このまちレポート

大阪、豊中、尾道、神戸の視察!大阪子どもの貧困アクショングループー視察その1

2014年7月9日

7〜8日の二日間で最大限フル活動の視察を行いました。前々から行きたいと考えていた視察ばかりをくみました。

まずはじめが

大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)の活動です。

この団体を立ち上げた徳丸ゆきこさんは、大阪で起った母子の二つの悲惨で衝撃的な事件「西区2児放置死事件」、「北区母子変死事件」をうけ、「悲劇を繰り返したくない!」。おなかをすかしている子ども、安心が脅かされているこどもの『今』を支援しようと、子ども支援関係者に呼びかけ、支援グループを昨年立ち上げました。「1年でここまでこれるとは思わなかった」といわしめる旺盛な活動です。

目的は、子どもの貧困をなくす事。見えにくい子どもの貧困を明らかにするために、子どもや家庭の生活を調査し、子ども・親・周りの大人をサポートしていくことです。

しらべる(調査、レポート作成)

昨年7月からシングルマザー100人を目標にインタビューを実施し、現在80人余と面談し、中間報告書もだしています。どの事例も本当に悲惨です。根本は貧困ですが、働いても働いてもワーキングプアから抜け出せない。DV被害、虐待、病気、離婚、障害など複合的に母子を襲うなど、何とか救い出さなければならないケースばかりです。

みつける

「何で助けてって言わへんねやろ」「助けて!」っていってもええねんで!」

と徳丸さんたちは、天神筋橋商店街で月1回、夜回り活動を行いチラシを配ります。困っていたら,ここにきてと呼びかけます。「ちょっとお話し聞かせていただけますか」と語りかけるんだそうです。

つなげる(相談事業)

徳丸さんやボランティアで支えるスタッフの皆さんは、その困っているお母さんと子どもを緊急に保護したり、食べ物を届けたりして、困窮の「今」を支えながら、行政、民間サポート窓口に同行し、生活保護などにつなげます。

お寺から、緊急物資のサポートやおそなえなどのお裾分けがあり大変助かっているそうです。

ほぐす(直接支援)

つなげたあとの緩い見守りを続けています。支援を必要としている人たちは、それまでの生活のなかで人を信じる事が出来なくなっている人、かたくなに手助けを拒絶する人も多いけれど、こちらからはずっとあなたの事を心配しているというメッセージを伝え続けるんだそうです。絶対見捨てないというメッセージを発信続ける事で,ほぐれ、返事がかえってくるんだそうです。

絶対に見捨てないというその想いはきっとお母さんの気持ちを少しずつほぐしていくんだと思います。その確信が徳丸さんにはあふれていました。

徳丸さんは、民間だからこそこの活動ができるといわれますが、同時にこのグループの活動が信頼されるのは、専門家や行政とも連携しているからだと思います。

そして貧困は、自己責任ではないと、母子世帯の平均年収223万円にみられるように低収入のうえに、児童手当の薄さ、教育費の高騰と公的支出の低さ=保護者負担の増大、生活保護の低い捕足率、社会保険料の逆進性、雇用政策の問題など貧困を取り巻く社会的、政治的背景を話されました。

本当にその通りです。

インタビューをまとめた「中間報告書」で徳丸さんはこういっています。

「仕事をいくつも掛け持ちしても,経済的に困難な状況から抜け出せないのは

彼女らだけの問題でしょうか?家庭内暴力から逃げ、子どものためと休みなく働き、体を壊してもそれは自己責任なのでしょうか?」

「負の連鎖は次の世代へと引き継がれる事が多く、自分だけで抜け出すのは困難です。このまま、子育てを親だけの責任としていれば、悲劇は繰り返し、今後ふえていくでしょう。

このレポートが「こどものためにもっと親を積極的にサポートしていこう」と思い,行動に移してくださるきっかけとなることを心より願っています」と。