このまちレポート

自治体の防災対策を考える 08年9月1日

2008年9月1日

2008,09,01, Monday

地震の活動期に入ったとされる日本列島はいつどこで大地震が起きるかわからないのが実態です。8月27日、市議団主催で「自治体防災行政と対策について」調査委託の中間報告会を行ないました。2時間近くにわたっての講師の先生の話でした。総体的な内容は膨大でとても書ききれませんが、私も6月議会の一般質問でとりあげた内容と重なったこともあり、その中でいくつか感じたことがありました。

住民の命と財産を守る防災対策の要は住宅対策

地震の防災対策においては「住宅対策をどうするか」が決めてだということです。
住宅が安全ならいのちも助かる。住宅が安全なら倒壊による火災が起こらない。あの阪神淡路大地震の多くの被災者は住宅の倒壊、火災、家具の転倒によるものでした。そして実際、火災が最も多く発生した区は倒壊が最も多かった区とのことです。

大体、家屋の倒壊は玄関の耐震が弱いので、玄関の方向にグシャと倒れるのだそうです。したがって家屋の倒壊で道路がふさがれ消防車、救急車等車の通行ができなくなり、より被害が拡大する。地域社会の全滅にもつながりかねないということです。

大震災後、木造住宅耐震診断派遣事業と耐震改修助成事業は多くの自治体で取り組まれるようになっているが、この制度が住民にとっていかに使いやすく、内容を充実させるかが重要だと言う提起でした。川崎でもこの制度がありますが、05年度から3年間に耐震診断を行なった件数は1096件、そのうち耐震改修件数はたったの70件です。07年度の耐震改修は36件、予算額3千万円、決算額は約2665万円でした。このように制度はあっても活用件数は大変少ない状況です。

自治体が独自に診断士、補強工事の建築士を養成し派遣することが重要

先生は、自治体がこの制度をどう充実させて、耐震補強を推進するかが問われているといわれました。それには自治体が責任を持って耐震診断士や耐震改修の建築にかかわる人を示さなくてはいけない。自治体が独自に耐震診断士を養成し派遣する。この勉強をしてくださいとプログラムを提供し、診断ができる人を養成することが大事。愛知県では診断士だけでも約4000人いるということでした。

また特別の講習会を設けて補強工事ができる人を養成し市民に公表する。信頼関係をどうつくっていくかが大切だといわれました。

私は、この話を聞いていて、ある大学の研究者が、阪神淡路大地震の際の被災住宅の公費投入は仮設住宅に1400億円、復興住宅に4600億円にのぼったが、これはあらかじめ耐震補強を済ませておけば、家屋の倒壊は避けられた。復興のための公費負担は倒壊防止の補助に比べ巨額にのぼると述べている文章を読んだことを思い出しました。

先生は、道路をつくり、建物をつくれば復興されたかのようだがそれだけでは復興されたといえない。住民の復興がされなければといわれました。住宅を失った人の住宅をつくる、仕事を失った人の雇用の場を確保し,仕事を通し生活再建、地場産業の再建が必要だといわれました。

大変有意義な話が聞けました。
今日は防災の日。大掛かりな全市の防災訓練が今年は宮前区で行なわれます。