議会活動報告

防災と福祉のまちづくりをめざし

2011年7月15日

  6月議会が7月5日に終わりました。今議会はまさに防災議会となりました。
東日本大震災による死者、15,550人、行方不明者5,344人、避難者数約99,200人(7月12日現在)におよび、今なお復興の見通しも立たない状況が続いています。
障害児を抱え逃げ遅れて津波に流された家族、特養ホームで避難させられず流されてしまったお年寄り,被災を免れたけれど停電のため,人工呼吸器が止まり亡くなった方。仮設住宅でなくなった方など、自己責任ではどうにもできない災害弱者をはじめ被災地住民の生命と生活をどう守るのか国や自治体に厳しく問われています。

共産党市議団は被災地支援に行きました。私は今、家庭の事情で宿泊が困難になっているため参加できませんでしたが、参加した議員は人生観が変わるほど現状は厳しいと言っています。

政府の地質調査委員会は11日、東日本大震災による地殻変動の影響で三浦半島の地震発生率が高まったとする分析結果を発表する等、川崎直下地震もいつおこるかわからない状況になっています。
東日本大震災の教訓をもとに、自治体として何が求められ,緊急に備えなければならないものは何か、命を守ることを最優先に万全の備えをしなければならない事態に直面していると思います。

6月議会で防災対策についての共産党の代表質問(佐野よしあき議員)ならびに一般質問(私以外の共産党議員の取り組んだ質問も含め)で質問したことを中心に5回に分けて報告したいと思います。
      (下線が質問要旨、●以下が答弁要旨、*がコメント) jisin_pic01 地震防災戦略、地域防災計画のみなおしについて
川崎市地震防災戦略の想定はマグネチュード7,3になっているが、それ以上の想定に見直すべき
●「国の中央防災会議で防災基本計画のみなおしをおこない、県は地震災害対策検討会議をもった。市は5月に防災対策検討委員会を開催し学識者による防災計画の見直しについて検討をはじめたところ」

液状化が懸念される古い埋め立て地に石油ンビナートが林立し,さらに住宅密集地が隣接する臨海部、高層マンション群が林立する拠点駅、急傾斜地や古い谷埋め盛り土の造成地を抱える北部地域など都市構造が地震に対してどれだけもろいのかをすべて洗い出すことから防災対策を再検討すべき。
地震防災戦略の被害想定に建物被害、ライフライン被害は想定されているが、コンビナート被害が想定されていない。いれるべきだ。
●「本市防災対策検討委員会の意見をふまえ,大地震が発生する可能性や本市の都市構造等を考慮し検討を進めて参りたい。コンビナートの被害想定は長周期地震動によって発生する被害等を対象に同委員会で検討することになっている。

コンビナート対策を強化する。
コンビナートを地震,津波が直撃した場合、液状化と同時に火災、大爆発を起こすことが容易に想定されるのに,市のコンビナート対策がおろそか。法律の基準を満たしているからコンビナートは大丈夫、神奈川県の管轄だから被害想定はしていないというのは許されない。コンビナート地域の被害想定は?長周期地震動だけではだめだ。液状化によって広い範囲で地盤が大きく動く「測方流動」の被害が想定される。被害想定に入れ、石油コンビナートの安全対策、液状化対策をとるべきだ?
●「県アセスメント調査の被害をもとに実施している」「安全性について、県を始め事業者並びに関係機関で構成している[神奈川県石油コンビナート等防災本部]会議において今後の対策等について本市か要請してまいりたい」

コンビナート火災や有毒ガスの飛散が発生した場合の働く人の避難計画を立てるべきだ。コンビナートの被害が拡大したときに安全に市民を誘導するための避難計画等コンビナートの危険性を最大限に考慮すべきだ。
●「H17年度に実施した県石油コンビナート等防災アセスメントの見直しやH14年度に実施した県の液状化に対する再調査を県に働きかけていきたい」「臨海部の避難対策は、毎年県警,川崎海上保安庁及び事業者の自営消防隊が実施する大規模防災訓練に臨港消防署、川崎区役所、港湾局が一斉放水訓練、避難訓練等行っている。引き続き訓練による連携強化に取り組むとともに、避難計画を策定していく」

 タンクの耐震基準のみ直しを行うこと。劇薬、有害物質が多く貯蔵されているが設備の総点検はどのように検討されているか?
●「県が保安検査を毎年実施し、必要に応じて立入検査を実施し、施設の維持管理の状況を確認している」

津波対策について、津波の想定も見直すべきだ。東扇島には、−160度から−200度で超低温冷却されているLNGの貯蔵施設があるが、地震,津波で冷却機能がマヒした場合に大爆発を起こすことが想定される。2重3重の予備電源対策はどうなっているのか。油が流出すれば火の海になる。防潮堤、延焼防止対策、緊急避難やぐら、東京湾周辺自治体と連携し,津波GPS波浪計ネットワークシステムを設置することなど対策をとるべきだ?
●「今回,川崎港でも以上な高潮を観測したことから津波対策の見直しは喫緊の課題と考えている。国、県の検討結果を受けて地域防災計画の中で見直しを進める」

*臨海部コンビナートの液状化等への安全対策については、「国や神奈川県の検討結果をうけて」とか「県に働きかけていく」という答弁が多かったです。また防災危機意識を事業者ともっと共有し,被害状況の情報の開示を強く求める等、市はもっと主体的に危機意識を強めて取り組むべきです。