議会活動報告

「介護従事者の勤務環境及び処遇改善の実現を求める陳情」の審査

2016年1月29日

   28日、健康福祉委員会で、介護職員を始めとする介護現場で働くすべての労働者の処遇改善を図ること。人員配置基準の引上げ、夜間の人員配置を改善すること。これらの実現を図るため、国費で費用を賄うことを求める国への意見書を提出してほしいという陳情の審査を行ないました。

はじめに、健康福祉局から、厚労省や介護労働安定センターなどの資料から、介護職員を取り巻く状況についての説明がありました。全国の有効求人倍率は職業計が1.17に対し、介護サービスの職業は2.93と2倍強。従業員の不足感は訪問介護員75.1%、介護職員は57.6%と大変高い数値ですが、川崎市の場合は91.3%、62%とさらに不足感がおおきい数値です。

賃金水準と(平均勤続年数)は全職種平均が329.6千円(12.1年)ですが、ホームヘルパーは220.7千円(5,6年)、福祉施設介護員は219.7千円(5.7年)で介護職員は低賃金で勤続年数が少ないことも明らかです。不足する介護人材の数についても、川崎市は高齢者人口の比率で換算すると、2025年までに需給に対し、年、約360人の不足が生じると示しました。

私は、川崎市が平成25年に実施した「介護人材の確保・定着に関する実態調査」からも、運営する上での問題点として、「良質の人材の確保が難しい」が事業者の55.2%が回答、2位が「今の介護報酬では、人材確保と定着のために十分な賃金を払えない」に50.8%の事業者が回答しており、この数値は全国調査と比べて川崎市が高いことを確認しました。これら市の調査は今後の介護人材確保施策の基礎資料とする為に行なったのだから、毎年同じような支援策でなく、住居手当や非正規から正職員にする支援策を行なっているところがあるので、川崎市も一歩踏み込んだ支援策を行なうべきと主張しましたが、局長は従来の支援策を述べるにとどまりました。

また、平成27年度の国の介護報酬改定は、処遇改善は+1.65%、介護サービスの充実が+0.56%ですが、基本サービスは−4.48のため、全体の改定率は−2.27%と,引き下げられるもとでは、経営が立ち行かず、苦しくなっている。さらに、この処遇改善による加算は金額にすると1人月額12,000円ですが、対象は直接介護にあたる職種だけで、ケアマネ、施設長、相談員、調理員、栄養士などは対象外のため、これら職種が連携して介護にあたるのだから、全職員を加算の対象にすべきということも主張しました。

介護報酬をあげれば、介護保険料の引き上げに直結する介護保険制度の制度設計の矛盾があることから、国費の負担率をあげるべきです。介護保険の給付費の財源は、介護保険料52.3%、国・県が35.2%、市が12.5%です。

国の社会保障費の自然増は単年度で8千億円から1兆円程とみこまれていたが、実際は5千億円まで抑制されていることからも,国の負担割合をあげるべきと主張し、意見書をあげたいし、陳情も採択と言いました。

しかし、他の会派は、介護職員の人材不足等、陳情の主旨は分かるけども、国の負担で行なうことについては議論が必要だし制度設計はそうなっていないと主張して意見書はあげないことになりました。陳情の扱いについて継続審査となりました。