2012年度の介護保険制度改定にむけて議論する社会保障審議会介護保険部会で、19日、厚生労働省が最終報告書の素案を示しました。
内容を新聞で読んで驚きました。これではますます保険あって介護なし、利用したくてもサービスを抑制せざるを得ない高齢者がますます増大するのではないでしょうか。高齢者にこんな冷たい政治は許せません。
厚労省が示した負担増・給付減の案は
- 年間所得200万円以上の人の利用者負担を1割から2割負担に倍増する
- 軽度者の利用者負担を現在の1割から2割負担に倍増する。
- 要支援者、軽度の要介護者へのサービスを介護保険サービスの対象外とする。
- 介護保険サービスを使う際の利用計画(ケアプラン作成)〈現在無料〉を有料化〈要介護者は月1000円、要支援者 は月500円〉を「検討すべきである」としている
- 施設の相部屋に入居している高齢者から光熱水費に加えて新たに 室料〈施設の減価償却費〉を月5000円徴収することが「必要」としている
- 公費負担引き上げは見送り
そして、65歳以上の介護保険料が月平均5000円を越えかねないとしながら、保険料軽減のための公費負担の引き上げは「困難」としています。
つまり、介護保険財政を担っている公費負担割合はそのままで介護保険料と利用料については負担増にするというものです。しわ寄せは国民と利用者にということですから、保険料の負担は増えて、サービス利用は減らさざるを得ない、もしくは受けられない、こんな状態になってしまうのではないでしょうか。
介護保険部会では「なぜ軽度者の負担率をあげるのか」「かえって重度化がすすむ」「軽度者のサービスを切り離すことやケアプラン作成に自己負担を導入することにも断固反対、必要なサービスの抑制につながる」などの声があがったとのことで、もっともです。
介護費用を誰が負担するかということですが、介護保険導入前は国50%、川崎市50%で利用者負担は収入に応じた負担でした。介護保険制度になって、国25%、川崎市12.5%、神奈川県12.5%、あとの50%を介護保険料として40歳以上の人から徴収することになりました。そして利用者負担は全員一律1割負担になりました。
介護従事者の方々が働きたくても賃金や労働条件が厳しくて辞めざるを得ない、長く働けないことから人材不足の問題も社会問題になりました。介護事業所に支払われる介護報酬の引き上げが介護保険料に跳ね返らない仕組みをつくらない限り、この問題も解決しません。
介護の社会化、家族の負担だけにしないという触れ込みで始まった介護保険制度です。安心して必要な介護がうけられる制度にするためには、これ以上の国民、高齢者への負担増とサービス抑制はやめるべきです。介護保険制度導入時に公費負担割合を半減させたのですから、公費負担割合を引き上げるべきではないでしょうか。