かねてから指摘されていた教員の長時間勤務の悪化ぶりが4月28日に公表された文部科学省の勤務実態調査で明らかになりました。10年前の調査よりも労働時間がさらに増え、小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が『過労死ライン』に達していたといっせいに報じられ、「過重な業務 教員悲鳴」「授業や部活時間増が要因」「教員増やしての悲鳴」などの見出しや、教員に密着取材した記事では「21時退勤後も自宅でプリント作成」、午後10時以降まで勤務が多いという教師は「不登校生徒の家庭訪問、教育委員会の調査やスクールカウンセラーら専門スタッフとの調整などの校務のほか運動部の顧問も勤め、放課後や土日には練習や大会がある」とありました。長時間労働と多忙化を改善するよう代表質問でとりあげました。
【勤務実態調査を今年10月頃に実施、本来業務以外を役割分担】
6月1日の文教委員会で、教育委員会は本市も2017年下半期(10月頃)に勤務実態調査を行い、教員の本来的な業務以外の業務をみなおし、教員以外の職員や専門スタッフと役割分担する。調査対象は、①市立小、中、特別支援学校の全教職員対象にアンケート調査 ②20~30校抽出しヒアリング調査を2017年度中に順次実施する計画の報告がありました。
教員の本来業務以外の業務見直し、役割分担の早期実施を!
2018年度中に実態調査の分析と実施に向けたヒアリングを行ない、2019年度からモデル校において、業務の見直しと役割分担を実施すると報告がありましたが、全校実施が2020年度というのでは、あまりにも現場の深刻な実態からすれば遅すぎます。もっとスピード感をもって進め、19年度にはモデル校だけでなく全校で本格実施すべきです。また、全教職員対象のアンケートは個人が特定されない無記名、封入方式年、個人の尊厳が守られるようにすべきですと質問しました。
アンケートは無記名で!
2019年度から実施する方向性で進めていくが、体制整備の予算が伴うので、19年度に全校で一斉にスタート出来るか分からないので、19年度から「モデル校で実施」とした。早期に体制整備を行って19年度から全校で実施する事を要望しました。またアンケートは無記名にする事について、教育次長は「勤務実態を的確に把握出来る調査とするため、個人が特定されない方法での調査を行う事も含め準備を進める」と答弁しました。
学校給食費の公会計化の実施を!
文部科学省が策定した「学校現場における業務の適性化にむけて」のなかで、教員の長時間労働の状況を改善し、教員が子どもと向き合う時間を確保するための今後の改善方策を示しています.
その中で、「学校給食費等の学校徴収金会計業務の負担から教員を開放する」とし「学校の教員ではなく、学校を設置する地方自治体が自らの業務として行なうための環境整備を推進する」とあります。本市もかねてから要望があった給食費の公会計化をこの際、是非検討すべきと質問しました。
教育次長は「全市的な業務執行体制の整備や徴収管理システムの構築、法的な対応など様々な課題があるが、既に公会計化した他都市の状況や収納率への影響もふまえ,文部科学省の動向を注視しながら引続き検討していく」と答弁しました。
【多忙化改善のために、教職員定数を改善し教員を増やす事を求める】
「今回の文科省の実態調査の結果は、この間文科省の行なってきた業務改善の限界を示しています。本市が、子どもと向き合う時間を確保し、教員増やしての切実な訴えに応えるには、業務の見直し、役割分担だけでなく、教職員定数を改善し教員を増やす事は不可欠ですと考えますが伺います」と質問。
教育次長は「本市としても加配教職員を有効に活用しながら学校の実情に即した教職員配置を行なう事が重要と考える.勤務実態調査の結果を分析し、学校業務の改善に向けた検討を適切に行うとともに.教職員定数の一層の充実を図る事ができるよう、今後も義務標準法の改正による定数改善を国に求めてまいりたい」と答弁しました。