17日、立教大学大学院特任准教授/つくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛さんをお招きして市議団主催の講演会を開催しました。
この間も、生活保護の引き下げは、2004年の老齢加算の廃止から始まり、生活扶助費の削減、住宅扶助の引き下げと冬期加算の廃止は過去最大の削減など、2004年から減額があいつぎました。
そしてまた、今年10月から生活扶助基準のひきさげ、母子加算が平均月2,1万円から1,7万円へ月4000円の減額、児童養育加算の3歳未満は月1,5万円から1万円へ減額、学習支援費についても減額されようとしています。子どもの貧困が大きな社会問題になり、その対策や貧困の連鎖の解消が重要とされているのに、それとは大きく逆行するもので、更に新たな貧困が生まれ拡大し、貧困の連鎖を拡大させるもので、認められません。
旧生活保護法は1946年、生活保護の欠格条項を定め、「勤労の意思がないもの」「素行不良の者」「扶養義務者が扶養をなし得るもの」などを生活保護から排除しました。しかし、その4年後の1950年には無差別平等の原理を定めた生活保護法=新法となりました。たった4年間の間になぜ、欠格条項を全て削除し、無差別平等を打ち立てたか.それは、この4年間の間に憲法が発令されたから。憲法25条は生存権を規定し全て国民は等しく最低限度の生活が保障されると無差別平等を謳った。なのに、現代でも驚く事に「働かざるもの食うべからず」と生活保護を受ける人の事を怠け者のように平然という人がいるけれど、旧法のもたらす影響がいまだ残っているんだということがわかりました。こうした偏見はこの憲法の人権尊重から、認められないものです。
特に今回の削減は、所得が下位10%層、いわゆる一般低所得世帯と比較・均衡の対象としています。一般低所得世帯の方にあわせて生活保護基準を引き下げるというものです。この事は、本来生活保護を利用できるのに生活保護を利用しない人の割合が日本は非常に高い。本来生保を受ける要件のある世帯の保護受給している割合=捕捉率は、日本は2割程度といわれ、ドイツ6割、フランス5割.イギリス4割と比較して非常に低いのが実態です。もっと捕捉率を高くする.偏見などを払拭して、一般低所得世帯も本来生活保護を受けられるようにすべきなんだという事がわかりました。
生活扶助基準の引き下げは、最低賃金、国民健康保険、就学援助など様々な制度に影響を及ぼし、国民全体の自己負担が増えます。
議会で国に引き下げを行わない事を求める意見書案を提出
私たち市議団は、16日、議会最終日に、生活を支えるセーフティーネットを痛み付けることになる生活保護基準の引き下げを行わないよう国に要望する意見書を提出しようと議会で提案しました。しかし、賛成は共産党と無所属2人の議員で賛成少数となり否決されました。