22日と23日、共産党市議団は那覇市と沖縄県を視察しました。
那覇市ではLGBT施策について学んできました。注目は、那覇市が2015年7月に「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言を発表していることです。宣言はLGBTを含む性的マイノリティの問題を「人権問題」として捉えた。人が多様な性を生きる事は、人権として尊重されなければならないという意味がこめられているのです。
①宣言までの経過ととりくみについて
那覇市では、平成8年以降「なは女性センター」において市民向けのセクシャリティに関する講座を開催、女性のための電話相談「ダイヤルうない」(「姉妹」という沖縄方言)でのセクシャリティに関する相談の対応や平成25年からプライドイベント「ピンクレッド沖縄」を共催する等の取組を進めてきた経緯がありました。
〈平成27年の2月議会において〉
大阪市淀川区のLGPT支援宣言や渋谷区のパートナーシップ条例等の先駆的事例や、性的マイノリティに対する市の見解・市政への質問があったことがきっかけとなり、同年7月に、性的マイノリティに関する問題を人権問題としてとらえ、「宣言」という形で、より多くの市民の皆様へ知っていただくために、「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言(通称・レインボウーなは宣言)を発表したとのことです。
具体的には以下のように、レインボー交流会、相談窓口、市民への普及啓発、広報活動等の取組を進めています。
②レインボー交流会
当事者たちが集れる場所が欲しいとの声に応えて当初は市の担当課が月に2回程度開催していましたが、現在は交流会の参加者たちがつくった市民団体「にじいろオハナ!」が主催し、毎月開催しています。
③相談窓口
以前からセクシャリティに関する相談をうけていたが、「専門の窓口ではないが性別に関わらず、ありのままで一歩一歩前に進むためには何ができるか一緒に考えるのでご相談ください」と性の多様性に関する相談についてもパンフレット等に明示しています。非常勤の女性相談員3人体制で月曜日から土曜日まで、9時から12時、13時から17時まで応じています。
④市民への普及啓発・広報活動
「はな市民の友」(市の広報誌)をはじめ、「レインボーなは通信!」、小冊子、ホームページ、関連イベントの共催などで啓発しています。広報の表現が丁寧でわかりやすく素晴らしい内容と思いました。
⑤パートナーシップ登録制度
2016年7月「那覇市パートナーシップ登録」制度がスタート。戸籍上の性別が同一の2人の申請に基づき、市長が認めた場合に「登録証明書」を交付するものです。これまでに18組がパートナー登録しています。この制度を持つ那覇市に移住されるカップルの方もおられるとの事です。
注目したのは、市営住宅の入居に関わり「親族要件」に「パートナーシップ登録証」の交付を受けたものも含めたこと。これは当事者からも「私たちの存在が認められた」と好評だそうです。(まだ、申請者はいないそうですが)
また、不動産に関しては「宣言」をした時に宅建協会にも協力要請をしたとのことでした。不動産店レベルでは、「同性カップルだから」ということで拒否することはないとの事ですが、大家さんの側に抵抗感がある場合はある」とのことでした。
⑥推進体制と市職員や教職員への研修など
〈担当職員〉平和交流・男女参画課、男女参画グループ 正職員2人
なは女性センター非常勤職員7人(内訳:指導員4人・相談員3人)
〈職員研修〉2015年度から、主に窓口対応のある部署の職員でその他関心のある職員を対象。管理職特別研修の中でも実施.那覇市市立病院にて医療従事者を対象に実施した。
〈教職員への研修〉教育委員会・学校教育課が担当し、昨年1月に市内小中学校54校の管理職1名及び教諭1名を対象に実施。今年1月に市内小中54校の人権教育担当者1名及び教諭1名を対象として実施している。
⑦パームロイヤルホテルの取組
夕方、九州・沖縄初のLGBTフレンドリーホテル(宿泊したパームロイヤルホテル)で総支配人からこのホテルの特徴を伺いました。ジェンダーフリートイレの設置、レインボーフラッグが掲示され、レインボーシーサーまでフロントで出迎えてくれました。(トップの写真)
総支配人は、「ピンクドット沖縄」(性的マイノリティの方々が生きやすい社会をつくるためのイベント)の成功にも尽力されています。なは女性センター開設20周年記念シンポジウム「レインボーなは 性の多様性を尊重するまちづくり」のパネリストをつとめるなど、企業人として推進する一翼をになっておられます。市民と行政が力を合わせてさらに市民の関心を広げる活動が素晴らしいと思いました。
川崎の取組は緒に就いたばかりです.私たち議員団は、先行して取組む自治体を複数視察したり、カミングアウトされた弁護士さんを講師に学習会をひらいたりして、昨年の9月議会の代表質問ではかなり突っ込んだ議論を市と行いました。那覇市の取組は大変参考になりました。引続きとりくんでまいります。