今、阿部市長が来年度から3年間の新しい実行計画と新行革プランの素案にむけたタウンミーティングを行っています。市財政が厳しいことを強調し、くらしや福祉の部分の見直し【実際は削減】項目を説明しています。10月15日、共産党市会議員団は、一方でこれまでも巨額の税金投入がされ、今後更なる投入が計画されている臨海部開発をしっかり見てこようと視察を行ないました。また保育園や特養ホームなど市民の福祉施設の用地として公有地の活用をこの間提案してきたので、実際にその一部を見に行きました。
はじめに、臨海部・水江町での実質上大企業誘致に多額の税金が投入されている現場です。
08年度に、川崎市が水江町の土地【5・6ヘクタール】を土地開発公社から、237億円で購入し、民間企業に貸し与え、ここで新規事業化する企業への助成制度=イノべート川崎【設備投資の1割、1件最大10億円助成】を創設しましたが、実際にその第1号として操業しているエリーパワー株式会社の工場です。ここはリチウム電池の生産拠点だそうです。イノべート川崎とインベスト神奈川という県の助成も受けて4億円もの公費助成を受けているとのことです。
次が、国の国際コンテナ戦略港湾に選定され東京港、横浜港、川崎港が3港連携して国際ハブポートをつくる計画の東扇島・川崎港コンテナターミナルです。
ここには、現在、第1バースがあり、スーパーガントリークレーンが2基設置されています。処理能力は年13・5万TEUですが、実際の取扱量は09年度は3・1万TEUのみで、処理能力の23%だけでした。圧倒的にちいさな川崎港にさらに第2、第3、第4バースを建設し、三港連携し、韓国の釜山港、中国の上海港と匹敵するハブ港にするという国の戦略に乗って進めようとしているのです。コンテナ岸壁を第4バースまで整備し、新たな周辺の道路整備を行なうなど川崎市域だけで総事業費は数千億円はかかるといわれています。9月議会でも市がどれだけ負担をするかも明確にこたえていません。
問題はこうした巨額な市民の税金をつぎ込む事業が今必要かということです。かつて、整備費373億円も投入しながら、69億円もの負債を抱えて破産したkCT(川崎港コンテナターミナル)です。市は当時、この事業に乗り出す際にも「税源培養」「雇用創出」「地域経済活性化」などの目的・理由をあげました。しかしその結果は共産党市議団が指摘し続けたことが現実となり破綻し、破産処理にかかわり、市の負担がさらに増えたことは記憶に新しいところです。
今回の事業にあたっても、市は船が来て、荷物がたくさん来て、国際競争力が高まったら「ひいては市内経済・産業の活性化や市民生活の安定の確保が得られる」といいますが、KCTのように「船のこない港」「巨大な釣り堀」と批判が高まった公共事業の再来にならないか大いに懸念されるところです。なぜそうなったかを明らかにしないで次々と施設をつくるわけにはいきません。
「地域経済活性化」「雇用創出」というのなら市内全企業の9割、雇用の7割を占める中小企業を支える施策の充実こそ最優先に行なうべきではないでしょうか。
(写真)左は内航船からガントリークレーンが荷物をつみあげているところです。川崎港は大型船より、内航船が 多い。このバースの むこうに第2、第3バースを拡張する計画です。
そしてもう1枚の右写真は、第4バースをつくる計画の岸壁だそうです。
次は浮島メガソーラの建設の様子を、近くの浮島ごみ処理センターの屋上から視察しました。
ここはかつて7万人のサッカー場の整備計画のあった場所です。11ヘクタールの用地を川崎市が東電に18年間無償で貸与し、10ヘクタールに3800枚の太陽光パネルを設置します。出力7000kW、2100世帯分の電力を供給するそうです。ここでつくられた電気は東電のものになるそうです。 (下写真、拡大すると「湾岸高速道」手前部分がソーラパネル工事中) 次が殿町3丁目・いすゞ跡地の事業用地へ行きました。
今年度、元いすゞ工場だった土地の一部(1・3ヘクタール)を市が23億円かけて購入し、民間企業に貸し、実験動物中央研究所や慶応大学の再生医療・新薬共同開発センター、各種研究所が整備されるところです。0・6ヘクタールを定期借地で貸与された実験動物研究所の建築が急ピッチで進められていました。
次が多摩川河口に新たな橋を架ける計画のある場所です。
実験動物中央研究所の建築現場の近くですが、県内最大の多摩川河口干潟を壊して、川崎臨海部の企業誘致地区と羽田を結ぶ連絡道路【橋】を多摩川上流部に建設する計画場所です。大田区側は、この橋の建設には絶対反対と言う立場ですが、阿部市長はあくまで進めるといっています。近くに大師橋があり、市の予測でも川崎側から空港までの交通アクセスは10分短縮するだけです。なのに見込み額400億円といわれる橋を架ける必要があるでしょうか。日本野鳥の会は自然が破壊されたら元にはもどせないと見直しを求めています。(満潮時の干潟写真です)
その後、県立川崎南高校跡地、幸区北加瀬・県住宅供給公社跡地、県立川崎職業技術校跡地などを視察しました。