議会活動報告

南部給食センターの整備、運営の契約議案について

2015年10月15日

15,000食つくり22校に配送する計画の「南部給食センター」の整備・運営に関わる契約議案について、共産党は苦渋の選択のすえ賛成しました。

総務委員会の質疑で提案内容について、課題を一つ一つ明らかにし改善を求め,最後は副市長が「運用上改善すべきことは改善する」との回答があり、厳しい意見要望とともに、長年の市民の中学校完全給食への願いも述べて賛成しました。

質疑した主な内容は、調理後、学校に到着するのに最大1時間20分もかかり、渋滞等あれば環境衛生基準の2時間をオーバーすることもあり得ると考えることから、配送車や配送員を増やす事など含め配送計画をみなおすこと。配送リハーサルも行ない問題点があれば改善すること。

アレルギー対応がセンター方式で本当に大丈夫か、具体的な対策について、アレルギー除去食の調理、配送まで行なうセンター側の体制と、到着後の学校側(教育委員会)の対応について。小学校では保護者、担任、栄養士、養護教諭で話合い、事前確認し対応していること。そうした体制をとり、万全な安全対策をとるべきと質疑しました。

保護者の試食会を実施する事、調理している現場を見学すること。学校に到着後に教室に運ぶ配膳員の配置をしっかり行なう事、エレベーターのある学校はエレベーターの使用と食管,コンテナのサイズの検討等を求めました。

また、市が事業者に提示した「要求水準書」と「事業契約書」には、アレルギー対応を含め、時間までに届かなかった場合等基本的な事が掲載されています。また、「合理的に必要があると認められるときは変更できる」とも示されいます。「要求水準書」や「事業契約書」その他いくつかの添付資料に提示している内容について、「要求水準未達」の場合のレベルとそれに伴うペナルティーも業者に課すことが示されています。

しかし、それなのに、質疑が始まってその事を質問しているのに教育委員会は資料をしめさず、「変更できない」等の答弁を繰り返す等、全く不誠実な態度でした。我が会派が資料請求してやっと入手し、それに基づき本格的に議論したのが3日目でした。

以下は、最終日の14日、中学校給食について「討論」で述べた部分です。私たちの見解や思いが詰まった討論です。

 

議案第132号(仮称)川崎市南部学校給食センター整備等事業の契約の締結についてです。

まず初めに申しあげたいのは、議案に責任をもって議会に提出した以上、議会に議論に必要な資料をきちんと提出してほしいということです。

今回の教育委員会のやり方は、不誠実としかいいようがありませんでした。

今回おおきな問題になったセンターから各学校への配送時間とルート、については、事業契約書でみれば、「提供不全・レベル3で指定時刻まで配送されず、生徒が所定の時刻から給食を喫食できなかった場合」と書かれ、「開業準備業務として、事業者が実施する業務が要求水準未達であると確認した場合には、事業者へ支払うサービス購入料の減額を行う」「要求水準の変更についても、第26条・市による要求水準書の変更協議があり、合理的に必要があると認められるときは、要求水準書の変更の協議を請求することができる」等、書いてあります。審議のなかでは、配送時間・ルート等については、変更はむずかしい、の一点張りでしたが、3日目の審議で事業契約書をもとにした質疑の中で、配送時間等についても検討する、と答弁されました。

さらに、要求水準書では、「配送対象施設」の項で、南部・中部・北部学校給食センター各事業者決定後に、市と各事業者で協議をしたうえで、配送計画を見直す可能性がある」ことを明記しています。

これだけではありません、初めから、必要な資料が委員に提供されていれば、審議はもっとスムーズにすすんだはずです。

私たちは、給食が生徒の口に入るまで、安心、安全、そしておいしくて適温なものが確保できるようにとの立場で議論をおこなってきました。中学校現場の不安や心配の声を受けて、各学校の事情を考慮し、支援することを要求してきました。センター給食において配膳員の配置は欠かすことができません。各学校の実情を調査して配置を考えたいと答弁がありました。その立場で学校現場の声を受け止め、しっかり配置することを要望します。

既存するエレベーターを給食に活用することについて、3日目の質疑で、「学校の判断にまかせる」と言明されました。4日目には「川崎市立高校付属中学校ではエレベーターのサイズに合わせてコンテナサイズを調整した」との答弁がありました。だとしたら、他の中学校も同様な扱いをしなければなりません。少しでも現場の負担を縮減し、安心、安全な給食を提供できますよう、各中学校の実情に即してコンテナサイズの協議を事業者と行っていただきたい、このことはつよく要望しておきます。

課題はまだまだ残されています。

アレルギー対策は万全に行われるか、食育の中心となる栄養士の配置がどうなるのか、学校に配属される給食配膳員の人数と仕事内容など、これらの課題は教育委員会が主体となって実現できるものです。これらの課題を教育委員会は真摯に受け止めて、実施までのあいだに必ず解決してください。

始まれば、いろいろな声が寄せられるでしょう。今後さらにこれらの市民の声を聞いて、それに応えて改良していける、市民とともにつくる中学校給食にしていただきたい、そう強く思います。

今回の審議にあたり、私たちは市民の意見を聞きながら、何回も何回も団会議で長時間議論してきました。賛成していいものかどうか、ほんとうに迷いました。 20年来の市民の要望である中学校給食の実施にあたって、小学校と同じような給食をとの市民・保護者・こどもたちの願いに応えるものに―実施手法としてはできうる限り自校調理方式でその可能性を追求してほしい、一方で校内敷地確保が困難な学校もあるので、自校方式の良さを生かした食材、献立、配膳方式を学校への負担増を極力抑える形で実施してほしい、と取り組んできました。

全国の86%で実施されている中学校給食、川崎市政のそして教育行政の遅れた分野の一つが中学校給食の未実施でした。国全体の食教育と学校給食を重要視する再評価がありました。一方で子どもを持つ家庭の貧困化の進行もあります。 そのようななか、15000食という巨大な給食センターでの実施で生徒、保護者の期待に応えられるのか・議案として出た時点で仮に反対したとしてことは前進するのか、時期を延ばしても事態がかわるのか、さまざまな角度から議論しました。結論は指摘した課題を教育委員会のみならず、全市的に推進してきた推進会議全体の責任として、その解決を図っていただく以外ない。

副市長は「社会保障関連経費の中で中学校給食の財源は将来的に確保してあり、財政収支計画の中に織り込み済み」だと答弁しました。また、「運用上改善すべきことは、やっていきたい」とも答えました。教育委員会がやることはたくさんあり、実施までまだ時間はあります。そこを裏切らないで行ってください。苦渋の決断として議案に賛成します。

委員会では総務委員の市古さん、宗田さん、片柳さんが本当にがんばりました。そして、私たちも全員で傍聴し何度も団会議を行ない、いろいろな角度から検討し、団が一体で臨みました。

12月議会では、中部と北部のセンターの議案が提出される予定です。引続きがんばります。