このまちレポート

健康福祉委員会で後期高齢者医療制度に関する陳情2件が審査されました。 08年8月29日

2008年8月30日

2008,08,30, Saturday

8月20日、川崎市議会の健康福祉委員会で、県の保険医協会(5月提出)と市の社会保障推進協議会(6月提出)から寄せられた陳情2件が一括で審査されました。遅くなりましたが報告します。
主な内容〈概要〉は後期高齢者医療制度の廃止を求める国への意見書を市議会から挙げてほしい。制度が継続している間は低所得層の保険料の負担軽減措置を行なうよう県に意見書を挙げてほしい。などです。

負担増と差別医療は廃止しかない

後期高齢者医療制度は収入ゼロの人も含め、75歳以上のすべての高齢者から保険料をとり、しかも2年毎の見直しで天井知らずに保険料をあげられる仕組みをもつもので、政府与党があわてて実施した低所得者への保険料の部分的負担軽減、年金天引きから条件付の口座振り替えの変更など、小手先の見直しですむような制度ではなく、廃止しかないと考えるものです。

8府県が独自の軽減措置を設ける

現在、北海道、東京、石川、福井、岐阜、三重、京都、奈良など8都道府県が公費で保険料の軽減措置を行うなどしています。全国で最も高い負担水準の神奈川県は軽減制度をはかるべきだという立場で審議に臨みました。

批判に押され政府が行なった08年度の軽減策は

負担増に対して国民の批判が高まる中で、6月になって政府は軽減措置を発表しました。
09年度までの措置として、①均等割の7割軽減の対象者〈世帯の総所得額33万円・・年金収入ベースで168万円以下〉を8・5割軽減とする。 ②所得割額を負担する方のうち年金収入が153万円から211万円までの方については所得割額を5割軽減する。というものです。 本市の08年度の後期高齢者医療制度の被保険者数は約9万3千人とのことですが、この軽減措置による通知は28000人に発送したそうです。対象者の約3割のみということになります。しかし保険料が下がった人も安心はできません。

保険料は2年ごとに上がる仕組みはそのままです

保険料は2年ごとに見直され、75歳以上の人口が増えれば保険料が上がり、患者の増加や医療費総額が増えれば保険料が上がる仕組みです。団塊の世代が75歳になる2025年ころには、現在の2倍以上になる試算がされているのです。政府が部分的、一時的に軽減策を図っても2年ごとの見直しで将来の保険料引き上げの仕組みはそのままです。

75歳以上の方だけを対象にした診療報酬が導入されました

75歳以上の方に外来、在宅、入院,終末期医療分野に導入されました。外来では1ヶ月後期高齢者診療料600点〈6000円〉ということです。これまでは上限を決めずに重い病気なら思い病気に対応する治療をすればそれに応じた診療報酬が保険からでる出来高払いでしたが、包括点数は医師がどんな医療行為をしても定額の6000円しか医療機関に支払われないということです。お年寄りに多い糖尿病は血糖値の変化を調べないといけないので毎月とか2ヶ月に1回とかの血液検査を行なうそうですが「血液検査等を行なえば、600点はすぐにオーバーする」「必要な医療ができなくなりこれは差別医療」ではないでしょうか。

政府の狙いは高齢者の医療費を削減することに。

患者がどちらをとるか選べることになっていますが、政府の狙いはこの制度の導入で高齢者の医療費を2025年には5兆円削減すると言っているところにあります。病気しがちな高齢者の医療費をなぜ削減するのでしょうか。

廃止を求める運動が大きく広がっています。川崎の議会からも意見書提出を。

<この制度の廃止を国に求める署名は550万筆をこえ、制度の見直しや廃止を求める意見書を提出した地方議会は全国で581議会に上り、30都府県の医師会が撤回、反対、慎重など制度への異議を唱えています。(陳情文)(その後633議会、35都府県の医師会に)、国会では参院で廃止法案が可決、臨時国会で衆院での審議が行なわれます。是非意見書をと私たちは主張しました。

しかし自民党と公明党は改善の必要はあると考えているけれども廃止、撤回はできないので、廃止を国に求める意見書は否決、民主党は臨時国会の動向をみてからにしたいと最初は継続を主張しましたが、2度目の採決で、「態度保留」。態度保留は採決上否決とみなされます。結局意見書を挙げることに賛成は12人中共産党の2名のみで「不採択」になってしまいました。非常に残念です。