4月6日、川崎民主市政の会が主催する「臨海部大規模開発視察」に参加しました。前市長から福田市長にかわり、さらに加速している臨海部の大規模開発、財政が厳しいと言いながら、ここには巨額の税金が使われています。市民のみなさんと一緒にその実態を視察しました。
【東扇島の川崎コンテナターミナル】
川崎市の巡視艇「あおぞら」で、ガントリークレーンが3基そびえる東扇島の川崎港コンテナターミナルを海から見ました.コンテナ貨物量の過大予測をたて、2基が同時に稼働した時のために3基目のガントリークレーンが必要だとして3基目を9億円で設置しました。しかし、今回も3台のガントリークレーンは閑散としていました。市は、平成30年代後半までに.40万TEUの取扱量をめざすとしていますが、増えてきたとはいえ、ようやく年間10万TEUを超えたところです。およそ10年後に40万TEUに増加するとの過大予測を前提に、輸出自動車の保管場所等のためとして東扇島の掘割部を240億円かけて埋め立てる計画で、事前調査を2億円かけて実施します。
【臨港道路東扇島水江町線】
「臨港道路東扇島水江町線」は、東扇島のファズ物流センターの脇を通り、東扇島と水江町を結ぶ市内最大級の大きな橋を渡り、水江町のほぼ真ん中を通って池上町へと繋ぎます。橋脚が立ち上がり始めていました。総工費540億円の内、川崎市の負担は180億円。過大予測を前提としたコンテナ輸送を目的としています。この間の論戦で市民生活にとって必要性がないことが明らかになりました。
【ナノ医療イノベーションセンター】
多摩川をはさんで、羽田空港の対岸にある川崎区殿町3丁目は、かつていすず自動車があったところです。川崎市が力をいれている国際戦略拠点キングスカイフロントがあります。ここに2015年4月から運営が開始されているナノ医療イノベーションセンターがあります。産学官が連携するオープンイノベーション体制で、医と工が融合して行なう研究の1つがガン細胞をピンポイントで破壊する研究とのことです。アルツハイマー病などの脳神経系疾患の革新的治療技術の開発をめざし研究を行っています。研究と研究成果の実用化をめざすとしています。こうした研究自体は、人類医学の進歩に寄与するものですから、必要なことですが、こうした研究等は国と企業が行なうべきと思います。
実用化が成功すれば、利益は参入している企業のものです。実用化まで何年かかるか分かりません。見学している方から、「庶民もこの治療が成功した時受ける事ができるのか」と率直な疑問を呈していました。税金を数億円もかけてそこまで至れり尽くせりする必要があるのか。産業振興財団が運営しますが、川崎市は当初10億円を財団に貸付を行ない、30年返済で賄うこととし、返済額と維持管理費は、入居する企業の賃料でまかなえると言ってきました。ところが実施直前になって、入居予定の事業者が撤退する事となり、賃料の7年据え置き、さらに共有スペースの9億円の補助と用地の無償貸与に切り替え、2億7千万円も支援することになりました。
【羽田連絡道路】
最後に見たのが、300億円もかけて、多摩川にもう1本架ける橋「羽田連絡道路」の予定地です。殿町と羽田空港を結ぶ橋です。2020年オリンピックをめざすとしています。この予定地は、首都圏で最大規模の貴重な干潟のある場所です。貴重な干潟ををこわすな!と、日本野鳥の会などが繰返し中止、見直しを求めています。また、殿町地区に新たな自動車公害を呼込むことになります。
すでに、多摩川河口から5キロ圏内にはトンネル・橋が3本(首都高多摩川トンネル、1号羽田線高速大師線、産業道路大師線)あります。
さらに、予定地より河口側では、首都高に並行する「国道357号・多摩川トンネル」の整備(1280億円)が2016年から事業着手しています。
もう1本かける必要はありません。止めるべきという思いを改めて思います。
市民からは遠くてみえづらい川崎の臨海部でこのような巨額の税金が投入されていますし、計画されています。このような税金の使い方を改めて、市民の子育てや教育の充実、高齢者や障害者の福祉充実にまわすべきと、みんなで思いを共感出来た臨海部ツアーでした。