25日、2014年度の健康福祉局関連の決算について審査する決算審査分科会が開かれ、特別養護老人ホームについて質問しました。この間、「特養ホームをつくればつくるほど、介護保険料が高くなる。お金がいくらあっても足りなくなる」等と言う人が多くいました。でもこれはまちがいです。
特養ホームの整備にかかった一般財源は300万円。あとは市債
◆特養ホームの整備の為の2014年度当初予算は18億円余でしたが、宮前区野川地区と麻生区王禅寺東地区の整備が、予想を上回る建築資材や人件費等の高騰で、工期に遅れが生じたため、支出された金額は7億6千万円余です。
◆その財源内訳は、一般財源は、298万8千円。 市債が7億5900万円でした。この市債は後年度に借金返しをしますが、借金の償還払いをするために川崎市は毎年着実に減債基金に積み立てており、川崎市の減債基金の残高は2014年度末には1,824億円にものぼっていますから大丈夫です。
特養ホーム入所者の介護にかかったお金は介護保険事業特別会計の15%。重度の方が多いのですから当然です。
◆ 2014年度の介護保険事業特別会計の歳出合計は754億7千万円余で、そのうち特養ホーム入所者の介護サービスにかかったお金は114億円余で、全体の15%です。介護保険サービスの支給限度額は、例えば「要介護1」が1か月16,692単位。「要介護5」は36,065単位で、これは在宅でも施設であっても同額です。ただし、施設入所の場合は居住費、食費3食分等は介護保険の対象外で全額自己負担です。
◆ 入所者は「要介護3」以上が84%を占めているなど、圧倒的に重度の方が多く入所しているのですから、15%は当然です。介護保険法の位置づけ、社会のニーズからしても、「特養をつくると介護保険料に跳ね返るというのは間違いだ」と指摘しました。
「特養ホームは今後、地域バランスに考慮した整備を行う」
昨年度策定した「地域包括ケアビジョン」では、特養ホームについて、在宅生活者、介護者へのサポートや地域交流スペースや年間行事等を活用した地域との交流等を行なう地域における介護・福祉拠点の一つとして整備する。今後については地域バランスを考慮した整備を行うとしています。
●圧倒的に少ない高津区への特養ホームの整備
平成28年4月開設分を含めた特養は53施設、総定員数4,432人となる。
要介護認定者数をベースにした各区のベッド確保率は 川崎区7,4%、幸区16,1%、中原区11,5%、高津区6,7%、宮前区 12,3%、多摩区 18,7%、麻生区 20,2%で、高津区が圧倒的に少ない!
「高津区の民有地を活用した再公募の選考を9月末に行ない10月上旬に設置運営法人を決定する予定」と答弁。
10月上旬に決まったとしても、まだ一番少ないのは変わりない事から、大谷久末市営住宅跡地を活用した特養の整備の検討を求めました。
「10月上旬目途に決定する予定なのでその結果を踏まえて検討する」と答弁しました。私は折角市有地があるのだから、大谷久末市営住宅跡地に特養ホームの整備の検討を強く求めました。
●特養ホームの整備計画の拡充を強く要望しました
高齢者実態調査で、1人暮らし高齢者は、85歳から89歳までの4人に1人、90歳以上の5人に1人と、大変多くなっている。1人暮らし高齢者の51%が「緊急時の安心の為」自宅以外で暮らしたいと答え、特養ホーム入所希望者の4人に1人が1人暮らし高齢者で前回調査より11%増加し、3割以上が今すぐ入所したいと答えています。
また、在宅で介護している後期高齢者の奥さんから「今はショートステイを利用してなんとか頑張っているが私ももう限界。有料老人ホームは高くて二人で入る自信がない、特養ホームの増設を心から願う」などの記述もあるように、今後も特養ホームを必要とする高齢者は増大すると思うので、整備計画の拡充を強く求めました。