12、13日にわたり、文教委員会において、小児医療費助成を小学6年生まで拡充と引き換えに、1回上限500円の一部負担金を導入する改正議案の審査が行なわれ、共産党は、一部負担金は以下の理由で導入すべきでないと主張し反対。会期最終日の本会議に、所得制限をなくし、一部負担金もなしの修正案を提出する予定を表明しました。
1、市長の公約は「6年生まで今すぐ無料にする!」でなかったのか?
「当然、無料になると期待していたのに、受診の度に500円は納得できない」「今度こそと思っていたのに」。「東京のように、所得制限なしで中学まで年齢拡充を早く実現してほしいのに」。「財政状況もよいと聞いているのに、他でやれているのになぜ?」の声が多数寄せられています。
2、県内全ての市町村が一部負担金を導入していません。
神奈川県下33市町村のうち、14の自治体が中学卒業まで、15の自治体が小学6年生まで無料化を実施し、全ての自治体が、一部負担金を導入していません。
3、財政力が政令市トップの川崎は、1億5千万の負担を保護者に求めなくても十二分にやれる。
市長は「財政的に、制度を安定して持続させるために、500円の負担をしていただく」と答弁しますが、一部負担金の保護者の負担額は1億5千万円です。財政の健全度を表す財政力指数は、政令市でトップの川崎市は、今年度、独自の税収が豊かで、国から地方交付税をもらわない「不交付団体」になりました。
神奈川県内で川崎以外の「不交付団体」は7市町ですが、うち、厚木市、海老名市、中井町、箱根町は中学卒業まで所得制限なしで実施し、藤沢市、鎌倉市、寒川町は小学6年生まで、藤沢市は所得制限を設けていません。財政力豊かな本市が一部負担金を求めなければ持続可能な制度にならないという財政的な根拠は、決算分析からも全く見当たらないのです。
4、市長の言う「無料化でコンビニ受診が増える」というバックデータはありません。
これまで市長は、「無料にするとコンビニ受診が増える」「小児科がパンクし、医療機関が疲弊するので一部負担金を導入する」とくりかえし答弁してきました。私は、川崎で、昨年度は小学2年生まで、今年度は3年生まで対象を拡大したが、無料化で、コンビニ受診が増えるという調査を行なったのか、バックデータを持っているのかを質したところ、「そうしたバックデータはもっていない」とのことでした。国の「子どもの医療費助成制度のあり方等に関する検討会」などで様々な議論、話題になったとの答弁でした。
保護者から異論の声
多くの保護者の方々は、市長のコンビニ受診が増えるという発言に対し、「必要がないのに受診しない」「病気をもらう心配があるので極力行かないようにしている」と指摘しています。こうした実態やバックデータがないのに、国の検討会で話題になったということだけで、一部負担金を導入する理由にあげ、議会答弁をするのは、いかがなものかと厳しく指摘しました。
市長は、こどもの医療費助成制度の目的は、「こどもを産み育てやすい環境をつくる為に重要な施策である」と述べていますが、これは「お金の心配をしないで受診できる」「受診をがまんしないでお医者さんにかかれる環境をつくる」ということです。その一方で、「受診が増えるのを抑制するために一部負担金を導入する」というのは本来の制度の目的と矛盾します。
5、所得制限を撤廃し、どの子も無料にすべきです。
こどもの健康・いのちと親の所得は関係ありません。等しく平等にすべきです。特に所得限度額をわずか上回るだけで、3割負担という方々の不公平感は計り知れません。
6、行財政改革で、見直しの対象としている「重度障害者医療費助成」等、他の助成制度に波及するのではと非常に心配です。
賛成会派提案の付帯決議は、今後も本市財政状況を十分に精査し、「受益と負担の公平性」の適正化の観点から、一部負担金のあり方や所得制限の見直し等制度の更なる拡充に向け、引続き検討すること」などの内容ですが、私たちは、現状の本市の財政状況のなかでも、そして今後についても、所得制限をなくすことも、一部負担金を徴収しなくても、年齢拡充できると考えるものです。