このまちレポート

「深刻な医師、看護師不足を打開するための・・」陳情の審査を行ないました 08年9月1日

2008年9月1日

2008,09,01, Monday

8月27日、健康福祉委員会で神奈川県医療労働組合連合会から提出された「深刻な医師不足を打開するための法律を制定するよう、国に対しての意見書決議を求める陳情」と「『看護師等の人材確保の促進に関する法律』の改正を行なうよう、国に対しての意見書決議を求める陳情」の審査がありました。

日本の医師数は人口千人あたり2・0(OECD30ヶ国中27位)

陳情文には医師不足によって地域の病院,診療科が閉鎖され必要な医療が受けられない事態が発生し、特に産科、小児科、救急などを受け入れる病院が減っていること、病院の勤務医の労働実態も深刻で、最長の連続した勤務時間の平均は32・4時間であること、政府が医師の養成数を削減してきた結果、医師数は人口千人あたり2・0でOECD加盟30ヶ国中日本は27位であり、OECD平均と比べると12万人も少ないことなどの記述があり、医師確保に向けた必要な法律を制定すること。医学部の削減数を戻し、医学部の定数を最高時(8360名,現在より735名増)まで増やすことを意見書で国宛に出してほしいというものです。(概要)

看護師の夜勤月8日以内に規制する法改正を

看護師等の人材確保に関しての陳情文は、看護の現場は平均在院日数の短縮などによって、業務量が大きく増えかつてないほど過酷な勤務実態になっている中、離職が相次ぎ看護師不足が深刻化している。看護職員の離職を防止し働き続けられる職場をつくるには『看護職員確保法・基本指針』の実効ある見直しが不可欠だとして看護職員を大幅に増員するため夜勤を月8日以内に規制するなどの改正を求める。法的拘束力の弱い基本指針を『看護職員確保計画』に改めて看護師確保を計画的に進める仕組みをつくることを盛り込んだ意見書を国に出してほしいというものです(概要)
行政は厚労省の「業務従事者届け」から、医療従事者数は増えているが、臨床研修が2年間義務化されたことにより臨床研修医の位置づけになったことから医師数(5%)が減少されている。医師不足は都会ではなく地方に起こっていて、川崎では特に医師不足の苦情や要望は届いていないという説明でした

川崎市の実態・人口千人あたりの医師数は1・8、産科病院は3病院の減少

質疑では共産党の大庭議員が川崎市の人口千人あたりの医師数は1・8を聞き出し、全国平均より低いと指摘しました。
私は過去4年間で、産科、産婦人科を稲田登戸病院、川崎社会保険病院が廃止し、聖マリアンナ東横病院、日本鋼管病院が休止したこと、多摩病院が新設されたので結果、分娩を取り扱う病院は3病院が減小したこと、診療所も6施設が廃止、4施設が新設されたので2施設減小した事、市内産婦人科医師は平成14年が123人に対し平成18年が101人に減少、小児科医は平成16年が151名に対し平成18年は148人に減少していることをあきらかにしました。医師不足は地方の問題だけではありません。医師の養成数を抜本的に増やすことと診療報酬を引き上げることが車の両輪で急務であることを主張しました。

医師、看護師の拡充は国民の願い

最近,住んでいる地域に産科の病院がない実態や医師、看護師不足の実態が報道されることが多くなりました。医師不足はもはや偏在ではなく都会でも起こっている問題です。大学病院の産婦人科医を中心の組織である日本産科婦人科学会、開業医を中心の日本産婦人科医会は昨年、産科救急医療体制の整備や医師不足の対策等を求める陳情書を連名で厚生労働大臣に提出し、今年の7月には病院協会も『医師確保対策』を厚労相に緊急要望しています。

こうした世論のなか、「骨太方針2008」では救急医療体制の整備、産科・小児科をはじめとする医師不足の解消、病院勤務医の就労環境の改善、医師養成のあり方を検討するという方針をだしました。しかしこれらを、これからどう予算化していくかにかかわります。こうしたタイミングのときに是非国への意見書を出すべきと共産党は主張しました。民主党もこの意見書をだすことに賛成しました。
しかし、自民と公明は国の動向をみていきたいと継続を主張したため、採決の結果、意見書をあげることに賛成は少数で、継続扱いになりました。あーまたもや残念です。