5月10日、11日の二日間、文教委員会の視察でした。
10日に伺った那覇市は子どもの貧困対策として、教育相談課、保護管理課、子育て応援課の3つの課に専門職による名称のちがう「支援員」をそれぞれ配置しています。
「教育相談課」に「寄添い支援員」を18名配置
貧困状態が子どもの生活と成長に与える様々な課題(不登校、いじめ、問題行動等)に対応するため、教育分野、社会福祉等の専門的な知識技術のある方を配置(非常勤、週4日、8時半から17時勤務)、中学校が17校ありますが、支援員一人当たり平均中学1校と小学2校を担当します。
対象世帯は、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持出来なくなるおそれのある世帯又は就学援助制度の対象世帯としています。
学校からの情報提供をもとに、気になる児童生徒の家庭等を訪問し、寄添い支援員がそのお手伝いをする事を保護者に説明し同意を得て支援を実施。児童生徒の居場所へのつなぎ、就学援助等の各種手当の制度の手続き支援、ハローワーク等への手続き支援、児童相談所や子育て支援室と連携した虐待ケースへの対応等各家庭に応じた支援を行ないます。
家庭環境が大変な生徒を、自立支援施設と連携し、食事、入浴をすませ、自宅に同行する等寄添い支援を行なっている事例の紹介もありました。
「保護管理課」に「児童自立支援員」を13人配置
主に生活保護世帯、必要に応じて準要保護世帯の小学生対象に支援を行なう「子ども自立支援員」と、中・高生を対象に支援する「児童自立支援員」ですが、臨床心理士、教諭資格者、保育士等を計13人配置しています。(非常勤、週5日、9時から16時、10時から17時)
貧困による様々な課題を抱える子どもに寄添い、課題を1つひとつ整理し解決する事で環境の改善を図り、支援される子どもたちが自らの未来を自らの力で切り開いて行くための支援を行なう事が目的で児童を主体として支援します。
各小中学校に依頼し、支援が必要と考える児童生徒のリストをつくり、実態を把握、課題について学校や家庭環境、生育歴、障がい等さまざまな角度から分析し課題と原因を明らかにし、子どもや保護者との信頼関係を築くとともに関係機関と連携し支援を行なう。ちょっとした仕草や言葉、その場の雰囲気に隠された情報が潜んでいる事があるのでそれを見逃さないようにする.複数で多角的な視点から分析する.事例として何か気になる仕草からよくよく話を聞いてみると父親から性的虐待を受けていた事が分かった.現場に行かないとわからない。支援の大切なポイントは、共感は○、同情は×、世話はやかない.適度な距離感を保ちながら支援すること。
「子育て応援課」に「子育て世帯自立支援員」を一人配置
「子育て応援課子育て支援室」で相談受付をした就学前児童のいる世帯の中から「集中的に支援が必要な世帯」を選定し、担当付けを行ない児童及び保護者を支援する。内閣府による「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」として国庫補助金100%を活用し、臨床心理士、社会福祉士などを配置。(非常勤、週5日、9時から16時)
平成28年度から実施し、1年通して見えてきた事は ①就学前の時期の介入は虐待予防に効果的(年齢が低い程生命に関わるリスクが高い.年齢が低い程比較的に介入しやすい) ②就学前児童で集中的に支援が必要な世帯は「特定妊婦」が多い。(特定妊婦=出産前から支援が必要な母親)那覇市 ③丁寧かつ集中的に支援する事で、地域から孤立させず、行政へ繋がる力(相談する力、SOSを出せる力)を付ける。那覇市における虐待相談件数は、平成24年度171件に対し平成28年度241件と増加している。
全国に比べ深刻な沖縄の子どもの貧困に関する状況に緊急に対応するためとして、国の「沖縄子どもの貧困緊急対策事業補助金」を使ったいくつかの事業をきめ細かに展開しています。川崎では、やっと今年に入って子どもの貧困の実態調査を行ないました。結果と分析の詳細はまだ示されておりませんが、しっかりした対策をとる必要があります。
那覇市役所から沖縄県庁に移動して「スポーツコミッション沖縄」についてと「ICT利活用による離島学力向上支援事業」についてもレクチャーを受けました。