、JA全農から,すでに事業を廃止し、新たな事業計画もないので、市が買ってほしいと要望され、福田市長になってから、15億円で購入することに変更しました。市長は、この計画変更を軽微な変更だとして議会にも一切説明なしでした。貨物量が増えない見込みなのに、そこに1,6億円で荷捌き地を拡大する予算を計上。同時に土地交換の予定だった市有地(現在、800台の中古車モータープールとして使っている)を、わざわざ港湾特別会計で購入し、600台増やし2階建てにするのに9億円かける計画が加わり、新年度に設計委託費4千万円計上されました。(写真上は、JA全農の土地、交換予定だった中古車モータープールの市有地)
10年間で1022億円かける東扇島の川崎港コンテナターミナル
2年間で9億円かけて新設された3基目のガントリークレーンを初めてみました。4月から稼働開始したようです。2基でも処理能力の3分の1しか稼働していないのに、3基目をなぜつくるのかと反対したのは共産党だけでした。そのとおり、私達が行った時、3基とも稼働していませんでした。(写真)
新年度予算で際立ったのが「港湾費」で前年度比3割増の150億円の大型予算です。船のこない港と言われる川崎港のコンテナターミナル。今後10年間で1022億円をかける国際コンテナ戦略港湾計画は、2012年度実績は、3万8千TEUのコンテナが10年後に40万TEUになるとの過大予測を見直さないまま、1号バース(岸壁)に大型船舶が2隻同時着岸するために、岸壁を延伸させる工事設計費を新年度予算化。第2・3バース増設、コンテナターミナル用地の拡張、掘割部を埋め立てて完成自動車保管用地の拡張なども計画されています。この埋め立ての土砂は,リニア新幹線の整備から排出される土砂をもってくるのではという話もあります。
◆視察して、あらためてすごい大盤振る舞いだとおもいました。一方では認可保育園や特別養護老人ホームには、一刻も早く入所したいという市民の切実な入所見込みは極めて低く抑えこむのに、コンテナ、貨物量は過大に見積もり、不要不急の大規模開発には大盤振る舞いの予算です。
私たちは、予算議会で、こうした税金のむだ使いを止めて、その財源で足りない認可保育園や特別養護老人ホームをもっとつくり、介護人材の確保策、少人数学級の拡大や中3まで医療費の無料化をすること、中小零細企業の支援策の拡充などを行う予算の組替えを提案しました。市民生活再優先の市政への転換が必要です。