議会活動報告

川崎市市民ミュージアムの指定管理者の選定議案の審査

2016年10月16日

現在、企画展示は、「旅する人びと 東海道53次から世界へ」と「青年まんがの世界」のポスターは下記でご覧になれます。

           
 

13日の文教委員会で、市民ミュージアムの指定管理者として、アクティオ・東急コミュニティー共同体に選定する議案の審査が行なわれました。

旅する人びと 東海道53次から世界へ市民ミュージアムは、全国でも珍しい博物館機能と美術館機能をあわせもつ、市民文化の創造拠点として28年前に開設されました。審査に先立ち、10日、片柳市議と一緒にあらためて市民ミュージアムを視察させていただき、魅力的な展示や東海道53次の宿場町の様子等を学芸員さんが、詳しく分かりやすく説明してくださりとても興味深く拝見しました。

この指定議案は、学芸部門を含め、直営による総務、企画広報、教育普及部門等を指定管理者に管理運営させるという議案です。

これまで学芸部門は公益財団法人・川崎市生涯学習財団に業務委託し、現在、学芸員は16人の有資格者がにない、開設以来28年の経験を有する4人をはじめ、経験と高い知見を持つ方々が担っています。

しかし、今、2017年度からアクティオに管理運営が移行することで、学芸員の深刻な雇用問題が生じています。

一方で、市は「仕様書」において、指定管理者に対し、「博物館・美術館の専門分野に関する豊かな知見と高度の専門性の継続と蓄積、高い公益性と信頼性」を求めています。委員会では、選定事業者がこれらを担保するために、どのような募集計画を持っているのか、公の施設として,市の姿勢が問われると委員会で質しました。

現在、財団が、学芸員さんに紹介しているアクティオの「職員、パート求人募集要綱」では、1年間の0001契約社員、応募資格は、「高卒以上、職員希望の場合はエクセル・ワードなどのパソコンスキル」とあり、とても高い専門性を担保した募集要綱とは思えません。

1年契約の職員が、極めて高度な技術が必要となる、資料の保存や修復、市指定文化財なども含めた21万点余にも上る膨大で貴重な収蔵品を適切に取り扱うことができるのか、大いに疑問が残ります.これら、市民ミュージアムの収蔵作品は、全国の美術館のなかで、最も多く、9つの収蔵庫に、適切な温度、湿度で管理されていると仕様書にも記述されています。

質疑のなかで、ミュージアムから全国あちこちに育っていったアーティストは5万といると初めて知り、本当に感動しました.そうした地味だけどまさに文化の拠点としての役割を発揮してきたのだと思いました。

学芸員の高い専門性にふさわしい雇用の継続について、市民文化局長は、財団側及び財団を管轄する教育委員会にも要請をすることと、アクティオ側の人材確保に配慮をお願いすることは出来るが、民・民の問題であると答えました。

質疑のなかで、アクティオ側も、市民ミュ–ジアムの歴史と知見にたけている学芸員さんの力を使わない手はないと言われていることもわかりましたが、それらが実際にどう担保されるか保障はありません。

また、有資格の学芸員は減員されることが質疑のなかで明らかとなりました。採決に当たって、本来、考古、歴史、民族、美術、映像等に関する資料及び作品について収集、展示、調査研究等を行なうこと等により、市民の教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的として設置されている市民ミュージアムは指定管理になじまない,学芸員の高い専門性の継続性が保障されないとして、3月議会で提案された、指定管理制度の導入議案に反対してきた立場からも、今議案に賛成できないことを表明しました。文教委員会では、共産党以外の会派、無所属議員の賛成多数で採択されました。