議会活動報告

「新たな総合計画素案」について代表質疑にたちました

2015年8月3日

DSC04133川崎市が公表した「新たな総合計画」の素案をめぐり、市議会は7月29日、全員説明会を開き、市長の説明のあと、各会派から質問を行ない、共産党を代表し私が質疑にたちました。

今回の新たな総合計画は、今後30年間の基本構想、10年程度の長期計画を示す基本計画、2年及び4年の実施計画の3層構造です。8月1日〜31日までパブリックコメントを行ない8月23日(日)13時30分より市民車座集会をエポック中原で説明や質疑を行うことになっています。基本構想と基本計画は12月議会で議決されることになります。以下、質疑の概要です。

地方自治法第1条「住民の福祉の増進をはかること」を明記すべき

前回の基本構想には「民主主義のもとでの人権の尊重と平和への貢献を、構想を貫く根本的な理念とした上で、市民本位のまちづくりを進める」を基本方針として位置づけていましたが、今回の基本構想素案には、そうした内容が基本理念にありません。憲法に基づき自治体の基本的役割を謳った地方自治法第1条「住民の福祉の増進を図ること」を明確に盛り込むべきと求めました。

なぜ30年もの長い期間の総合計画にするのか?

前回の総合計画の期間は2004年から10年間でした。それは「急激な社会経済環境の変化に適切に対応し、計画の実効性を確保する必要がある」からでした。今後も急激な社会状況の変化がおこる事は十分あり得る中で、30年先まで議会に議決を求めて決められるのか。誰が責任を持てるというのでしょうか。

*2004年には、2015年の人口を138万9千人と予測していた。

前回の総合計画では、2015年の川崎市の人口予測を138万9千人とし、2015年をピークにその後は減少すると予測していました。実際は今年・2015年は147万人と予測より10万人も多く、10年の基本構想でもこんなに大きな差異が生じました。30年を見越したものにする意味はどこにあるのでしょうか。

今回の新たな総合計画では、「今後川崎市の人口は増え続け、2030年(15年後)に152万人になり、これをピークに人口減少へと転換し、2045年(30年後)に146万人になる」としています。が、今年より1万人少ないだけです。

「財政が厳しい」という言葉はでてこなくなった

総合計画では、「川崎市の市税収入は、人口増などによる納税者数の増加と、景気回復による所得の増加などによって堅調に推移している」そして、「2018年度には、地方交付税が不交付団体(財政が豊かということ)になり、2019年度には収支不足は解消する」とし、どこをみても「財政が厳しい」という言葉はでてこなくなりました。それを裏付けるように先頃刊行された【2013年版の大都市比較統計表】では、川崎市の【財政力指数】は、3年連続で政令市第1位です。

それなのに、総合計画に貫かれるのは「自助・共助(互助)」。

基本政策では、「自助、共助、互助の地域の仕組みづくり」を一生懸命やりましょうと強調され、公助や福祉の充実の柱が全くおざなりです。総合計画策定に向けたアンケートでは「高齢者や障害者が生き生きと生活できる環境が整っていると思うか」にたいし、本市は20政令市中14位、「社会保障制度に基づく市の取組みが市民の経済的な不安の解消に役立っていると思うか」が16位、「安心して医療がうけられると感じているか」は18位で、いずれも低い評価です。

高齢者が安心して住み続けられる川崎にするには、介護が安心してうけられる基盤整備の拡充が必要であり、経済的に苦しい生活、介護度が進んだ1人くらしの高齢者等への福祉など、弱者への視点を公の責任としてしっかり盛り込むべきと主張しました。

全ての障害者の人権を全面的に保障する為に、障害者権利条約の全面実施の立場にたち、社会的な条件を整備する公的な責任を果たす事を柱に盛り込む事を求めました。

さらに、市長が市民サービスをゼロベースで見直すとして、【スクラップ・スクラップ・ビルド】と称し、わずかに残された市民サービスの削減を行い、「財源確保に向けた取組を進める」して、使用料、手数用のさらなる負担を市民に強いようとするのは、止めるべきと主張しました。

「都市インフラの老朽化で財政の硬直化が一層進んでいる」としながら、「不要不急の大規模開発は一層推進」は論理が矛盾している

素案は、都市インフラが老朽化し「公債費がこれまでの公共施設の整備などに活用した市債の償還のため毎年700億円を超える規模で推移しているため、財政の硬直化が一層進んでいる状況」と結論づけています。

なのに、「臨海道路東扇島水江町線、羽田連絡道路、国道357号線、拠点駅整備などには、今後、数千億円単位に上る都市基盤整備は、投資的経費のみなおしや、市債発行の抑制という視点からも何も見直さないというのは、論理が矛盾している」と強調し、見解を求めました。

財政収支推計を元に総合計画を策定すべき

「そもそも、総合計画の策定は、財政収支推計を元に行なうべきなのに、今回は総合計画を踏まえて、財政収支推計を作成するとしていますが、財政収支推計がないのに、どうして30年間もの行政運営の計画が策定できるのか」と質問しました。

安心して子育てが出来る環境と充実した教育環境を

子育てでも先に述べたアンケートでは「子育て環境が整ったまちだと思うか」は19位、ワースト2位です。これが市民の実感です。しかし、素案では、「子育て家庭を地域社会全体で支え、地域で安心して健やかに成長できる仕組みづくりを進める」を柱としています。このような地域の仕組みづくりの取組で少子化を克服できるのか質問しました。子育てが安心して出来る川崎にするには、子育てニーズ調査でもっとも高い経済的負担の軽減、具体的には「小児医療費助成制度、隠れ待機児童含めてゼロにする保育事業、幼稚園保育料補助の拡充」を柱に掲げるべきであり、子どもの成長に応じた様々な段階で「貧困」から子どもを守り、救い出す施策も盛り込むべきと主張しました。

新たな総合計画では、将来を見据えて乗り越えなければならない課題として①少子高齢化の更なる進展、②人口減少への転換、③生産年齢人口の減少 をあげていますが、乗り越える為には、安心して子育てが出来る川崎にしてこそ年少人口が増え、生産年齢人口の減少に歯止めをかける方策にもなります。

一人一人に行届いた教育のために少人数学級を全学年に拡充する事、全学校トイレの快適化、特別教室のエアコン設置、循環式プールの設置要望など教育環境の改善は早急に図る事を求めました。校舎、体育館の長期保全計画の前倒しを求めました。

「市民本意の自治のまちづくり」を基本理念に!

本来、住民自治、市民自治とは、国における主権者が国民であるのと同様、地方自治体の主権者は住民・市民であり、市政運営の基本は主権者である住民・市民から付託された権限を行使するものです。そして市民主権の原則は「市民が市政の主権者であり、主体的な市政への参画が保障されること」をいいます。しかし総合計画は、市民自治を【市民の支え合いを中心としたコミュニティー形成を支援する】とされ、市民自治の内容がゆがめられています。市政運営の基本に主権者市民を据えるよう求めました。

その他、中小企業活性化への具体的対策を求め、超過密な都市づくりを進めることについて、建物の高度化による風害の問題、人口の過密化が、子育て、教育施設や医療、福祉施設の需要の急激な増大をもたらしています。高齢化社会を迎えるからこそ、中学校区の範囲で歩いてくらせるまちづくりを中心に据えた都市計画とすべきと指摘しました。

車座集会を各区で開催するよう求めました

市長は策定の段階で無作為抽出ワークショップやまちづくりカフェ、市民検討会議を行なって市民のみなさんのご意見を伺ったので、素案の説明会は全市で1回車座集会を開けばよいとしています。しかし、策定された素案について、市民に説明するのは、市民自治のまちづくりをする為にも必要です。各区で意見交換会を行なうよう強く求めました。

新たな総合計画素案について、9月議会と12月議会でも議論をします。

*パブリックコメントが81日から始まっています

市民車座集会

8月23日(日)13時半より川崎市総合福祉センターホール(エポック中原)で市民車座集会が開催されます。市は「市長に直接聞いてみたい質問については事前に募集しますので、『事前質問カード』を総合企画局都市経営部企画調整課あてに提出してください。」と広報しています。

電話 044−200−2550

ファックス 044−200−3798