11月6日、茨城県土浦市にある特定非営利活動法人「Babyぽけっと」を視察させていただき、岡田代表よりおはなしを伺いました。
「Babyぽけっと」は,予期せぬ妊娠や経済的な理由等により、出産しても子どもをどうしても育てることが出来ないけれども、うまれてくる子どもには施設ではなく温かい家庭で幸せになってほしいという実親さんたちの願いと、赤ちゃんを授かりたいと不妊治療等の努力をしても子どもが出来ず,どうしても夫婦で子どもを育てたいという養親(育て親)さんたちの願いを実現していくサポート、養子縁組の仲介等の事業を行なっているNPO団体です。岡田代表はこの活動に関わって11年とのことです。
平成25年度に「Babyぽけっと」に妊娠に関する相談が733件あり、助けを求めた女性の出産を支援し、平均して月に4〜5回、57組の養子縁組をしてきたとのことです。その多いことに驚きました。相談してくる女性は、親からのDVで精神障害がある等、本当にさまざまな理由でまともな仕事に就けず、風俗や水商売等でぎりぎりの生活費を稼ぎ、望まぬ妊娠をして出産まじかまで妊婦健診を一度も受けず、お金もほとんどもたずに助けを求めてくるそうです。
そうした女性を全国どこへでも迎えにいき、安心して出産できるように支援するとのこと。女性の貧困にさらに望まぬ妊娠で命を削るぎりぎりのところで、だれにも相談できず孤立化し、助けを求める女性に対し、手を差し伸べる、そうした活動をされていることに本当に驚くとともに頭がさがるおもいです。岡田さんは、ハイリスク出産を引き受けてくださる産婦人科医師がいるおかげですとも語っておられました。
養子縁組が実り、子どもを迎えたご夫婦が、そのことをオープンにし、その後もつながりを持って、全国で交流し、「Babyポケット」の活動を支えているとのこと。一人一人、大切に育てられ、新しいご家族の素敵なアルバムも見せていただきましたが、実親さんにもアルバムを送ったりして元気に育っていることをお知らせしているとのこと。ほとんど100%の実親さんは、大切に育てられていることに安心されるとのことでした。そして将来子どもには「真実告知」を行なうことになるので、養親さんたちがつながりながら支え合っているとのことでした。
出産するまで妊婦さんが住まう「岡田住宅」の中をみせていただきました。畳のお部屋にこたつが置かれ、家庭的な雰囲気がする住まいでした。
「Babyぽけっと」の活動は、2013年にNHK「地方初ドキュメンタリー」で2回放送され、日本テレビでも養子縁組特集で報道されました。予期せぬ出産等で助けを求めてこられる女性の背景には、子どもの時に虐待をうけていたことがある、DV被害、女性の貧困問題と貧困の連鎖等が関わっていることが多く、これらの根本的な施策、そしてうまれてくる子どもたちが祝福されることが出来る子どもの権利の保障と女性問題と女性支援が大切であると思いました。